第2日目(9/7)奥穂〜北穂編



穂高岳山荘の前の広場でしばらく休んでから、いざ出発。涸沢岳に夏に登るのは初めてだ。今までの縦走路と違って暑い。ふっ〜って感じで、大したことない登りをえっちら、こっちら登る。さすがに少々疲れているのかな。涸沢岳のピークは人があふれていて、あまりゆっくりする場所もない。そうこうしていると、今日初めてガスが奥穂の方に薄っすらとかかるのを見た。今まで本当にピーカンだったのが不思議なぐらいだ。


涸沢岳からの急下降は、これはなかなである。かなり長いクサリをどんどん降りていく。クサリは幾つかに分かれているが、ずっとコンスタントについていたと思う。下から3,4人のパーティーが来ているので、十分すれ違い可能のところがあったので、声をかけて登ってきてもらった。ひとしきり降りて、やや普通のところを歩くが、その後はたぶん涸沢槍を登るのだろうが、ちょうど薄っすらとガスもでてきてどれがそれだかわからなくなった。なんだか、小さなピークを登ったり降りたりと忙しいもんで、はしごも何度か出てきたがしっかりしていて、特に問題になるような場所ではなかった。西穂〜奥穂までのコースでいろんなダイナミックにスリリングなコースを堪能してきただけに、それよりは縮小版みたいな感じで、もう少し安定感のある、人通りも多いコースといった具合で、ちょっと食傷気味(苦笑)。 せっかくのコースだけど、さすがに飽きてきました。ひとつの区切りとなる最低コルまでなかなか着かない。晴れているけど、ガスがあるので、たぶん晴れていれば滝谷とか、ドームとかを見るのを楽しみながら登れるんだろうが、なんかよくわからない。やっと最低コルの表示が現れてほっとする。


だんだん、夕方と言っても3時ぐらいを過ぎたのだが、大分暗い様相になってきて、風も冷たく感じるようになってきた。さすがに行き交う人も少ないが、それでも短パンの外人さんが震えながら歩いていたりする。小屋の到着は最低でも4時には着きたいが、ちょっと苦しい。ガイドブックのコピーを持ってきているが、クライミングの岩の名称を目安に書かれているので、ガスで見えないので、どれが有名なドームか滝谷第四尾根か・・・・、今ひとつ自分がどこを歩いているのかわかりにくい。ただ、途中で幾つかクサリがある他にも、すぐそばにペツルのピカピカの支点(クライミングに使う支点のこと)が幾つも連打されているところがあって、これが有名な恐らく岩場の上部か・・・・と思いながら歩く。


やっと本に載っていた大岩が現れて、ここで一休み。風が冷たくなっているので、風を完全に避けることができてほっと一息である。まだまだ先があるようなので、ちょっとお疲れ。薄っすらと見える岩壁は何なのか、北穂の山頂はどれなのか・・・ガスで見えないというのは心理的に嫌なもんである。なんとか、見覚えのある南稜からの合流点に到着したときは、本当に嬉しかった。*(^O^)* *(^O^)*


やっと目処がついて、一休みしてから、あと一息の北穂山頂へ。ここからは、道もぐっとよくなり気分よく真っ白なガスのなかの北穂山頂に到着。実に西穂の小屋を出てから、11時間50分!! 念願の西穂〜奥穂だけでなく、さらに北穂まで一気に来れたことで、すごく充実した満足感だった。





この日初めてガスが出てきた。奥穂を振り返って。 涸沢岳を下ってから振り返る。クサリの連続
ガスが出て、ずっとこんな岩場を歩く。さすがに飽きた 北穂高岳山頂で思わずバンザイ


