種池〜針の木岳〜蓮華岳
〜無念の途中リタイア〜
テント山行はしばらく体調が悪かった時期があり、ここ2年ほどお休み。体調もすっかり復活したので、久しぶりに長期休暇を使ってテント4泊5日のプランを考えた。目指すはここ数年来の課題の種池小屋〜烏帽子小屋の間の縦走。特に船窪岳周辺は北アルプスで最もマイナーかつアップダウンもあって、あまり食指がのびにくい所。何故そこを目指すのか?実は、日本海から上高地までをつなげるにあたって最後に残った部分なのです! 過去何度か計画したが、天候に恵まれなかったりどうもついていないコースだ。 特に学生時代に烏帽子岳から見た南沢岳あたりの癒しの風景は是非行ってみたいとずっと思っておりましたが、最近はクライミングの練習ばかりで歩きのトレーニングやボッカもやっていないので結構不安(苦笑)。それで、4泊5日のテント泊で水1.5Lを含めて14キロと自分としては相当な軽量化をしてのぞんだ。 |
山域 / 形態 | 北アルプス / テント縦走 |
メンバー | MINMIN |
日程 | 2006年8月20日(日)〜8月22日(火) |
登山情報 | ●種池小屋 テント500円 水1L 150円 トイレは小屋の外に有り ●針ノ木小屋 テント500円 水1L 200円 トイレは小屋の中を使用 |
【第1日目 8月20日(日)】 1週間の夏休みをとるにあたって仕事の山を越えるのが一杯一杯で、本当は金曜日の夜出で行きたかったが、とてもそれどころでなくて、日曜日朝のあずさ3号で信濃大町に向かうことになった。バスに乗り換えて扇沢に到着したのが11時半過ぎ。準備を済ませて出発は11:45。 登山口まではバス道路を10分ちょっと戻る形になるが、先行して立派な三脚を持った男性が一人歩いている。登山口でその方が少し休んでいる際に抜いたが、60代ぐらいの方だった。いざ登りとなるが、曇り空でどんよりしていてムシムシした暑い日だった。ちょうどお昼時でバラバラと下山してくる人が目立つ。家族連れやら最初は比較的少人数の人達が多かった。登り始めは結構急登でどんどん登る。ところが、玉のような汗が滴り落ちる暑さで、ひぇ〜。てぬぐいを首にしているが、あっというまに水浸し。風は全くない。幾ら軽量化したとはいえ、やっぱテント泊のザックは重い。ベンチがある所まで頑張ろうとしたがとてもそこまでもたずに風がやっと抜ける場所で最初の休憩。(送電線を越して、ベンチにあと5分ぐらい下の場所) 休んでいる間はひたすら流れる汗を拭くのに忙しい。先ほどの男性が軽やかに登って行く。再び歩き出すと、しばらくすると見覚えのあるベンチ。既に先客が座っている。この辺りからは何組も登りだか下りだかわからないぐらい多くの人がいる。しばらくすると約20名ほどのツアーの人達がたむろっている。べちゃくちゃと賑やかで、脇を通過するのも大変。再び忍耐のような暑さとの戦いが続く。また今回は軽量化のために40Lのザックなので、入りきらないマット類がサイドに、シュラフも雨蓋の上に外付けでくくりつけられていて、首がやや前かがみにならざるを得ない。暑苦しいことこの上ない。(それでも、テントでいつも使っている60Lザックに比べるとザックの重さだけでも約1.5キロも軽いのでやっぱり代えがたい。) その後も先ほどの約20名様御一行とは前後したりしたが、それでも上に行くほど実質60代の方と私が登っている人だけみたいな感じになってきた。このおじさんがなかなか競争心あって、「女なんかに負けまい」みたいな感じがなんとなく感じられて、こういうのは苦手なんで、できるだけ競争は避けたいものです。(苦笑) 大分高度が上がるとなだらかなだらだらした道になってきて、やれやれです。本日はガスが上の方にずっとあるので稜線や小屋の位置が全く分かりません。ずっと山肌をトラバースするような形で長いです。はるか昔に唐松〜鹿島槍方面から縦走してきて下山した時にも長い記憶があったのですが・・・・。漠然と暑い暑いと思いながらも歩いていました。