茂倉谷 〜癒しの沢を求めてのはずが、
                  シゴキの沢に大変身〜



夏休みを1週間取得して、北アに久々に長期縦走と思って出発したところ、お天気悪化で2泊で下山。北アの借りを上越で返してもらおう?!と思って、当初9月に行く予定だった沢に急遽行くことにした。今回も前回に続き上越方面の沢を得意とするモコモコさんとご一緒だ。彼女もこの沢は初めてなので、どんなことになるのかワクワクドキドキ♪




山域 / 形態  上越  魚野川水系   /  沢登り
 メンバー  モコモコさん、 MINMIN
 コースタイム
 2004年8月21日(土)
  土樽駅 (599m)        5:45発
  入渓点               6:20〜40頃
  865m付近             7:33〜45頃
  1055m付近(GPS測定)     8:53〜9:10
  F4の少し上(同上1250m)  10:55〜11:20
  2: 1分岐              12:45
  F10の上 (同上1553m)   13:10〜25   
   F12                14:10 
  稜線                  15:40〜45   
  茂倉岳山頂 (1978m)     16:00〜16:15
  茂倉岳避難小屋          16:26〜35
  矢場ノ頭 (1490m)      17:30〜52
  登山口駐車場           19:25
  土樽駅               19:55

登山口情報
●土樽駅はトイレと自販機はあるが、水は飲料不可。
●入渓点付近に大駐車場(100台程度駐車可能)あり。トイレと水はなし。

 資 料 ●上信越の谷105ルート(山と渓谷社)
同行の方のレポ モコモコさんの記録



今回は金曜日のうちに土樽駅に泊まって、早朝日帰りの予定だ。私は休暇中なので、各駅停車でのんびり先に夜8時50分頃土樽駅に到着。土樽駅で泊まるのは私は初めてだが、土合駅に比べるとこじんまりとしていて落ち着ける。しかし、駅の水道が飲料不可で、試しに匂いを嗅ぐと鉄の匂いがしたのには参った。もう一人中年の男性が泊まるようで、明日は山頂1泊でゆっくりと?茂倉岳に向かうそうだ。お勤め帰りのモコモコさんは新幹線とタクシーを使って到着したのが9時半頃。今日はこの駅は3人で静かな夜になりそうだ。(と思ったら、夜中に車2台で7、8人ほど某山岳会が到着。我々に遠慮して外で寝てくれた。万太郎谷に向かうパーティーだった)


翌朝は4時位から向かいの男性が起きていたが出発せず。私達は5時前に起きてゆっくり支度をして出発。天気予報は快晴のはずだが、前夜も雨上がりのところを到着していて、今朝も雲がある感じだ。車道を歩くと、目指す茂倉岳の山頂とその直下の避難小屋が聳えるように高い位置に見えた。ガイドブックによると遡行の標高差が1250m、遡行時間も5時間半と自分にとって過去2番目の沢での長丁場だ。遡行前後の行動時間も合わせると9時間位の行動時間がコースタイム。鈍足なんでどうなることやら〜。


車道をしばらく歩き、林道に入って入渓点まではしっかりと踏み跡がある。取水口を過ぎてしばらくすると沢だ。準備を整えていざ出発。最初は河原歩きだが、大きな石のゴーロ歩きというのだろうか。やがて綺麗なナメやナメ滝が出現。思わず写真を撮る。なかなか綺麗だ。そんなに水量が多いというほどでもないが、やはり釜が出現。先頭のモコモコさんがまずは行くと、おへそあたりまで水がある。続いて私だが、足が着くから大丈夫と思うものの、途中まで行くと私の方が背が低いせいもあってみぞおちぐらいまで水がきてしまい、「きゃ〜〜」とまたまた情けない声を発してしまう私であった(苦笑) モコモコさんがすかさず愛の手を差し伸べてくださって、本当にほっとした私でした。(^^;)


その後は小さな滝というのか、ゴーロ滝が幾つもあって、現在どのあたりを遡行しているのかわかりにくい。今回のガイドブックは、特に途中の区切りなどが全くなくて、ただ山頂まで5時間半と記載してあるのは参るなあ・・・・・ (普通は、せめて2〜3時間単位には区切りとなるように書いているのだが)。事前のネット検索では1つしかヒットしなかったが、とても足の速い方のレポなので全く参考にならない。ひとつひとつ丁寧に滝の遡行図と地形図を照らし合わせて登って行く。結局F1にたどり着くまでの漠然とした河原歩きのような大きな石のゴーロ歩きがとても時間がかかり、後の行程を苦しめることの要因となった。遡行図でF1とされた場所をとっくに過ぎたと思っていたら、地形的に左上に岩壁の形状が見えて、まだまだ大分下とわかって大いにがっくり。


