【5月1日 (日)】

今日が肝心の黒部源流方面へのお楽しみの一日なのに、天気予報では昼過ぎないしは夕方から雨という。小屋のTVは壊れていて見えないし、携帯もつながらないので入山前の天気予報と観天望気に頼ってということになる。幸い朝に空を見上げると高曇りぐらいで、すぐに天気が崩れるようではない。

今日も朝から一杯の朝食で食べきれないぐらいだ。小屋泊まりの良い所は食事が豪勢でご飯やお味噌汁などは食べ放題なのでシャリバテしなくて済むことかもしれない。あまり早く出発しすぎるのも斜面が凍っていて辛いかもしれないので少しゆっくりスタート。朝一のシールはどうかと思ってせっかく持ってきていた軽量12本アイゼンをつけて、スキーはザックからの吊り下げで引っ張ることにする。小屋の前を登って行く人達はシールと担ぎが半々ぐらいか?雪は思っていたよりも締まっていなくて、ズリズリと滑る感じで早くも高温が予想された。


小屋の前の急登を終えると双六山頂に行く人達が左に登っていき、自分はトラバースで比較的平坦なルートを選択する。これならばシールの方がよいのでシールを付けて再び歩きだす。双六経由の下山か丸山まで行く人が多く、三俣蓮華方面に行く人は一人か二人ぐらい?と少ない。朝の景色は清々しくとても綺麗な山の景色が広がる。自分のシールの跡がなんだかとっても嬉しい♪


丸山の手前で稜線に初めて出た。比較的細くなっている雪道を登って行くと対向からテント装備の単独男性が滑走してきた。バランスをとるのが大変そうだった。またこの付近では雷鳥さんがお出ましになって目を楽しませてくれた。丸山を越して少し下がってから登り返して三俣蓮華山頂だった \(^〇^)/ 


最初は誰もいない山頂でやや意外な気分だった。まだ天気は十分持ちそうなので少しだけ黒部源流方面に滑ることにした。(天気が悪ければ、ここからは1時間程度のトラバースで双六小屋に戻れるのでチェックポイントとしていた)圧倒的に白い黒部五郎岳から北ノ俣岳〜薬師岳の景色に見惚れてしまう〜♪♪ そうこうしているとテレマーカーが一人いつの間にか山頂に居た。なんとなく見覚えがあるのであれあれ?って思っていると、同じあずさとバスで新穂高まで来た方だった。初日に大ノマ乗越まで登ってテントを張って、昨日は黒部源流の祖父平でテントを張ったという。天気が崩れるので先に進むのを諦めて双六方面に戻る途中だという。意外な再会で会話を交わす。


さて三俣蓮華岳からの滑降はどこからドロップするか探すが、槍方面に向かって滑るのはさすがにルンゼみたいに狭い所の急斜面でシュプールがついているもののさすがに自分の手に負えない。(^^;) 鷲羽岳方面を見てみると尾根筋みたいになっていて、その脇の右斜面から降りられるようになっている。高度を下げた場所からドロップするほど傾斜はラクなようだが、ここは一発山頂直下から滑降したいと思いながら下見を終了。ザックを背負ってスキーをつけた。テレマーカーの方も同じようにやってきた。斜面を覗き込むように見下ろすと、最初だけは35度以上はあるが40度はないだろう。斜面もザラメ調になっているし、下はカールで岩などの障害物もないから万一転倒してもなんとかなるだろう・・・・


二人揃って斜面を見下ろしたが、先に自分の方から思わず深呼吸をしてからドロップイン!! さすがに傾斜はあるので最初は大きく斜滑降体勢で行き、意を決してターン!上から掛け声がかかったような? なんとか決まって大き目にもうひとつ! なんかよいしょって感じだが、2つぐらいターンが決まった所からは比較的斜度もやや落ちたので中まわりぐらいのターンが決まりだして、比較的しまったザラメの快適斜面を気持ちよく滑降♪ カールの底にたどり着いて上を見上げるとテレマーカーが滑降開始。テント装備の重荷にも関わらず安定した滑りで降りてきた。なかなか決まっていてえらく感動してしまった!


そこからは、その方のカメラが壊れているというので交互に滑るところを写真に撮りながら降りることにした。のびやかな斜面はあまり滑走跡もまだまだ少なくて、荒れていない所を選んで滑ることができた。三俣山荘に私は降りてしまうと黒部源流に行きにくくなるので、斜面の途中から左手に進むことにした。源流までは何処を通ってもいけそうなので適当に滑って行くと、なんだかあっという間に滑り込んだ所が既に水が流れている上のあたりだった。大きな斜面を滑ればよかったのに、水水水・・・・って思った私は、ドジなことに狭い沢筋にダイレクトに出すぎてしまった。


いざ水が流れている場所までスキーを脱いで5mも下ろうと思った所、上を見上げると巨大な雪壁が覆いかぶさるような感じになっており崩れたら大変。自分の立っている場所は木立もあるのでまずは大丈夫のようだがいい気がしない。せっかくだが、源流の水を「拝ませていただいた」ということで満足して登り返すこととした。



