至仏山


  〜ガスガスの中をワル沢滑走〜


 関東の山スキーヤーにとっては、至仏山は近くて斜面も穏やかで滑りやすく、代表的な山スキーエリア。ところが私はまだ行ったことがなかった。何故かというと、電車では早朝アプローチすること自体ができない場所だから。今回は、学生時代からの山仲間が尾瀬の小屋を使って4日間の尾瀬三昧をするという。彼らの一番の目的は2日目の景鶴山で、至仏山はおまけというが、私は28日(月)の中日は仕事なので、初日だけ一緒に行動することにした。



 山域 / 形態 尾瀬エリア / 山スキー
 メンバー 糸屯一氏、YUJI氏 、MINMIN
 日程 2008年4月26日(土)
 登山情報
●鳩待峠はこの時期交通規制外だが、駐車場は休日は常に満杯。(1日2500円)
●路上駐車の取り締まりが厳しい。
●戸倉駐車場からは、人数がまとまり次第、タクシー、マイクロバスが1名900円の均一料金で運行。バスも概ね1時間に1本はあり。
●鳩待峠にはコインロッカーはないが、鳩待山荘では荷物を有料で預かってくれる。
無料休憩所の裏にトイレあり。




 予定では7時半に戸倉に到着して、バスで鳩待峠に上がるはずだったが、出遅れて戸倉到着は8時近くだった。第一駐車場に着くと、タクシーやマイクロバスの運転手さん達が集まっていて、人数が集まり次第鳩待峠に上がってくれるという。駐車場では、なんと山スキーで何度も遭遇していて、去年の飛騨沢でもバッタリ遭遇してご一緒したちば山の会のテレマーカーのKさんが山岳会の皆さんと一緒にきており、ビックリで再会を喜ぶ♪ 彼らは既に鳩待峠まで車で上がり、満車と上は大変ひどい霧で意気消沈して降りて来たところだった。


 準備を整えて、タクシーで鳩待峠に上がる。本当に完全にガスの中で、寒々しい鳩待峠だった。しかし、観光マイクロバス仕立てのツボ足軍団や、あちこちに滑り系の人たちがいる。食事を摂ってシールつけていざ出発。9時半だった。今日は10時出発も懸念されたので、まずまず・・・・


 さっそく、シール登高開始。ちば山の会が9名と大部隊にて、その後ろあたりを登って行く。なんか穏やかな登りでいいなあ・・・・。途中からは右の方にルートを取って進んでいく。仲間の二人は去年も来ていてムジナ沢を滑っているので、お任せモード。前日の25日に鳩待峠の林道が開通したというので、実質は今日が初日なのに、相当に人が入っているのが伺えるシュプールやらツボ足の数。さすが至仏、こんなにガスガスでも皆さん入っているのですね。休んでいると左のルートから来た、ちば山の人達とまたまた合流。


 この後も、ひたすらガスの空間で近くの森林ぐらいしか見えないなかをシールで登って行く。1866mのピークに登った。あれ?本来はここは巻いたほうがよいらしい。この手前でカップルが地図を見て相談していた。うーん、スキーではここはルートミスみたい? 磁石と地図とGPSを交互に見ながら、西ないし西北に行くべきなのに・・・。ちば山の人達もトレースに誘われてきてしまった。元来た道を戻り、慎重にルートファインディング。晴れていれば絶対にありえない間違いをしていた。ガスは本当に怖い。やっぱり、一番当てになるのは磁石だ。ここでのロスは約15分間。


 正しいルートが判明して、登って行くとほどなくオヤマ沢田代のやや下あたり。既に上はガスや風も強いという情報あり。何組も登頂を諦めて降りてきている人達がいる。もう少し上で森林限界になるので、穏やかな所で休憩。少し食べて再び出発。ほどなく、ぼーっとした平らな斜面に到着。所々に竹ざおが指してあるのが嬉しい。視界はたまに100m位の時もあるが、概ね50m位か?20m位の時が多い。ここからは高速道路状態で(笑)、稜線脇をトレースがあるので迷子になることは無いのが嬉しいところだ。こんなに天気が悪いのに、さすが大メジャーエリアの至仏山!!


