焼岳


  〜穂高を眺めに山スキー〜


 学生時代の山サークルの友人YUJI氏がその兄と兄の友人の3人で中の湯ベースで焼岳&安房山の企画を立てていて、糸屯一氏にも声かけしていた。糸屯一氏は少し後で八甲田に行くのでどうしようか?というようだった。これを聞き及んだ私は糸屯一氏にプッシュ?して、糸屯一氏が車を出すことに決定。私も便乗に成功。兄友人は直前でキャンセル。結局は、同窓生トリオプラスYUJI兄氏の4名で出動。YUJI兄氏は栃木県在住にて、中の湯に7時集合、好天が2日間とも見込める山日和で楽しみだなあ♪



 山域 / 形態 北アルプス南部 / 山スキー
 メンバー YUJI兄氏、YUJI氏、糸屯一氏、 MINMIN
 日程 2008年3月15日(土)
 登山口情報
●中の湯のゲートは午前6時に開門。宿泊者以外の車は通行不可。かなりの急斜面にて、この時期はそれなりの車とタイヤでないと登れません。ゲートで車のチェックを受けるようです。運転に自信のない方は宿の車が松本ぐらいまで送迎してもらえます。
●中の湯の宿泊者は釜トンネル入り口まで帰りは迎えに来てくれます。中の湯売店が釜トンネル入り口にあり。
中の湯のHP

GPS軌跡 クリック  (途中からスイッチ入れたり、うまく軌跡が取れていないところも多いですがご参考に)




 自宅を3時過ぎに迎えにきてもらい中の湯のゲートに到着したのが7時少し過ぎ。中の湯のゲート係りの人が「雪崩が発生していて、道が通れません。現在除雪作業中ですので、少し待っていてください。安房山は雪崩の危険性が高いのでお止めください」とのこと。なーーんと、除雪作業って、まだ宿に着く前なのに中の湯に辿り着く前からアプローチ敗退か?第6カーブから第4号カーブにかけて、大規模な雪崩が金曜日の午後1時過ぎに発生していて、現在まで陸の孤島状態だという。幸いけが人などは出ていないが、すごい話ですね・・・・・ 中の湯に行くのも命がけ・・・・・


 幸いなことに10分位したら最後の除雪が完了して、ようやく開通。実は私は中の湯には一度も入ったことなく、梓川沿いの宿と認識していたら、釜トンネルが10年位前に大規模に新しくなった際に移設を余儀なくされて、今のすごく高台の位置に変わったのだという。宿は質素な山の宿をイメージしていたら、物凄く立派で、高級旅館って感じです! 私はめったにそんな所に泊まらないので嬉しいです。これで1万円はお得ですね。(4名でかつ冬場ということもあって値段も安くなっていて、部屋も上のレベルを提供していただいているようです) 少ししてから、YUJI兄氏も到着。


 当初は初日が安房山予定だったのですが、既にこの時点で高温なので、雪崩リスクが高い安房山は中止で、焼岳に急遽変更。準備して8時15分に出発。最初は林道をゆるゆると登って行くが、すぐに暑くなってアウターを脱ぐ。素晴らしい好天気で穂高連峰が素晴らしい。山への取り付きを探して<フェンスの破れた所から入る>というガイドブックなどの解説をもとに探すが、見つからない。YUJI兄氏が先頭に歩いており、私はのんびり一番後ろからついていく。それらしきが見つからない・・・・・ 結構歩いているのに中の湯はまだ真下に見える。歩いている林道も雪崩でやられている場所があり、そろそろ山に取り付かなくては・・・・・と思っていると、男女の2名パーティー登場。彼らは安房山に行くようで左に消えていった。


 結局、林道を離れて疎林のシュートみたいな所を登りはじめる。YUJI兄氏は中の湯からの夏道を歩いたことがあるので、なんとなく安易に皆がくっついて行った。少し急登になるので糸屯一氏はジグを切るより直登好きなので、私もこれぐらいの斜度なら直登の方が行けそうなのでくっついて登る。YUJI兄弟がジグを切って登っているので遅れ気味になる。標高で50mぐらい登っただろうか?(後でGPSで調べると100m弱登っていた)送電線が見えてきたり、明らかに変。待っている間に糸屯一氏と私がGPSや地図を見ると、安房山からの下山ルートに考えていた道に登っちゃってます。
1本尾根を間違えてますトホホ・・・・・。やむなく、シールのまま降りますが、硬いバーンでシール滑走は相当に怖いです。自分の足でないみたい。