三俣蓮華岳へのトラバース 双六に登る人
雷鳥 雷鳥と鷲羽岳
手前のピークを越して、もうひとつ先が三俣蓮華山頂  三俣蓮華岳山頂 \(^〇^)/
黒部五郎岳 北ノ俣岳(左の写真の右の位置にあたる)
薬師岳が大きい。(北ノ俣岳の右がこの写真になる)手前が雲の平 黒部源流(左が祖父岳、、右端が岩苔乗越、奥が水晶岳)
三俣蓮華岳山頂が左の岩付近
あとで三俣山荘から撮った写真
もっと上手い方は山頂左からの滑走の方が凄い感じになりそう
珍しい自分の滑走シーン。中間地点まで降りた緩斜面です。 鷲羽岳がいい感じ♪
黒部源流。本日の一滴の場所。左の雪壁が落ちそう〜 ここまでたどり着くのに山スキーを再開して4シーズンかかりました。




シールを付けて元来た所を登って行くと、自分が沢に入り込んでしまった位置が判明。一旦広い斜面の方に登って行くと「おお〜!!」穏やかな広い斜面が向こうに広がっていたではありませんか! ここに以前来たのは約ふた昔ほど前なので記憶が全然違っていて驚きました。(大苦笑)その時は夏の小雨の降る暗い谷のイメージだったのですが、今回は高曇りとはいえ谷は広く明るくて意外な記憶違いでした。 岩苔乗越付近からのダイレクトに滑走するルートも気持ちよさそうです。ただし、穏やかな斜面で今は雪もかなり腐ってきているのであまり滑っても快適ではなさそう。これ以上下らない方が得策でありました。大分雲も出てきたので、早々に引き揚げねば・・・・


下ったルートよりも鷲羽岳寄りの疎林の中を
シール登高。高度差で約200m位でしょうか?三俣山荘に着くと小屋の前の空間がすっぽり除雪されているみたいに窪んで風除けとなっているので、そこで昼食を摂る。満足げに三俣蓮華山頂方面を見上げていると、ずっと一人が降りるに降りれないような状況で私が滑走した斜面の尾根筋にいるのが見える(スキーの人かつぼ足かは不明) 鷲羽岳からはエクストリームなシビアな斜面からすごいシュプールが降りてきていてすごいなあ・・・なんて思ったり。なかなかのどかなひとときでした。真正面には槍ヶ岳が鎮座している豪勢な昼食タイムです。


大分空はグレーになってきて、空気も雨の降る前の湿った高温な感じだが、ありがたいことに太陽はまだまだしっかり出ているので小屋まで持ちそうか?さて、どこから弥助沢に滑り込もうか? 当初はガイドブック通りに鷲羽岳寄りからドロップしようかと思ったけど、そちらの方からは降りた形跡が見えなかったので(単に見えなかっただけだと思いますが)、安直にも小屋前すぐの右よりの位置からドロップすることにしました。


最初に覗き込んで見ると、大斜面というよりも比較的こじんまりとした?斜面で少しシュプールあり。既に雪はぐさぐさしているので気負わずにドロップ。あっという間に白い空間に入り込んだが、なんだかザラメ過ぎて斜度はある程度あるが、すぐに止まってしまう雪質。一応振り返って写真などを撮ってからもう一段降りることにした。すぐに樹木が出てきて、幾つかの選択肢で沢を選べるような感じだ。真ん中を進んで行くと、やや細めで中回りぐらいをしていると、おっ〜と、とっと! 雪の亀裂があるではないですか!! 危うくのところでかわして、少し行った先でストップ。確認する間にも自分の削った雪がゆるゆるとゆっくりと落ちていくような酷い状態。これはヤバイと思って、慌ててもう少し下まで滑って行きほっとしてあたりを見回すと、色んな所にシュプールがあるものの、雪の亀裂やら崩れそうな感じの雪の緩んだ状態が一杯で、おお〜早く広い斜面に行こうっと! もうひと滑りした所で、どうやら広い斜面となって鷲羽岳方面からの斜面と合流したような感じでした。


しばらく茶色く汚れた斜面をシュプール跡の通りに滑走していくと、単独で逆に登ってきている人を発見。この時間にここではテント泊なのでしょうか?早くも沢が出ていてずっと左手には水が流れています。大水量で沢が流れていて、だんだん狭い沢筋になってきて、沢に落ちないようにシュプールは全て右岸のやや高い位置についてます。全くシュプールがなかったら、自分でルートを作るのは大変だなあと思いながら樹林滑走の長いトラバースを続けました。どこまで行くのかなあと思っていると、ちょうどの場所で予定のモミ沢に登る地点に到着。一応GPSで確認したところ間違いないようです。


ここで再びシールを貼ってこれから約500mの標高差を登り返します。前日同室だった若い男性は1時間半で登りきったというけども、自分はたっぷり2時間以上ははかかるかと思うとやや憂鬱です。まだ高曇りの状態で太陽の在処もわかります。モミ沢は比較的細めの沢で、しばらく登ると滝が出ていたので右から巻いて行きます。結構土砂や樹木などが散らばっている雪の斜面はあまり綺麗ではありません。大分登って行くと、広がってきて二俣になっており右に行くか左に行くか迷う所です。左は正面に樅沢岳が見えて、絵になるシュプールが山頂直下から一筋美しく付いているのがわかりました。右は沢筋としてはやや左よりも広く、自分としては樅沢岳直下方面に出るのはどうかと思って、右を選択としました。