 だらだらと小至仏山を巻いているのか、まだ巻き終わっていないのか?ひたすら足を前に運ぶだけ・・・・時折ガスの中から人が休んでいるのが見えたり、、元来た道を戻る人達とか・・・・ さすがに、私一人だったら心細くてあっさり敗退していたかも?いつになったら至仏山に到着するのかなあ?時折パーティーが離れないように立ち止まってみる。至仏山の手前の風が全く来ない所にはかなりの人数が休んでいた。ここで休もうか?って糸屯一氏が聞いたが、YUJI氏は山頂で休もう・・・・と。わずかに下って、少しだけ登ったらあっけなく至仏山に到着(2228.1m)でした    \(^〇^)/


 私にとって、至仏山は実に10代の学生の頃に登った時以来の再訪だった♪♪♪ (恐ろしく昔ってことです。大苦笑)ちょうど、その時も糸屯一氏とYUJI氏らサークルのメンバーでワイワイ言いながら一緒に登っていたので、あの頃のメンバーと今もこうやって山に一緒に登っていることが、何よりも嬉しいし、感慨深い。その時も5月のGWの前半で、山の鼻からツボ足で登ったのでした。その時に、ここの斜面を滑ったら楽しいだろうなあ・・・・と思っていたので、是非今日は晴れて欲しかった・・・・。

 
 山頂に到着した時は私達だけだった。「去年なんか、どこに座ったらよいでしょうか?」っていう位の激混み具合だったという。ほどなく、別のパーティーも登ってきた。たぶん気温は0度近くまで下がっている。風が冷たい。帽子とかバリバリに凍っている。シールを剥がして準備をしていると、ちば山の会のメンバー達が続々と到着。


 さて、滑走のルートだが、一番最初の計画では二人は初日は笠ヶ岳を往復してから至仏山を登るというので、オヤマ沢田代までは一緒に登り、そこからは別れて自分はムジナ沢を上の方を少し滑って登り返して、最後はワル沢を滑走して鳩待峠に戻ろうと思っていた。ところが、このお天気で当然のごとく笠ヶ岳はパスなので、全員でムジナ沢を滑走して、二人は山の鼻の予約の小屋に泊まり、私だけが鳩待峠に登り返すことになっていた。


 さて、ガスも相変わらず酷いし、雪も降って来て、風も強くなってきたので滑走へ。左にトラバースするように
ムジナ沢に入ることにする。二人とも何度かここは滑ったことあるので、まあ大丈夫かなあ?って思ってくっついて滑り出した。ところが、強烈にその頃からアラレのような雪粒というのか氷の粒のようなのが顔に当たって痛い痛い!!!!目が開けられない・・・って糸屯一氏。YUJI氏も眼鏡で曇って全く見えない状態。まるで吹雪のゲレンデって感じ。私はゴーグルを持っていたので、ザックから慌ててゴーグルを出して装着。さすが、ゴーグル効果で顔がほとんど覆われるし、目も保護されてばっちり斜面も見える。私が先頭になって降りることにした。


 ガスの中をとにかく広い斜面だなあ・・・・と思って大きなターンで滑っていく。最初はガリガリ気味で、シャーベットを無理やり凍らせたような雪質。ちょっと癖のある雪質だが、ここは保身でかっこ悪くても確実な滑りで高度を落としていく。高度が下がるにつれて、ようやく雪も止んできて、ガスも少しだけ薄くなってきて、斜面が見えるようになってきた。雪質も、ソフトになってきて、待望のザラメでなかなか快適♪♪ わあーーーい!って感じ。そうこうしていると、右の尾根筋からボードとスキーの混成部隊が降りてきた。相当にかっ飛ばしている、なかなかイケテル滑りだ。私は、山では安全第一がモットーなんで、スピード控えめ。ああいう滑走はできないなあ・・・・・。

 沢が狭くなってきて、右の尾根に抜けるルートもあるみたいだけど、このまま沢筋滑ろうってことで、そのまま滑走。ほどなく、樹林帯の突入。既に数組が滑っているようで、なんとなくトレースができている部分もあり、沢筋沿いにどんどん降りる。最近は、こういう樹林の滑りも薮が濃くなければなかなか楽しいなあと思うようになっている。ぐんぐん滑って行くと、ところどころ沢が割れている所もあるけど、まだまだ選択の余地が一杯あるので楽勝だ。