本当はザックの中にうちわを常備しているのですが、右手にストック、左手でうちわを使うと両手使うので危ないかな?と思って、躊躇してどうしようか?などと頭の中でぼーっと考えておりました。 そんな時、左膝のあたりがあれ? どの瞬間か今でも分からないのですが、平に石を引きつめてある道になってきているあたりで、ほぼ平と思った石が微妙に角度があったのかどうか?そんな程度で僅かに膝が外に力がかかったような? 痛いとかそういうのではなかったです。しばらくすると<石畳>という道標があったのですが、道が微妙に下り加減になると痛いのです。基本的に道は平行ないしはやや登りなのでそんなには痛まないのですが・・・・。でも変だぞ〜。もしや、やってしまったのか? 沢を横切る辺りには雪渓が5m幅位で残ってました。いよいよ稜線も近いのかなあ?少しだけ気温も低くなり、や〜っと見覚えのある草原のような稜線の上に種池山荘が見えました。ぼてぼて登っていると、先ほどからの男性が追ってくるように登ってきます。こういうの困っちゃうんだよね・・・。やっと小屋の前に到着。完全なガスで何も景色もないし、つまんない感じです。ひたすら水分補給をして、水を3Lほど購入。テントの受付をさっさと済ませて、よれよれと1〜2分位左方のテントサイトへ。 いつ夕立が降るかわからないのでさっさとマイテントを張って、やれやれ。ここのテント場は奥の方からぎっしりと詰めて張ってください、ペグを使って石を使うな、とか紙まで渡される管理されたテント場だ。自分含めて5張り目で、どう見てもガラ空きなんだけど、一応その通りには張る。張り綱も重なるぐらいに張ってください・・・・にはさすがに参って、やや隣とは離して張った。4時にはテントでまったりタイム。 一休みしてから食事。それから小屋の前だと電波が通るので携帯電話持って小屋に行く。ところが、僅かに小屋に下るのだが、左膝がやっぱり痛い。小屋外のトイレまでの移動で痛いってことは・・・・明日が思いやられる。そうこうしていたら、ぼつぼつ小雨が降り出したのでテントに帰還。その後、猛烈な夕立が来て、あわやテントが浸水するんじゃないかというほどテントの下は水で膨らんでいる。今回に限りシュラフカバーも省略したので、気が気でない。幸いにまだ防水性が利いたテントだったので浸水せず。結局夕方5時半から7時半ぐらいまでは強烈な夕立で、その後は雨はほぼ止んでくれてほっとしたものです。
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たどり着いた種池はガスの中 | なんか空いているのに変な感じ |
【第2日目 8月21日(月)】 雨は概ね止んだような感じだが、明け方からは遠くで雷がかなり鳴っている。近い所ではないのが救いだが不気味だ。夜が明けたもののどんよりとした曇り空。当初5時ぐらいには出発しようと思って4時過ぎには目も覚めていたが、一向に雷が止まないのでしばらく様子見。やっと雷が収まってきたころに小屋泊まりの単独の男性とご夫婦の2パーティーが先に歩き出した。テント場では、随分前から出発の準備をしているのに一向に出発しない声の大きな50代位の関西弁の男性(以後A氏とする)が盛んに隣の若い男性に話しかけている。自分には声をかけて欲しくないなと思いながら、自分は6時丁度に出発。 ガスの中を歩き出したが、この界隈は早朝には熊も居るというので鈴を鳴らしながら歩くことにした。ほどなく50代位の先ほどのご夫妻(今後B夫妻と略)がお花畑に歓喜して写真を撮っている。かたや自分はというと、既に左膝が早くも痛い。膝をリラックスして歩くように出来ずに、変にカバーしながら歩くので今日の行程はやや長い(山と渓谷のガイドブックで6時間20分。エアリアマップで7時間30分)ので心配だ。B夫妻とは<いや〜膝が痛いんで>なんて言葉をかわす。それから後は抜いたり抜かれたり。膝は痛いは、荷物もやや重たいし、ガスもあるので写真を撮る元気がない。