 やっと先ほどの林道に降りて、右に行けば少し谷を降りるようですが登り返して正規ルートに行けそうです。えっちらこっちらと雪崩れそうな林道を歩いていきます。日陰になった所まで来ると小さな湿地のある上あたりに出ます。いちいちシールを外すのはロスが大きいのでそのまま降ります。標高で50m位ですが、樹林は密だし、パウダーならば自然にブレーキが利くので問題ない斜面ですが、表面はすごい硬い。糸屯一氏が樹林滑りが得意なので、先に行ってもらいましたが、すごい苦戦してます。自分も滑り出してみたけど、強烈にシンドイです。樹にぶつかりそうだし、足でふんばるしかない。あまりに怖いので私は横滑りならぬサイドステップで蟹さん歩きで1歩ずつ降ります。大した距離でもないのに、1歩ずつ降りているので時間がかかります。他の3名も全員各所で転倒してます。私は辛うじてもう大丈夫な斜度なので滑走しようとしたら、やっぱりこけました。たった少し降りるだけなのに時間がすごくかかりました。特にYUJI兄氏はスキー2本ともが樹の間に挟まって倒立したような状態になったので脱出も大変そうです。


 目茶苦茶しんどう思いをして、ようやく平坦地に降りて少し休憩して、それから右にトラバース。やっと正規ルートに合流したみたいで、ふぅ〜〜〜〜。蛍光色のピンクのテープを見つけたときには嬉しかったです!時間的には
1時間半はロスしちゃいましたトホホ・・・・。時間はなんともう10時です。先ほどまでの北面のルートとは違って、日当たりの良い西面の尾根筋ですので、暑い暑い。このペースでは山頂は全然狙えません。せっかくピッケルアイゼン持ってきたのになあ。


 尾根に取り付いてからはテープも要所要所にあって、ルートも明瞭なのでどんどん登ります。YUJI兄弟のペースが全く上がりません。どうしたのかなあ?途中で1回休んだものの、どうやらYUJI兄氏は先ほどの転倒の際に股関節と膝関節を痛めたようです。ここからなら一人でも降りれるというので、YUJI兄氏を見送ることになりました。もう少し登って行くと、ようやく樹林の間から焼岳のコルがはるか彼方上方にみえました。標高1972m付近だと思います。この尾根は微妙なアップダウンがあって、恐らく下山に取ると滑りにはならないなあ・・・・って思いながら登っていました。僅かに下ると気持ちよい樹林帯になってきます。昼食を摂りたいですが、もう少し景色の良い所・・・・ということで、ようやく見晴らしの良い場所に出てきたのでヤレヤレです。


 ここからは大きく焼岳の直下のボール地形が見えます。ボードを含む4、5名のグループがボールの中を登っているのが見えます。他のパーティーがいないのがちょっと意外です。焼岳はかなり最近はメジャーなコースになってきているのになあ。私らと2組しかいないとは。それにしても、素晴らしい景色でこの景色を見に来たというのが今回の山行と言えるでしょう。穂高連峰はかっこいいけど、霞沢岳も立派。南アルプスや中央アルプスなども見えてます。


 あともう少しだけ登ると、釜トンネルから登ってくるルートと合流。下堀沢を横切って、向こう岸の所まで行くことにしました。沢を注意深く渡って、登りかけたところで、前を行くYUJI氏が物凄い深い空洞にすっぽっと埋まりかかりアセアセ・・・・・ 先行のパーティーも埋まりかかった人がいるようです。山は怖いですね・・・・


 結局、2100m地点でこの日の登高は終了。しばし景色を見ながらどこを滑走するか検討します。今登ってきた中の湯のコースに下りるか?微妙なアップダウンが結構あるので中の湯コースは避けたいものです。下堀沢は大変魅力的で下まで滑走できるでしょうけど、気温が高いので雪崩リスクを考えると魅力を振り切って却下。すると現在登っている人達のルートをそのまま降りるか、下堀沢と中堀沢の間の尾根を滑るべきか?前者は岳人に以前紹介されていたコースでガイドブックの「ハイグレード山スキー集」、後者は「バックカントリー120ルート1」の紹介のコースとなります。