 
 先ほどの団体ではなくて、別のボードの大集団と思われる人達が途中で登場。抜かしてもらって、パスすると、ほどなく広い斜面に出た。見ると、電柱がある。糸屯一氏が「やっちゃった!!!!」って。「え?」 
「ワル沢滑っちゃったぁぁ・・・・」 三人集合して地図とGPSで確認。どんぴしゃで、鳩待峠への急登が始まる少し手前の位置で、川上川の合流点でした。間違いなくワル沢滑走でした トホホ・・・・・・


 私はムジナ沢滑っているつもりだったのだけど、糸屯一氏は斜度がムジナ沢の方が緩いので途中からもしや?って思っていたらしい。私は鳩待峠に戻る分は楽なんで、実はある意味ラッキー。<燧岳を正面に見ながらムジナ沢を滑る>という、学生時代に夢想した滑走シーンは、やっぱり晴れて燧岳が見えなくては、ムジナ沢の価値も半減だもの。頭を抱えたのは、お二人のほうで、あと小一時間も山の鼻にテクテク歩いて行かなくてはならなくなった


 私がシールを貼り終えるのを待って、お二人とはお別れ。二人が遠ざかっていくのを見送り、私はシールで歩き始めたら、ちょうど約20名ほどの大ボードツアー軍団も歩き始めたところだった。さらに、前方には5,6名の別のボードツアーもいるようだ。ここはボードツアーの定番みたい?スノーシューよりも、シールのほうがやはり速くて、途中で川を渡る所では譲っていただき、そこからは、微妙に彼らとは登高ルートを変えてシール登高。再び雪が静かに舞う景色だった。25分ほどで無事に鳩待峠に到着。

 
 山荘にデポの荷物を取りに行き、ちょうどバスが出るところだったので速攻で2時半のバスで鳩待峠を後にした。山の上だけでなく、下界は雨がしとしと降るお天気だった。バス停で降ろしてもらって、約1時間後に沼田駅に行くバスがでるので、気分は冷え切った体を暖めるために、気分は温泉モード。ちょうどバスターミナルの待合所はスキーやブーツを片付けるのに最適。さあ温泉へと思って、秋に沢登りに来た時に入ったバス停隣の温泉旅館に行く。ところが、まだ3時頃だったので4時頃にならないとお湯が張らないという。ショック・・・・。さらに他に入れそうな場所を教えてもらったが、行ってみると宿自体が休館。他にあと2軒ぐらい回ったけどいずれも休館だったり、何度呼んでも人が出てこない・・・・。 


 結局、雨もしとしと降っていて、これ以上バス停よりも遠い所まで温泉探して歩いていくのも面倒なので、温泉は諦めた。これが列車&バスの移動の身の悲しいところです。体が寒いので、結局ダウン着込んでました。沼田までバスで出て、そこから高崎まで各駅停車で1時間位、新幹線の接続はすぐだった。約6時間ほどかけて自宅に帰着。やっぱり、電車で行く尾瀬は遠いなあ・・・・。ムジナ沢滑走がワル沢滑走に化けてしまいましたが、ガスの中の行動は色んな意味で勉強にもなったし、教訓にもなりました。次に至仏山に行く機会ができたら、今度こそ燧岳正面に見てのムジナ沢滑走をやってみたいものです。
鳩待峠 9:30発 休憩 10:25〜40 オヤマ沢田代手前  11:30〜40頃
至仏山 12:42〜13:15  川上川合流点 13:40〜14:00 鳩待峠 14:25



鳩待峠休憩所  稜線はずっとこんな感じのガスだった。(糸屯一氏)
     



ちば山の会の方達のひとコマ  

          至仏山山頂にて同級生トリオで記念撮影(右からYUJI氏、糸屯一氏、私)
ワル沢にて (YUJI氏
ワル沢後半  このあたりから沢が狭くなってくる 川上川合流地点  (なんで電柱があるの?・・・・ 現在地点判明!)





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