時期が遅いにも関わらず今年の冬の多雪の影響からかお花が豊かに咲いていた。特にガスの中で咲き誇っていたハクサンフウロウは綺麗だった。ガスで濡れた花は幻想的でしっとりと素敵でした。 岩小屋沢岳までは約1時間半位だが、ここまでが本日苦手の下りと平坦もあり、朝一の登りでもあり、なかなか既にお疲れ。誰も居ない山頂で少しだけ休んで下る。ここからの下りは通常ならば自分が最も得意な快適な緩やかな下りで駆け下れる感じなのだが、本日は膝が痛くて完全びっこ状態。左足をかばって右足にも随分負担が来ている。行けども行けどもガスで新越山荘は見えず。そこにA氏が結構大きな荷物を持って駆け下って行った。小屋が近づく頃には雨が降り出してきて、小屋に着くとザックカバーを着けて、小屋のトイレを借りる。A氏はとにかくハイテンションで、今日みたいな自分には話しかけて欲しくないんだけど、自分も含めて小屋の人やらB夫妻などにもしゃべる、しゃべる・・・・・。そんなに元気ならば先に行ってくれればいいんだけど、そうはならないのが困ったところだ。(苦笑)体育会山岳部OBというが、いかにもそんな感じの方だった。 新越山荘で雨具もつけたが、ほどなく歩いていると止んできて暑いのですぐに雨具を脱ぐ。鳴沢岳までは標高差180mで約30分ほどの道のり。登りは膝が痛まないのでほぼ普通に歩ける感じだ。B夫妻とは鳴沢岳山頂でまた合流。このあたりからは、対向のパーティーが2、3パーティー位すれ違ったと思う。雷鳥をこの界隈で3羽見たのが唯一の楽しみだった。相変わらずのガスの中、赤沢岳までもいったん下り、また登り返し・・・、あまりひどいアップダウンではなくてすんなりと到着。ガスもやや薄くなってきた気がする 赤沢岳からはあとズバリ岳へ標高差250m(約1時間半)、さらに一旦下って針ノ木岳には標高差約100m位(約1時間)の行程である。ズバリ岳へは細かいアップダウンがあるが、最低鞍部まであと少しという所で急にガスが晴れてきて、瞬間右手に立山連峰から剣岳の白い雪渓を山肌にまとわった姿が現れた。まさに感動的で、B夫妻は特に初めてこのような姿を見たようで感激ひとしおだったようだ。立山と剣の解説を少々してあげる。B夫妻は写真タイム。(そこにコマクサも咲いていた良い場所だった)ところがどっこい、ちょうどトイレに行きたいと思っていた自分は、急に晴れてしまって困ったなあ(苦笑)。一応立山剣を横目で見ながら茂みを探している有様。(冷や汗)そんな時に限って対向の縦走者がたまたま居たんで、参った参った。少し離れて後ろからはA氏も来ているし。やや切迫した面持ちで、なんとか人が来ないコルに向かってダッシュ。 やっと用を済ませたら、あらあら、肝心のお山の姿は再び雲の中に入ってしまったトホホ〜〜〜。ここで、圧倒的に高く見えるズバリ岳を正面に軽く行動食を食べる。少しは陽射しが感じられてほっとする。ここからは、不思議なほど近くに針ノ木小屋が見える。人が立っているのまで見えるようだ。引き続きB夫妻のしばらく後になりズバリの急登を登る。稜線上の登りなのである程度涼しいので昨日のような悲惨な登りでないのが嬉しい。結構きついのぼりだがそれでも30分ほどで山頂へ到着。これまた涼しい全くガスの中みたいな感じで、たぶんあっちが針ノ木岳だろう・・・ぐらいな感じになってしまった。(苦笑) A氏が少し遅れて再び登場でまたにぎやかな感じになった。下りは時間がかかるので先に彼らより降りることにする。B夫妻のご主人はかつて山中で本当の捻挫をして腫れ上がったことがあり、今もサポーターを念のため持参しており、必要ならばお貸ししましょうという。このご夫妻はおっとりとした優しい感じでの方で、嬉しい申し入れに感謝した。本当に駄目ならばそうしようと思うけど、腫れていないし、どこが患部かわからないのでなんとかなりそうだ。 ズバリ岳の下りは結構スリリングな感じで、思っていた以上に長かった。途中でA氏に抜いてもらって、最後の鞍部は山スキーで是非来たいマヤクボ沢のコル。