ところがこれが失敗の原因!! しばらく上がると風が随分強くゴーゴーと樹木を鳴らすようになってきて、温度も下がってきました。斜面の途中で雨具を付けて防寒としました。右に入ってからは、比較的すぐにシュプール痕が薄く1本あったのでこれに従って比較的左の方角に登ろうとしたのですが、どうも大分右に進んだ形になってしまい、左の見通しのよさそうな所に上がるにはややシールテクニックが下手な自分ではなかなか一気に上がれずに、ずっと右下がりの片斜面を左上左上へと登っていきました。かなりの高度感があって、自分が登っているルート以外は全て真っ白なノートレースの大斜面なので緊張します。陽もすっかり翳っていて今にも雨が降りそうな感じ。


どんどん無情にも時間が流れて、本人は一生懸命に登っているけど双六のどの位置の稜線にでるのか不明。本来ならば三俣からのトラバースルートにぶつかるはずなのだけど、それがどれだかわかりません。とうとう雨のようなアラレのようなものが微かに天から降ってきました。まだ幸い気まぐれなぽつぽつぐらいです。必死の頑張りで登って行くと、どうやら小屋をはさんで向こうにある樅沢岳の中間地点が見えて、その高さ位まで登ってきてしまっていることがようやく判明。やっと左下方面が双六小屋だとわかってへなへなへな・・・・・(感覚的には高度で100m位高い双六岳方面の位置まで登ってしまったようでした。どうりで長かったはずです。今回の登りの正解は、二俣を左に選択して、後半に右に回りこんでいくような感じが最短距離だったと後で別の方から教わりました)


本当は快適な下りと言いたいところでしょうけど、シールを外すのも危ない斜面なので、そのままズリズリと安全にスピードを殺してゆるゆると斜滑降。ザラメ雪もここまで湿っていると全く滑りません。小屋が見えた時はマジに助かった?(大げさ〜 苦笑)と思いました。 ぽつぽつとたまに雨が当たる程度でなんとか小屋に滑り込みセーフ。ちょうど小屋のおやじさんも顔を覚えてくれていて、昨日と同じ部屋をキープ。ちょうど玄関には昨日同室で黒部五郎岳をピストンしてきた単独男性とばったり。お互いの無事と健闘をたたえた。


小屋に入って10分するかしないうちに、本格的に雨が降り出してきて本当にラッキーだった\(^〇^)/ 少し休んでから暖をとる為に談話室に入ろうとすると、これまた3年ぶりぐらいにCさんとばったり。彼女はいまや渋い山では有名な山岳会に入っており、暮れに怪我をしたので立山〜薬師〜双六〜槍の日本版オートルートをクラブの男性と小屋泊まりで山スキーでやってきたという。これがリハビリ山行というから驚いたものだ。


食事もさすがに3日目もてんぷらとなるとちょっと辛いものがある(苦笑) 夕食の時間に皆が集合したが、今日は25名ぐらいだろうか? 部屋も空いている。大分雨が降ってきたので、テントから撤退してきた人達も夜からは数名有り。ずっと雨が降っているので明日の天気が心配だが、小屋のテレビは今日も映らず壊れたままだ。夜には黒部五郎岳をピストンした同室の男性と色々盛り上がった。3年連続で双六小屋には来ていて、テレマークは第一次ブームの15年前からやっているという。なかなか継続して続けるということは大変なことなので、いろんな興味深いお話を伺った。夜間の雨足は強かったが、朝になると大分小降りになってきた。


双六小屋7:00発     三俣蓮華岳9:20〜45     黒部源流 10:10頃?〜30
三俣山荘11:15〜45  モミ沢出合12:12〜25     双六小屋 14:50


この小尾根を滑って、すぐに右に滑走。
こちら側に登り返してから行けばよかったのに。。。
中央の樹のあたりが水が出ていた所
右の緩斜面から大きく回り込むのが正解。自分は凹部分を滑走
黒部源流の上の大らかな斜面だが、本日の雪質では全く滑らないだろう 気持ちの良い潅木の下をシールで登る
小屋の前から 槍に向かって滑り、登り返しは右の白い樅沢岳に突き上げるモミ沢を詰める
いよいよ弥助沢を滑走♪ 中央には雪の亀裂があって、あわや突っ込みそうだった
稜線より左のあたりから滑降 ここからは緩斜面。天気がよかったら斜面も綺麗に見えるのに残念
もう大分下がってきました 雪が茶色く、重い滑らない雪です。
沢が出てきて、この後はずっと右岸をトラバース モミ沢出合
モミ沢中間部付近。 樅沢岳山頂から絵のような見事なシュプールが1本。写真に写らなくて残念
ここの二俣で右を選択して失敗。左に行けばよかった。 右を選択して、しばらくして左に回りこんだのですが・・・・小屋まで遠かった。


4日目へ





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