アプローチ敗退の危機?! もう少しで除雪終了です。 最初の林道はご機嫌な展望です。穂高の吊尾根がいい感じ
良くみるとサイドステップで降りた跡が・・・・表面硬くてシールで降りるにはシンドイ。 YUJI兄氏を見送る。(左からYUJI氏、兄氏、糸屯一氏)
初めて焼岳をのぞむ。もくもくの噴煙が見える。 ようやく疎林でいい感じになってきました。
焼け岳アップ写真  中央のボールを登るパーティーが見える
右から前穂、吊尾根、奥穂、西穂方面
焼岳をバックに 沢を横切る手前。気持ちよい景色が広がっている。
ここの沢を横切って向こう岸へ。この沢が下堀沢 美しい下堀沢 吸い込まれるように綺麗だったが、我慢我慢・・・・



 色々悩んで、結局後者のルートを選択。シールを外して、滑走地点まで東方向にトラバース。上を見上げると岩壁が立っていてダイナミックな光景です。これぞ北アルプスの一角って感じです。(でも、実はこういう景色ってウィスラーでのアバランチエリアでの滑走ではよく見かけた風景かなあ・・・・。)雪のブロックが落ちていることもあるので、下手すると雪崩れるようです。いよいよ滑走です。糸屯一氏が気持ちよくシュプールを描いていきます。YUJI氏も新たに山スキー装備を全て一新したので、最新のやや太めの板で安定感が戻ってきてます。私は皆の動画を撮ってにんまりしてます。


 さて、自分も滑走開始♪ 少し左のエリアに行った方が滑りやすそうなので、ごく浅い凹状の所を抜けていこうとしたら、なーんと、2,3ターン目で転倒。板を出すのにかなり大変。下から仲間が見守ってくれてますが、早く脱出しなくちゃあ・・・・。やっと体制を整えて、再び滑走。最高に素晴らしいロケーションなのに、足が突っ張ったままみたいで、シュプールが綺麗に描けない。荷物背負っての滑走も久しぶりなので、そういうのも影響あるかなあ。それでもオープンなバーンで雪もほどほどに緩んでいるのでここだけは滑りやすかったです。


 さて、ここから下が尾根になって樹林が出てくるのですが、最初はそこそこの樹間で滑れましたが、雪質が表面がパックされてきていて、アイシーなんですね。アイスバーンほどではないけど、硬くて神経使います。樹に突っ込まないように滑るとなると足に力を入れてボーゲンになります。糸屯一氏は普段は神楽の薮滑りで特訓されているてせいかスムーズに滑りやすい場所場所を狙って滑って行きますが、普段ゲレンデでは私は良い子ちゃんで、あまりその手の練習を積んでいないので瞬時の判断が遅め遅めとなります。段々と樹は密林になってくるし、高度はまだまだ高いし、途方に暮れちゃう気分です。とにかく地図でみる一段下がった左下の1738mの少し緩くなった地点には早く降りたいです。時間が遅くなるとますます冷えて斜面が硬くなるので時間勝負です。


 とても密林かつ急斜面で左斜面に降りれないなあと思って、斜面をあれこれ観察していたら、もう少し下がった所に、少し斜度が緩くてなんとかトラバースで切り抜けられそうな斜面を発見!!日陰のルートで雪が固いので斜滑降でゆっくりと樹をパスしていきます。浅い沢を越せば1738mピークです。滑っていると、「うさぎ発見!」の声が。大好きなうさぎさんに迎えられるとは幸先が良いです。雪で埋まった沢を越す時には、2m位の位置に白いもっこりしたうさぎさんがこちらを見てます。思わず目と目で見つめあってしまいました。次の瞬間はうさぎさんは脱兎のごとく素早く山を登っていってしまいました・・・・・


 やっと1738m付近に到達すると、春の陽気で雪は腐ってますが、ゆるゆると気持ちよい日当たりのよい所です。これで下山の目処も立ったので、かなりヤレヤレです。このあたりからは僅かに薄っすらとしたトレースが見えることがあります。パウダーシーズンならばかなり快適かもしれませんが、ここから先も再び試練が待っていた・・・・・