さすがに、すごく疲れて写真を撮ってもらうとすぐさまに小屋に直行。今日も2畳ぐらいのスペースに女性と二人でラッキー。居場所をキープすると、すぐにお布団を敷いて、しばらくまったり〜〜。 でも、小一時間したら、夕食の時間になって、美味しい小屋自慢の豚肉の生姜焼き(2枚入り!)を食べたら、気分もすっきり。モリモリお代わりもしてしまった! 食器も陶器の焼き物を使っていて山小屋の食事って感じでなくて贅沢である。 この小屋は前から絶対に泊まりたかったが、クラッシックが静かに流れる独特なムードの昔ながらの小屋の感じである。大規模の所とは違った手作りの感じがするところだ。


小屋前のテラスで寛ぎたいところだが、全くガスで何も見えず。混むことで有名な小屋だけど、今日は日曜日のせいかたぶん60〜70人程度の定員内というところか。いい時に来れて本当によかった。





第3日目(9/8)



お天気がよければ、久しぶりに大キレットを通って、槍までは時間がないけど、南岳新道経由で新穂高温泉に降りてもいいなあと思っていた。しかし、夜半には雨が降っており、朝には霧雨程度まで回復したが、相変わらずガスの中。無難に上高地側に下山することにした。朝食も美味しく頂いて、今日はゆっくりモードで出発することとした。


微かにガスが降っている程度なので、雨具はつけずに降りることにした。全く何も見えない山頂を後にして下り始める。本当は昨日歩いたコースの全貌を一度はきっちり眺めて見たかったが、こればかりはしようがない。下りは本当は得意なはずだったが、完全な筋肉痛でう〜ん、苦しい。(苦笑) あまり速くは歩けないので、昔はよく駆け下りてしまうようにしていたが、今日はお花など愛でながらデジカメ携えて遊びながら下る。もう秋の花という感じで、あまりお花は咲いていないが、それでも何かないかな〜〜って思いながら下る。涸沢近くまで降りてくるとやっと下の方はガスがなく、曇り空というところだった。近くにお花が結構咲いているところを見つけ、早速撮影モード。


そんなことしながら、涸沢ヒュッテに到着。少し休んで再び降り始める。前回の雨の時と違って、沢もちょろちょろとかわいいもんである。改めて自然の猛威を感じる。本谷橋まで降りて休んでいると、西穂で同室だった女性と再会。昨日も実は北穂の小屋で会っていた。彼女の連れの男性達は奥穂高から一気にその日のうちに新穂高まで下った。彼女はそんなに猛烈な男性ほどは歩けないので(と言っても、ほとんど私と同じ位の所要時間で北穂まで来ているが)、主婦の方で翌日仕事とかもないので、北穂まで足を伸ばしたのだという。ここからは、ちょうど一人歩きで飽きていたこともあって、またまた山の話などをしながら歩く。山スキーでは有名なガイドの人と滑り友達だったりして、内輪話など聞けて大変面白かった。


結局、徳沢まで一緒におしゃべりしながら歩いたので、随分助かった。。筋肉痛あるとストックが欲しい〜〜という情けない体たらく。。。。 (若い頃からトレーニングをしていてもどうしてもなってしまうので、困ったもんだ。)食事を軽く摂るという彼女とは徳沢で一旦別れて、明神まで私は一人で歩く。明神のテーブルで今度は私が軽く食事をしていたら、彼女と再び合流。最後は、長野県在住だけど、上高地は実は今回初めてという彼女に、少し上高地案内の話などしてバス停まで歩いた。今日も上高地は相変わらずの人ごみだった。
。。。。


                   ↓
↓  写真の下にもまだまだ続きます。 今回雑感を載せてます。
                        よろしければ、MINMIN独断のコメントをみてやってくださいませ。

ガスの中の北穂高小屋の朝 前穂の北尾根にいつか行きたい。
?のお花     トリカブトと黄色い黄色いお花のお花畑
黄色いお花のお花畑  誰かこのお花の名前をおしえてください。
シオンのお花が上高地街道に一杯咲いていて 恒例の河童橋にて



雑感



長年いつかこのルートを行ってみたいと漠然と思っていたが、幸いなことにインターネットという便利なツールのお陰で自分にとってベールに包まれていたかに思っていた、このルートもそんなに悪路難路ではないということがわかって、ようやく行くことができて嬉しいです。