なかなか穏やかな広い地形だった。ここからは最後の詰めを雪の季節の想像を膨らませながら登ると待望の本日最後の山頂の針ノ木岳山頂に到着♪ 膝の痛いのをなんとか我慢できてほっとした・・・というのが正直なところ。 静かに感慨にふけりたいので山頂の端に陣取ることにした。しばらくしてB夫妻登場。お天気はやっと回復傾向で黒部湖が初めて眼下にエメラルドグリーンで見えた。立山・剣は相変わらずほとんど雲の中。ここに来て気温が下がってきたので雨具を着る。今までは湿度のある3000m近い山としては温かい感じで、南方の台風の影響だと思われた。しばらく展望が良くなるのを待つために山頂でぼーっとしていた。今日歩いた道のりが驚くほど彼方から続いているらしいということはわかったが、全容までは見えず。逆に見えていたら嫌気がさしていただろうなあ。 ここから峠までは去年来たばかりなので、ノンビリノンビリと足をかばいながらお花も愛でながら歩いていく。さすがにお花の盛りは終っているのが多いが、それでもキンポウゲなどのお花が目を楽しませてくれる。テント場に到着すると、さらに一段下がった場所が小屋なのでザックをデポしてからいく。小屋に着くと設営場所は14番を指定された。実は自分はトイレによく行く方なのでテント場の近くにある外のトイレに比較的近い場所にして欲しいと言ったところ、「テントから近い外のトイレは熊が出没するので、現在そこに近いテントサイトは全て使用中止にしてます。熊が残飯をあさりに来ているので、下のトイレに近い場所には近寄らないでください。」とまで言われてしまった。小屋のトイレは外から靴のまま入れるし、とても綺麗で泡式水洗だが、なんせ行くまでの道のりが縦走路で暗い時に歩くとちょっと危ない感じがする道だ。この道の方には熊は出ないことになっているものの、なんか恐いなあ。 テント場には自分も含めて6張り。近くに学生のパーティーがいるのはこういう時は何故か心強い。テントを張り終わってほっとしてから夕食。それから左膝を中心に10枚近くサロンパスを貼りまくる。それにしても、膝は押さえてもどこも痛くない。うーん、謎・・・・・・。 明日の行程だが、船窪岳のテント場は小屋から離れていることも考えると、平日なのでテントは他に誰も張らない可能性が強いとなると、さすがに一人じゃ熊でも出たら恐くてたまらん。(かつて北海道の羅臼平でクラブでテント張った時は熊恐怖症で自分だけ不眠でした)。膝さえ痛くなければ、ランプの宿で好評の船窪小屋に素泊まりで泊まることも考えたのだが。だけどその先の烏帽子までの長丁場を考えると、ちょっと辛いかなあ・・・・・。結局単独で無理はご法度なので、確実に道も知っている針ノ木雪渓経由で扇沢に下山することにした。明日は、お天気が良ければ蓮華岳でも往復しようかな。かなりしょぼ〜〜んな気分だった。 今夜は遠雷もなく小雨がぱらつく程度で、やや寒気が入って涼しい感じの夜だった。しかし、夕方には小屋から何発も熊よけの爆竹の音がけたたましく鳴らされて、熊出没を身近に感じる。夜には近くの斜面が崩落する音を何度も聞く。小屋泊まりの時には感じられない自然の中で寝るテントならではの実感を久しぶりに感じた。
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ガスの中にお花が一杯 | トリカブト?の群生 |
最初のピーク | 実はここまでが一番辛かったかも?ガスで気が滅入る |
2番目のピーク | 雷鳥にいかにも相応しいガスの御天気 |
一部崩落している幅50センチ程度の縦走路あり | 初めて自分が歩いてきた山々が見えた。中央は赤沢岳 |
一瞬見えた立山 | やっとガスが一時晴れてズバリ岳の全容が見えた |
山頂では再びガスの中 | 針ノ木岳に無事到着してやれやれ |
初めて青空を見た |
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