 日当りのよい穏やかな裏山という雰囲気なので、今度は雪が緩んでぐさぐさです。スキーはもぐるし、突き刺さるし、落とし穴はあちこちあるし、全く進まなくて転倒も何度か・・・・。どうみても密林にしか見えません。もう少し疎林ならばなんとかなりそうですが、ターンをさせてもらえないのがシンドイです。ずっと斜滑降やボーゲンです・・・・。尾根を降りて右手の方に進むとようやく若干広めの樹間になり、フィナーレは近いです。梓川で土木工事をやっている音がうるさいです。木の標識や木製の小さなトイレのような小屋を発見。ここって林道?って感じの道が出てきて、ようやく薮山からおさらばです。梓川は渡らなくてはならないので、少し上流に進みます。下の方の河原を別パーティーの一人が歩いているのを発見。ゆるゆると歩いていると、山スキークラブで有名なランドネのテントが二つありました。鍋宴会をこれからやるって・・・・なかなか良いロケーションの所を通過して、ようやく橋のたもとに到着。


 山頂付近まで登っていた、今日のもう1パーティーの4名組みがちょうど板をくくり付けていたところでした。ブログで以前も拝見したことのあるtomomiさんのグループでした。そのときはそうとは知らず、楽しそうな4名組みと、ちょっと残念な我々組みでした。ここからは板をザックに付けて釜トンネルまで下るのですが、案外釜トンネルまでが遠かったです。私は両足の爪が強烈に痛くなっており、一人ゆっくり下山となりました。釜トンネルは以前の幽霊話が有名な古い時は歩いたことなかったですが、今度の新しいのはトンネルは広いし、ライトも必要ないし、かなり快適です。(だけど、それなりに下り坂なので両足爪が痛くてたまらなくて苦痛の下山でした・・・・)


 釜トンネルを終るとゲートです。中の湯の宿泊者特権で、マイクロバスでお迎えに来てもらいました。宿からは穂高連峰が大きく見えるし、お風呂も24時間入浴可能。女性風呂の場合は露天風呂からは穂高は見えませんが、内湯からは穂高も見えるし、感激でした。(男性の露天風呂からは穂高見えるようです)夕食と朝食ともになかなか立派で美味しかったです。無事に宿に先に戻っていたYUJI兄氏に本日の間違ったルートの解説をしてもらいました。どうやら、皆が良く使うフェンスが壊れた場所がデブリが埋まっていたので、トレースが消されていて、それで分かりにくかったようです。その隣のフェンスあたりからよく見ると登った形跡があるとのことで、簡単に宿には戻れたという。あのロスした1時間半の時間は何だったんでしょう・・・・・。あれがなければ焼岳のコルぐらいまでは登れたかな、お兄様も体を痛めずにご一緒できたかなと思うと残念でした。今回は、滑走に関してはほとんど滑ったという実感がないまま終ってしまいましたが、大変ルートファインディングの勉強になりました。GPSは持ってはいるものの、やっぱり基本は地図読みですね。


中の湯発  8:15 脱ぎたて 8:25〜35 ルートミス戻り 9:10頃
湿原近くの鞍部  10:00〜10 正規ルートに戻った少し上で休憩           10:35〜11:00 YUJI兄と分かれる 11:25〜35
昼食2020m付近 12:45〜13:20 下山準備 13:55〜14:25 1738m付近 15:00〜15
からまつ橋 16:05〜10 釜トンネル出口 17:08



りんどう平経由のルート 引き返し地点(標高2100m)
アンテナの立っているのが登る予定だった安房山、その向こうが白谷山か?
霞沢岳が立派に見えて嬉しい。
ダイナミックな景色に満足
トラバースして滑降地点へ
穂高連峰が我々を見守ってくれてます。
唯一滑りを楽しめた斜面  \(^〇^)/
自分のシュプールは一番右かな? 途中でこけたのが残念。
焼岳を下から望む
上の尾根から一段下がって1738m付近に降りてこれてホッと一息、 すごい密林 ・・・・・・
橋のたもとに下りてきてパチリ。右の尾根を降りてきました。
日が翳る前に降りれてよかった
からまつはしという名前の橋でした。向こう側の左からやってきました。
橋から大正池を望む。こんなに至近距離から眺めたのは初めて。
普通バスの上からしか見ないものね。
左の写真を広く撮るとこんな感じ
ここからの林道が足爪が痛くてたまらなかった・・・・ 左の尾根の下のあたりが下堀沢です。激しく土砂が崩れていて、怖そうでした。
翌日撮影した中の湯温泉旅館の一部 望遠で撮った奥の白い斜面が間違えて登った斜面





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