私見ですが、少し参考に思うことを幾つか書いておこうと思います。(もちろん人それぞれなので、それぞれの考え方や、やり方があって当然なので、一つの考え方だと思ってください)


●やっぱり第一の決め手はお天気です!!
   大変恵まれた天候のお陰で、さしたる困難を感じず登ることができましたが、雨や強風、ガスといった要素があればとたんに、何倍も苦労が予想されるコースです。もちろん、前後には小屋もあるので、待機や撤退は可能ですし、十分天候判断をすることができる場所だと思います。
どういう天気で歩くのかというと、あとはどこまでリスクを負うのかという人生観によってしまうのかと思います。



●本当のところ、どの程度の岩の困難さか?
   正直なところ、こればかりはその人の岩場に対する慣れの問題がかなりあるので、一概には言えません。ただし、軽度の高所恐怖症程度ならば恐らく通行可能と思いますが、重度の方は絶対に止めたほうがよいと思います。どうしてもそれでも行きたいのならば、マンツーマンガイドしかないかな・・・(グループでのガイド登山だと、ずっとアンザイレンしているわけでもないので、このルートはさり気なくずっと高度感のあるところばかりなので、怖いと思います。)
 
   私も写真をかなり載せたつもりですが、
本当の核心部(馬の背の数歩の核心部とか)は当然写真なんか撮れる訳がないので、そのあたりも考慮すべきかと思います。たくさんある一杯のクサリとかトラバースも一々面倒なので写真をそうは撮ってませんが、全てそれなりの高度感があると思った方がよいかと思います。要は写真に載っていないけど、当たり前のようにたくさん岩場があるということです
  
   そういうのを、楽しいと思うか、怖いと思うかで随分違ってくると思います。例えば、有名なところで言えば、槍の穂先は、岩場になっているけど、ここでセミになって渋滞を作ってしまうような方はこのコースを正直無理だと思います。この程度の岩場や高度感などは一杯出てきます。やっぱり、岩が割りと好きな人でないと、行っても楽しくないんじゃないかなあ・・・・。 そうでないと、命を賭けての肝試し大会ってことになるのかなあ・・・・。

   このコースは、ザイル装備でハーネス、メット使用の人達も結構いる。メットは持って行こうか悩むところではあったものの、持っていきませんでした。ザイル関係は、当然パーティーでもないんで持っていきませんでした。ザイル操作ができる人と一緒に行けば、もちろん気分的に楽だとは思いますが、
晴れていれば(←ここが一番のネックなんだけど。。。) この程度の岩稜はザイルなしでも歩けないと自分自身で納得ができません。



●事前トレーニングはどの程度まで
   プロローグのところでも触れたように、私の場合、岩トレーニングやクライミングジムでの、ごく初歩的なトレーニングをしてます。それが、直ちに役に立ったか、やらなければ行けないのかというとそういうことはないと思います。ただし、そういう練習をしていたほうが、気持ち的に楽だということは間違いないと思います。

   私は何回か、山岳ガイドの方の海外登山の為の机上講習会みたいなのに出たことがあるのですが、その時に生徒の人が「どこどこの山に行きたいのですが、○○のコースをやれれば行けるのですか?」という質問が出た。それに対してガイドは、怒ったように「○○のコースができればどこどこの山に行けるという発想は自体がよくない。必要最小限度のトレーニングしかしていないのでは、状況が厳しくなった時に追い込まれてしまう。だから、なるべくそれをカバーできるようにもっと広い意味でトレーニングしておくように」と厳しく言われた。