やっとF1以降滝が連続するようになると少しほっとした。ガイドブックには、どの滝も楽勝、と書いてあるが、登攀能力があまりない私は結構苦戦。モコモコさんが難なく登った所も、体が固くて足が上がらない。写真をすぐ撮れるようにウエストバックをお腹の前に付けていたのは途中からさすがにやめて、後ろに回すようにしたら少しマシになった・・・・。特にハイステップみたいなスタンスがとっても苦手。やむなくキョン足風に登ったり、足のツッパリで登ったりと下手なりに試行錯誤。巻き道というのか直登できない場合は泥沢のような巻きやブッシュつかんでの巻きがある。最初にある10m3段滝は快適な流れで、思わず写真大会。やっとこの頃には自分達の現地点を確信できて、沢もこの辺りからが核心部らしい。


それからしばらくしたF4が前半戦の山場だった。最初にF4(8m)を見た時は、逆くの字の滝で、一旦釜の中(と言っても股か腰ぐらいだが。)に降りてから取り付くようだ。最初の1段上がるまでが大変そうなので、あっさり私は右の巻きに。モコモコさんも、鶏冠谷のくの字滝のトラウマ?があったようであっさり巻きへ。ところが、巻きの泥沢がステップが微妙にあるものの、ずるずるだ。モコモコさんは断念。私は、行けそうかと思って大分上の位置まで登った。「滑るかもしれないから、下で構えていてね」って言ってチャレンジしていて、あともう少し上がればスタンスが良くなるだろうという所で 〈 ずっずっず〜〜〜 〉 とバンザイしたままうつぶせ状態で見事に滑ってしまいました!! 幸いなことに左顎をぶつけて多少痛いぐらいですが、傷もなくほっ〜〜。しっかりと受け止めてくださったモコモコさんに感謝です。


結局、直登ルートにチャレンジすることになった。最初の釜の部分から最初の1歩がスタンスが高く、背がかなり高い人ならば楽かもしれないが、我々の身長では大変。私が思い切り下からモコモコさんを押し上げて、やっとこ1段上に行ってもらい、途中の少し足場の確保できる場所で私にお助けザイルを出してもらった。かなり引っ張ってもらったお陰で、私も突破。モコモコさんは、その上のルートは好きでないようなので、そのまま私が先に登り始める。結構快適に登っていたら、お助け紐は10mザイルなので途中で足りなくなってしまった!! まだあと2〜3mは滝上まである。えらく中途半端な場所でビレイする訳にも行かず。自分の長めのシュリンゲ2本と短いの1本全部すぐさま継ぎ足してなんとか滝をクリア。セルフビレイも取れないので、踏ん張った体勢で上からモコモコさんを確保して登ってきてもらった。


ところが、なんと私が確保している時に駅で一緒だった中年のおじさんがヘルメットでなくて帽子をかぶって突然私達が敗退した巻きの泥沢から登ってきたのにはびっくり仰天!! このおじさんは、昨日から私達が茂倉谷に登ることは知っていて、会話の中でも自分は釣りをやるということは話していた。この沢は初めてですか?とか聞かれたけど。。。全体に会話の語尾が聞き取りにくいしゃべり方をする方だったので、その方がどこを登るのかわかりかねていた。靴も重そうな頑丈そうなものだったし。それがいきなりこのヤマ場で登場とは驚き!!おじさんは泥沢の巻きを巧みに難なく登っていった。いやはや驚きました。速い速度でその後は一度もお姿を拝見することなく。。。やっぱり、男性は速いなあ〜〜。 私達はヤレヤレ気分で、お腹も空いたのでここで大きく休憩。





正面奥の茂倉岳に向けて出発 右が関越道 最初に出てきて綺麗なナメ
こういう気持ちのよいナメを求めて出かけたが、実態は最初だけだった。 この辺りも気持ちのよいナメ。
朝の光りの中で、小滝が連なる。 上越らしい大きな石とナメと・・・・・
こんな感じで歩いていたMINMIN モコモコさんの方を振り返って。
10m3段ナメ滝を行くモコモコさん。快適に登れた 前半の核心部になったF4のトイ状の滝。手前の岩を強引に登って行く。
F4を上から見て。逆くの字の途中でロープ足りず緊張が走る。 F4を終えて、気持ちよい風景が眼下に広がる。この頃は良い天気だった。



