【3日目 8月22日(火) 】

 この日は朝4時ぐらいに小屋にトイレに行くと、ようやく天気がよさそうな状況で嬉しい。今日は蓮華岳を往復してからのんびり下るだけなので、極めてのんびりモードで準備する。食糧がほとんど減っていないので朝からカレーうどんを食べたが、朝はもう少し軽い方がいいなあ。テントはこのまま朝陽にあてて干した方が良いのでそのままにして、水分と雨具だけ袋に入れて出発。


 感動的だったのはテント正面に槍穂高が見えていたこと! さらに惜しくも目指した烏帽子岳が案外近い距離に(実際はアップダウンと屈曲があるから相当遠いんだろうけど)綺麗に見えたこと。昨日の歩いたルートや種池小屋や爺ヶ岳、一瞬ではあるが鹿島槍まで見えたこと。蓮華岳の登りは小屋から見えている所は急な登りだが、すぐに傾斜が緩んでのんびりした登りだ。いったん緩くなると、さらに先に本峰たる蓮華岳が堂々とした形で見えてくる。右が蓮華の大下り。私もあそこを降りたかったなあ。1名がシルエットのように降りて行くのが見えた。痛い膝で降りるのは辛いだろうし・・・・、などと思っていると昨日のB夫妻が頂上から降りてきてご挨拶。


 このあたりはまったり稜線に出たあたりからは、コマクサがぽつぽつ登山道のすぐ脇に生えてくるようになる。とっくに花の時期は終っていると思っていただけに、コマクサとの意外な出会いに歓喜した♪今日は空身なので写真も激写モード。だんだんとコマクサの数が増えて今までコマクサを見た中で、一番の豊富なお花畑状態だ。コマクサというのは大体貴重な植物で僅かにしか咲いていないイメージなのだが、ここはロープも全く張られていない状態で右も左もコマクサだらけ。だけど貴重な植生なので近くに寄ることなく登山道脇だけにとどめた。朝露にしっとりと濡れたコマクサは本当に可愛らしい。ほんのりとしたピンク色が上品な感じである。花の時期的にはやや後なので少し枯れかかっているのもあるが、とにかく蓮華岳に来た甲斐があったものだ。なんだか幸せな気分に包まれている自分でした。
(蓮華岳では白いコマクサが実は有名なのだが、こちらには今回遭遇できず。)


 お花を見るのが楽しくて楽しくて♪ さらにいずれ滑りたい蓮華大沢右俣などを上部から観察(^^;)伸びやかな斜面が広がっていて夢が膨らむ♪ 道草ばかりしながら祠のある所に到着。しっかりと今までの無事とこれからの安全登山をお祈りする。ここが山頂と思っていたが、先に蓮華の大下りに行く道標もあるので残念記念に写真でもと思って少し先まで行くと、そちらの方が山頂だった。ここからは蓮華岳東尾根や左俣方面をのぞむ。再びややガスが上がってくる気配がある。北葛岳、さらに山頂付近に小屋が見える不動岳もごくそばに見える。


 さらに三角点にまで行き独り占めの山頂で感慨にふけっていると、チュンチュンというような鳴き声が聞こえる。なんだろうとあたりを見まわすと、自分が立っている三角点付近のすぐ前の下あたりの岩の住処をちょろちょろと出たり入ったりする小動物の姿。一瞬リスかと思ったけど、尻尾が立派でないので、これはオコジョだぁぁぁ!!!! とってもすばしっこくてデジカメに納めるのが大変。木の切り株のような所が遊び場みたいになっていて、こちらを眺めては隠れんぼしているよう。ちょっと離れては近くに寄ったり。
ぬいぐるみみたいでとってもかわゆ〜〜い \(^〇^)/\(^〇^)/\(^〇^)/


 オコジョはたぶんこんなにしっかり見たのは初めてのこと。もしかしたら一瞬ぐらいなら見たことがあったかもしれないが、記憶に残らない、写真に残らないレベルなので今回がほぼ自分にとっての初めてなのだと思う。本当に抱きしめたいぐらい可愛くて、かくれんぼしているみたいにやんちゃですばしっこく、こちらを見ながら遊んでいるようだ。


