【第2日目 8月16日】

行く前々から、2日目の行程はどうしようか悩んでいた。というのは、ガイドブックやエアリアマップなどでは、スゴ乗越小屋までは5時間〜6時間、スゴ乗越小屋から薬師岳山頂までは3時間40分〜5時間と記載時間にかなり幅があって、実際はその人の実力次第?という感じなのだろう。さらに薬師山山頂から薬師峠のテント場まで約2時間位。速くて10時間強〜14時間程度を大して休まずに頑張る覚悟ならば1日で薬師越えができるかな? しかし、小屋泊まりの比較的軽い荷物ならば行けそうに思えるけど、テント泊まりならば・・・・・。なんせ亀足さんだからなぁ〜〜。こだわっていたのは、この日のうちに薬師を越えられれば、翌日までは天気が持ちそうなので大好きな黒部五郎岳までは比較的天気のよいうちに縦走できるだろうということの為だった。


我ながら踏ん切りのつかない気持ちながら、本当は3時ぐらいに出発すればどうにかなっただろうけど、中途半端な気持ちのまま結局5時スタート。暗い中でのテント撤収は、ポールがうまく畳めない(不良品か?、冬山でもこういうことあったものね)ので、ちょっと時間がかかってしまった。一番速いパーティーが4時半ぐらいに出発したので、私は2番目のスタートだが、周りのテントはまだ寝静まっていた。ZZZ〜〜


出発する頃には薄明かりになっていて、木道を小屋に上がっていく。鳶山の稜線に上がるまでが朝一の結構な登りで、ふぅ〜〜って感じ。小屋の外から食堂を見ると朝食を食べている人達が10人も居ないのがわかる。小屋はガラ空きでどうなっちゃたのでしょうか? 朝日の中の山々はいつ見てもすがすがしい。今日は前回全く展望が見えなかった鳶山山頂から、眼下に無数の池塘が朝日に輝いているのが見えて綺麗だった。風が昨日よりも冷たくなくて、ここでCWーXタイツの上に膝丈の半ズボン姿になる。夏山って感じで、快適だ。


電波が良さそうなので携帯の山岳気象を見ると、あらあら!昨日の予想よりも大分悪くなっている。明日午前中も、既に曇りマークになっている(ショック!) とにかく10時位までにスゴ乗越小屋に着けば、その日のうちに薬師越えをしてしまおうと思うようになっていた。気を引き締めて鳶山の下りにかかる。なんかとってもいい感じで、越中沢岳への登りが見えていて、そこまで行くところのムードがよさそう♪ いかにも稜線漫歩という道で、どんどん下っていくと、今度は穏やかに広い穏やかな斜面をゆっくり登る。先行する4人ぐらいのパーティーを初めて見た。爽やかな風が終始吹いていて、人も居ないし、快適だ。割とスムーズに越中沢岳(2591m)に到着。ここから見ると、スゴの頭がかなりうんざりするほど高く見えて、一旦急激に下がってから登り返す形だ。このあたりから、既にスゴ乗越小屋の赤い屋根がくっきり見えていて、そのむこうに巨大な薬師岳が聳えている。(遠いなあぁ〜〜)


越中沢岳からの下りが急下降で大変だとガイドブックには書いてあったけど、本当にかなりの下降で、要所要所にはかなり頑丈なロープやらクサリがついていた。まだ新しくてピカピカしている物も多く、最近手入れされた感じだった。そのどれにも「ロープは必ず使用前に安全かどうかを確認した上で使用すること」という文言の看板が近くに設置されていた。セオリー通りに必ず3点の支点から確保されていて、とてもきちんとした造りであった。幸いに路面は乾いており、使わなくても降りれる個所もあったが、登りにはこのクサリを使わないと登れ無さそうで、ほぼ垂直に近かったりして、
この道は絶対に登りには使いたくないと思うほど急であった。(^^;) かなり細かい道の巻きのうねりがあったり、暑くてなかなかスゴ乗越の鞍部まではうんざりだった。(時間はさほどではないが、下り得意な私でもそれなりに思ったので苦手の人は相当に嫌だと思うこと間違いなし! ) やっと鞍部に到着。先行パーティーがちょうど一足早くスゴの頭に着いており、そこまでノンストップで登りきることにした。


やっと到着したスゴの頭は、お腹も空いてきてゆっくりしたいが、今度は風が強く寒くてたまらない。ここまではそれなりに快調に来ており、小屋通過目標10時も夢ではない?ので、そそくさと出発。大きな岩の下りをぴょんぴょん降りて行くと、今度は樹林帯の中に突入。これが暑いのなんの・・・・。微妙なアップダウンが足に堪えて全然進まない。小屋は見える距離にあるのだけど、
「近い割りに小屋は遠い」という前評判は知っていたけど、本当にそうでした。今までの快適な登山が、急に南アルプスの暑い樹林帯にぶちこまれたような気分(^^;)で、樹林帯が切れると今度は直射日光の灼熱地獄が待ってました。ここで戦意喪失。お約束の目標10時には到達しないとわかったので休憩。ややシャリバテ的だったのでむしゃくしゃと腹ごしらえ。風が全く抜けない暑い場所だったけど、これこそまばゆい太陽と完璧な夏山の風景って所でした。