F4から上は、コンスタントに滝があるけど特に特徴的な滝はないので、はっきり言って記憶が混乱しています。ここまでも時間がかかっているので、その後はあまり写真は映さず。。。。。何回かシュリンゲで引っ張ってもらったり、逆に私が先に登ったルートがモコモコさんが苦手だったりと、それぞれの得意不得意を補って(その多くは私が補ってもらうことの方が断然多かったです (^O^) )遡行を続ける。 次の核心はF10(5m)は、私の苦手の岩のトラバースから入るものなので、最初からモコモコさんがザイルを付けて先に登ってもらい上から確保してもらい登ったと思う。F11(8m)は、最後の右から回り込む所が滑りそうで高度感があって、よく確保なしでモコモコさん行ったなあ。。。と感心。最後の所だけシュリンゲを投げてもらってクリア。名も無き滝では、モコモコさんの足を支えて下から持ち上げて登ってもらった上で、私を上からシュリンゲで引っ張ってもらったりと、二人してなかなか忙しい(笑) こんなにシュリンゲを一杯活用したり、お助けザイルも2度登場となかなかそれなりに夢中になってやっていたら、かなりの時間が経過していた。やっと最後のF12らしき所まで到達する頃には、すっかりお天気も曇り空になっていた。最後の滝は右の巻きのような所を登ってヤレヤレ。


この滝で最後か確信までは持てなかったが、すぐに水がなくなってきたので慌てて水を汲んだ。もう2時を過ぎているので、なんとか3時までには稜線に出たい。そのまま私が先に沢の窪(凹んでいるあたり)を登って行くが、さすがに上越の笹だけあって本当に藪漕ぎだ。30分ぐらい?は先に登っていたがそのうち、窪も無くなってきて、どこを登っていいのかわからん状態になった。本当に笹のジャングルだ。そこでモコモコさんに先頭を代わってもらうが、ここからが本番だった〜☆★☆ 今まで歩いていたのがいかにラクだったか痛感するような感じで、背丈よりも遥かに高い笹を掻き分けて、まるで平泳ぎをしているみたいだ。腕は疲れるし、足場は無いに等しい。ほとんど視界がきかない。たまたまちょっとだけあたりが見えたら、窪が右に見えるとモコモコさんが言う。もう少し右に行こうとするが、トラバースになると私は笹で足場が滑りそうで怖いのでトラバースは勘弁してもらった。それでもって、辛いものの直登りを続けることになったが、ふくらはぎはパンパン。かなり辛い。すごい急傾斜。時計の高度計を見ると5m登るのに何分かかっているのだろう・・・・。やっと10m上がった、あ〜時間は無情に過ぎていく。とても3時までには稜線にはつけない。あたり一面の笹の海に苦闘する女ふたり・・・・、参ったもんです。幸い日が翳っているのだけが救いであった。私の何倍も先頭のモコモコさんは大変なんだと思うと頭が下がる思いだ。そうは言っても、笹は人ひとり位が踏んだぐらいではすぐに反発して戻ってきてしまうので、2番手の私も辛かった・・・・。途中、ほんの僅かに一息入れたが、5分とせずに戦闘再開。なんとか視界を確保したいが、なかなか見えない。やや山頂よりも左に行き過ぎているのだけは確かだ。高度計から見ても、かなりまだ山頂は右上方だ。ただただ笹との戦いが続く・・・・・・・・。


やっと、前方上の方に潅木の木があった。もしかしたら、少し足場も良くて見晴らしも利くかもしれないと思って力を振り絞って近寄ったら、それはシャクナゲの木々で、かえって登りにくいものだった。それでも、少しその潅木系のジャングルをくぐり抜けていると、タオルが木に結わえてあり、近くにペットボトルが落ちていた。ゴミを捨てるのは良くないが、そんなこと言っている余裕がなかったのか?なんて考えていたら、ほんの僅かモコモコさんが先に潅木を越して行ったところで、突然 「出た! 登山道!!」「えっ〜〜!!」 信じられない言葉だった。まだ、あと高度で50mぐらいは登らないとならないと思っていただけに、ものすごく意外だった。


本当に、突然登山道に出ると舗装道路に出たみたいにほっとした。一応ビバークセットは持ってきていたが、あまり遅いと避難小屋泊まりかなと思っていた。これだと今日中に下山可能だ。水だけ飲んで、すぐに茂倉岳山頂に向かう。ガイドブックだと5分で山頂というが、疲れていたせいと大分左の稜線に出たせいで15分ほどで到着。
真っ白いガスに巻かれていたけど、なかなか感無量だった。(実に高校生の時以来の登頂という本当に久々の茂倉岳でした)