 再び祠に戻って、そろそろ降りようかとしているとA氏が登場。氏も祠が山頂だと勘違いしているようなので山頂はむこうだと教えて差し上げると、写真を撮ってくださいというので再びびっこ足で山頂に向かう。そろそろガスも上がってきて景色も悪くなってきたので自分は降り始める。懸念の下りだがやっぱり左膝は空身でも痛みがあり。ゆっくりペースで素晴らしいコマクサを再び愛でながら歩いているとA氏が飛ぶように降りて行く。再び静かになった縦走路を何枚も写真撮りながら、うっとりした境地に浸りながら歩く。


 峠まで戻るとA氏は往復前にテントを撤収していたので先に降りるようだ。
テントに戻るとすっかりテントは乾いており快適快適。ゆっくり撤収しながら久しぶりの夏らしい日差しを浴びる。お腹も空いてきたので少々早めの昼食などを摂ってから名残惜しくもテント場を離れる。


 峠からの懸念の下りだが、昼食のあとでCW-Xのタイツの折り返しの位置を微妙に変えたら
(暑くて長いので、タイツを下の方を折り返しているのだけど)、より膝がサポートされるような感じになって、何故か急に膝の痛みが軽減した。あれあれ?って感じ。ザレザレの下りで、朝から登っている人達と多くすれ違う時間帯だ。ゆっくりは降りているものの、さっきまでのびっこ状態とは大分違う。もちろん、これから本格的な下りだぞ!って気合を入れているせいもあるけど。


 時折猛烈な崩落の落石の音が聞こえており、約1ヶ月前の針ノ木雪渓の死亡落石事故を思い起こしてしまう。どの位置からの音かというと、1本沢を隔てた沢のようだ。夜中に何度も聞こえていた崩落の音もこちらだとすると位置的に納得。しかし、今降りている所も決して安全とはいえない感じで、とにかく落石はどこで起こってもおかしくない危険地帯みたいな感じだ。今年は雪も多かったのでまだ地質も安定していないのだろう。


 さくさくと降りて割とすぐに雪渓へ。この頃には先行する赤いシャツの男性しかおらず。ガスがかかっていて雪渓の紅ガラの線だけが頼りだ。登ってくる人も降りている人もいないのは雪渓では落石を人為的にする危険性が減るのでラッキーだ。相当石が点在しているので、いつ転がってくるかわからない。右手のストックをしっかりと雪に刺して1歩1歩確実に降りるようにする。幸いスプーンカットになっている部分が多いのでそれを利用する。先行の人も見えなくなって自分ひとりで雪渓を降りている感じだ。やっと最大傾斜のノドと呼ばれる所に近づくと、一番すれ違いたくない場所で下から5人位のパーティーが登って来た。右のシュルンド(雪の割れ目)に落ちたら大変なので、登り優先であるので私はゆっくりと待機とした。そしたら、2番目を歩いていた女性がすれ違う時に私に気を取られたのか?余所見した瞬間、転倒・・・・。すぐにお仲間が転げ落ちるのを助けて滑落しないで済んだが、いやいや恐いです・・・・。


 彼等が無事に登って行くのをしばらく待ってから、再び一歩一歩ストック突きながら降りていきます。ここから下は傾斜も緩んでくるので少し安心。傾斜が緩んでくるとホッとしたのか、ほぼ滑落の危険性も減ったところあたりで尻餅を少しついてしまいました。左足をかばうために右足も頑張ったので両足とも緊張感で一杯です。ガスの合い間にやっと見覚えのある草付きが見えて心底ヤレヤレです。