やっとお腹も満たされたので、再び歩き出す。小屋まであと少しという景色の中をひたすら耐えながらゆっくり登ると、誰もいないテント場にちょうど11時に到着〜〜! さすがに、これから薬師に前進するのは無謀に思え、断念。(小屋の看板には、「12時を過ぎたら、薬師に向かうのも、五色に向かうのもやめてください」という趣旨の看板が出ていた。) 先行パーティーだけは、先に進んだようだった。


しかし、このスゴ乗越小屋はとても地味な小屋だけど、水が豊富に小屋の前の出ているのが何よりも嬉しい。静かなこの縦走路に相応しい小屋だ。テントは色々な場所を物色してから、展望良好、風通しがよい場所を選択。正面に今日越えてきた山々が見えるのが素敵だし、裏銀方面も見える一等地だ。小屋の人によると、携帯はドコモならばテント場の下のあたりから富山湾方面に向ければ一部可能というレベルだそうで、早速テントを張った後で電波届く場所を探す。これがなかなか難しく、やっとかなり下部のテント場のところで受信可能。
気になる天気予報は、またまた驚くほど悪くなっており、明日0時から6時で既に曇時々雨。6時〜12時は雨。それ以降も2日間ぐらいはずっと雨で回復の見込みなし。下界の方も、全般的に天気は雨の天気で、これでは太郎平で1日か2日停滞しても回復は?という悲しい見込みだ。がぁ〜〜んって感じだけど、これでは下山も止むなし。せっかくの山は晴れた日に行きたいものである。


ほぼ下山確定かと思うと、食糧も早く消費せねばとせっせと昼食をたっぷり摂って、それから珍しくテントの外でお昼寝モード。(いつも日焼け嫌うのでテントの中でするのだが、この日は爽やかな風が吹いていて、誰もいないしね・・・) それにしても、誰も来ないっていうのも変だなあ? やっと第2陣が到着したのが、1時過ぎに学生パーティー。テント張るのもダラダラしていて、なんか締まりが無いなあ。その後、私めのお昼寝の邪魔をしてはいけないと思ったのか?離れた場所に行ってくれてラッキー。まったりと時間が流れて、空は青いし、爽やかで、なかなか優雅な夏休みって感じだった。


腹ごなしにお散歩に出かける。しばらく先の薬師方面まで散策した。このあたりからもずっと赤牛岳が綺麗に見えていて、黒部湖が見事なエメラルドグリーンに見えたり。裏銀の山々も本当に綺麗に見えて、明日から本当に天気が悪くなるのかなあ? しかし、やはり雲は多くなりつつあった。


3時を過ぎると、やっとテン場に五色が原方面からのパーティーが次々と到着して活気が出てきた。中には、立山から一気にやって来たご夫妻もいた。小屋のテラスのあたりは、ちょっとした山談義の場となっていた。昨日からの見知った顔ぶれの方々とも少々交流する。皆さん、小屋の直下の登りの暑さに苦しめられた、近く見えても小屋は遠かったと語っている人ばかりで、なんだか安心した。(苦笑)


やはりお天気が悪くなる前触れのせいか、きれいな夕焼けもなく、どんよりと雲ったまま日が暮れていった。夜中にトイレに起きた時に見た富山平野の夜景が見事だった。風もなく、温度はやや高めの静かな夜だった。



鳶山は五色が原の展望台。眼下に池塘が点在する風景。 堂々たる赤牛岳の雄姿。奥に槍ヶ岳、左は裏銀稜線。赤牛の右肩は水晶岳か
鳶山から越中沢岳へのプロムナード、素敵な縦走路 越中沢岳山頂。南からと北から見た山の形がこんなに違うとは・・・
スゴの頭から見た越中沢岳。上の写真と同じ山に見えますか?
越中沢岳から五色が原〜立山方面を振り返って。左後方には剣の姿も。
スゴの頭からみた薬師岳(中央が薬師岳、右が北薬師岳) スゴの頭から左上の小屋への道。ここからの下りとアップダウンが一番辛かった。
左が越中沢岳、右がスゴの頭。アップダウンの連続だ〜 ずっと見えていたが、遠かったスゴ乗越小屋。奥が薬師岳に連なる稜線
テント場からの景色。雲が流れて、のんびり、まったり〜〜、 マイテント
もう秋の空かな? スゴ乗越小屋
裏銀の山々(右から烏帽子岳、南沢岳、不動岳あたりかな?)
黒部源流方面。右の台地の所が雲の平。左が水晶岳か。



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