沢登りの装備を私は解いて、ジョギングシューズに履き替えた。モコモコさんは渓流シューズのままの下山だ。まずは避難小屋まで降りるが、この小屋はとても綺麗な小屋で、一人男性がいた。例の人かと思って話しかけたら、全然別の人だった。水場も近くにあるようで、トイレも2つあって綺麗だった。茂倉新道は、矢場の頭まではアップダウンがあるということなので、まだまだ気を緩められない。かなりお腹も空いているが、登山道に咲いていた小さな白いお花(ミヤマコゴメグサか?)やハクサンフウロ、ウメバチソウなどに慰められて矢場の頭に到着。やっと一息ついて、腹ごしらえ。ここから見上げた茂倉谷は、本当に長くてよく自分でも遡行できたなあと感激もんでした。感動にじっくり浸かりたいものの、あと日没まで1時間ぐらいなので、そんなにはゆっくりできないのが残念。


下山の道は樹林帯の中の道だが、全体に細くなっている尾根上の歩く。モコモコさん曰く、「桧廊下」と呼ばれる細い所で過去に右側に滑落死しているケースもあるという。なんとか明るいうちに危ない個所はヘッデンなしで通過したいものだ。ダッシュしたお陰で無事にそこを通過。(確かにこの辺りは、木の根が多くて疲れてつまずくと尾根から落ちそうな個所がある。) その後も、日はどんどん暗くなって先頭の私は我慢できなくなってヘッドライトつける。(18:45) 空がもっと晴れていたらもう少し明るいと計算してだけに、誤算だった。モコモコさんはさらにもう少し我慢していたが、遂にはヘッデンをつけた。暗くなって速度は低下、足に粘りが無くなってきて滑らないか躊躇することも多くなった。ストックがあればよかったかな? 関越道のオレンジのライトの位置まで降りないと駄目だということはわかっているので、随分暗い夜道に高速の明かりに叱咤激励されているようでした。


かなりのヘロヘロで、ようやく登山口に到着。すぐに広い駐車場らしき所を通過。ここまで広くて明かりが全くないと、どこが道かもわからない。モコモコさんがこっちですよと誘導して、やっと安心して普通の道に到達、心底ほっとした。途中の湧き水が出ている所で、思う存分顔など洗ってから土樽駅に到着。


まさか、14時間もかかるとは思っていなかったが、上り電車はとっくに終わっているので、最終の下り電車で越後湯沢に向かうことにした。ちょうど1時間位あるが、駅にデポした荷物を整理したり、体を休めた。新幹線に乗り継いで無事東京に戻ってきました。モコモコさんのご主人の山人さんが新幹線ホームに迎えに来てくださったのを見て、なんだかジーンと来てしまった私でした。


茂倉谷はガイドブックでは、谷川連峰入門コースで初級人気度☆☆で、「厳しい所はまったくといっていいほどなく、よく言えば快適、悪く言えば単純」という評価が書いてあるが、もう少し滝の登りの上手な人で、笹薮など物ともしないパワーがあれば、すごく簡単に登れるのかもしれない。しかし、女ふたりで力を合わせて協力して登れたことがとても嬉しい。沢の経験はまだまだの私に、本当に色々とリードしてくださったモコモコさんに大感謝です。


 GPSの軌跡(山頂付近のみ)
青が予定遡行ルートと稜線とおおよその縦走路。(事前にインプットしておく)

●赤の線が実際のトラック。茂倉谷の遡行ルートが上で、下の方が茂倉新道。
予定よりも左に遡行してしまったが、逆に最低コル付近に出たので、藪漕ぎの標高差はこれでも低くて済んだのかもしれない。


F?不明。 先を行くモコモコさん。 F10か?滝口の一手が少し怖かった。シャワークライムで水の冷たさを痛感
大分源頭部まで来たが、まだまだ稜線は遠い。 これからが、笹薮地獄の始まりだった。見るよりも遥かに遠かった。
F12最後の滝だった。写真に写っていない右のルートを登る。 左の写真から1時間半の藪漕ぎの末、稜線に到着。超お疲れヨレヨレ・・・
稜線に出た所の写真。下からみて左がやや小ピークで、その右に詰めた。 茂倉岳までの最後の道のりは気持ちよい縦走路。
茂倉岳山頂(1977.9m)の私 茂倉岳避難小屋は立派な造りで綺麗。ロケーション抜群。
矢場ノ頭より、茂倉岳と茂倉谷を望む。ガスで山頂が見えず。 上から見て、本当に長いなあと感慨深い。
矢場ノ頭で記念写真。 土樽駅に到着。 モコモコさん、ありがとうございました。










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