   今回歩いてみて、西穂〜奥穂までのコースと一番似ているコースはどこかと聞かれたら、自分としては「奥穂〜北穂間」が一番似ていると思いました。事前には行ってなかったですが、今回歩いてみて、山もすぐ近いし感じが似ているなあって思いました。大キレットよりも緊張感が続く時間が長いような気が?しました。なるべくそういう緊張感のあるルートを事前に行っておいたほうがよいと思います。それと、当たり前すぎるけど、
体力勝負の部分が強いので長時間歩行ができるようにしておくことは当然ですね。
  


●自分が行った安全登山への対策
   一人で山に行くと、万一の場合は致命傷になることが多いので、かなりリスクを排除していくことにした。まずは、
荷物の軽量化。それに、私のザックはカリマーのリッジというサイドポケットを出して使ったり、収納したりできるタイプですが、今回は、このルートを歩く日だけは、そこもペッチャンコにして、サイドもすっきり、ザックの外に何も出さないということを心がけた。軽くても見かけが大きいと岩に引っかかるので要注意だ。テントマットなどを外付けするなどは、絶対にお勧めしない。
   
   中にはテント山行にこだわりを持っている人も多いかもしれないが、リスクと安全とテント山行へのこだわりを色々と天秤に賭けると、自分レベルの「テントを持つと重いなあ〜〜」なんて言っている人は辞めたほうがよいと思う。最近は軽量化が進んでいるので、男性で体力のある方だと、全然軽荷と同じにように歩けるとか、全然平気っていう人もいるだろうから、そういう方はご自分の体力と相談してどうぞ〜〜(笑) それでも、
ザックが大きいほど、リスクが大きくなるのだけは事実だろうなあ。

   それと、早立ちも安全登山へは絶対大切。遅ければ遅いほど追い込まれるし、天気も夕立やガスで悪くなることが多い。自分自身の体力は、う〜〜ん・・・・っていう感じなので、早く行動開始することにしました。いくら軽量化と言ってもコンロぐらいは持って歩きたい(ビバークセットも兼ねているので)ので、朝は自炊でスタートでした。9月なのでやや日の出が遅いので、もう少し早い時期での方がもちろん有利です。



●コースタイム私見
   今回HPを作成するにあたって、色々と自分なりに山行を振り返ったけど、どうも、
ガイドブックに載せてあるコースタイムはかなり甘めにわざと作っているのではないだろうかと思うようになった。特に前半の間ノ岳までのコースタイムなど、いくら考えても私ごときがそんなに速く歩けるはずない!! 疑惑のコースタイム表示だが、ひとつ思い当たる節がある。というのは、西穂山頂までは、ロープウエイの関係で気軽に登山という心構えがない人達までが来ているのが実情だと思う。その人達が、仮に間ノ岳まで片道1時間なんて、コースタイム表示をしたら、「たった1時間と書いてあるから、ちょっと行ってみようよ」ということになる。どんなに、「この先は難路です。」と大きく表示をしても「ちょっと危ないところに行ってみよう」なんて思う人を阻止することはできない。往復で2時間ならばそういう気にもなる。ところが、ガイドブックで片道2時間となると、往復4時間もかかってしまうことになるので、さすがに簡単にそういう気分にはならなくなる。
  
   また、合計でも西穂〜奥穂の場合は本にもよるが、一応小屋の間が9時間半〜10時間程度となっているので、少なくとも歩こうとする人は、いつもの登山経験で8時間以上のコースタイムをこなしておくことはするだろうから、それなりに経験を積んで登ることになる。それを、もし仮にもっと短いコースタイム表示(たとえば7時間位)にしてしまうと、もっと初心者で経験がない人や遅くしか歩けない人までもこぞって来てしまうだろう。 
 
   本当の正しいコースタイムなんていうのはそもそも客観的にはある訳がないのだし、自分自身でもテント装備でやるとか、もっと天気が悪かったりしたら、時間がかかるのは目に見えていると思う。要は、ガイドブックは比較的多めにコースタイム表示をすることによって、一つの遭難防止への抑止的効果を行っているのではないだろうかと考えるに至ったのでした。



以上です。
ここまで読んで下さった方、ありがとうございました  *(^O^)*








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