 目立つ岩のある雪渓終了点に到着。この頃になるとガスも薄くなってきて大分見通せるようになり。ここまで1時間ちょっとで降りてきたので自分的には合格点です。でもこれからが結構アップダウンがこんなにあった?と思うほど3本ぐらい沢を渡り、高度が下がって暑くて暑くてまるで初日の時のよう? 大沢小屋にやっと到着。またしてもA氏と遭遇。1時間以上も前に下山しているのに?途中で昼食を摂ったりしていたようでした。A氏に再び先に行ってもらうようにして、自分は後ろからマイペースで降りていきます。怪しい雲行きになった頃、に広い駐車場の車道に出たあたりで雨が降ってきました。(まるで去年と全く同じ展開で苦笑してしまいました)100m位先にA氏が車道を歩いております。自分は途中から登山道に入りました。確か3回位車道を横切るのですが、ラスト1回だけは車道をそのまま歩いたらほどなく扇沢の駅でした。バスの時刻が13:30なので、あと20分を残して余裕の到着でほっとしました。


 今回は余裕の日程なので、いつも省略している薬師の湯に今日は思う存分入れると思うと嬉しいです。バスを途中下車して久しぶりの薬師の湯に行きます。のんび〜りまったりの最高の気分でした。再び温泉から出ると小雨が降ってます。しばらくすると雨も止んできました。まるで今回の山行を象徴するような小雨交じりのお天気模様でした。


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 全体の感想として、まずは久しぶりのテント山行の復活ができて良かった。軽量化に努めたのでこれ位の重量ならばまあ普通に歩けるかなという実感。ただ、軽量化のために今回は初日はザックの上にさらにシュラフを載せたので首が苦しくて歩きにくかった。
(これが暑さや膝の不注意な捻りの遠因になったかもしせません) 翌日からは無理やりシュラフをザックに入れたので大分良くなった。今後は50Lクラスの軽量なザックの購入を考えた方が良いかもしれないなと思う次第でした。


 最近は山小屋を利用することも多かったが、それぞれ一長一短。軽装だと本当に写真などを思う存分楽しんで歩いたりする楽しみが充実する。歩く距離も長い時間を取れるので行動範囲が広くなる。テントだと自分の体力ぐらいではちょっとそこまで楽しめないなというのが正直な実感。それでも混雑している夏山の時期の小屋などを考えるとテントの快適さ、特に自分の空間でまったりできたり、自然と一体感を味わうのは楽しいものだ。今後も小屋泊まりの良さとテントの良さをそれぞれうまく組み合わせて楽しみたいものだ。


 それにしても、烏帽子まで行きたかったなあ・・・・・・。


針ノ木峠発 7:00 蓮華岳山頂 7:48〜8:30 針ノ木峠テント場 9:15〜10:30 
雪渓終了点 11:38〜45 大沢小屋 12:13〜20 扇沢着 13:10




朝起きるとテント場からは正面に槍穂高が見えて感動! 左に特徴のある烏帽子岳、右が南沢岳。
奥正面がたぶん三俣蓮華岳?

右が爺ヶ岳、中央の雲がかかっているのが鹿島槍ヶ岳
左の稜線が昨日の道。新越山荘も見えていた。
コマクサ劇場の始まり(もっと上手く写したい。)
正面が蓮華岳。このあたりから左右にコマクサ畑が点在 北葛岳、七倉岳(船窪小屋も見えていた)
右写真の祠のすぐ下のコマクサ 山頂と勘違いしそうになった祠
こちらが本物の蓮華岳山頂 蓮華の大下り(標高約500mの下り)



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きょと〜〜ん かくれんぼしましょ♪ お気に入りの場所だぁ〜い まっ〜た〜り


三角点はさらに山頂の道標の少し先。
ここがオコジョの住処だった。オコジョがここにも写っている。
蓮華岳右俣は上部は滑ると快適そうな斜面が広がっていた。
コマクサ畑 トウヤクリンドウ
惜しみながら蓮華岳を振り返る 針ノ木峠を上から。マイテントが右上にあり。
        マヤクボ沢出合。すごい崩落はこちらのよう 雪渓は天然の冷蔵庫
やれやれ雪渓終了 薬師の湯






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