2日目(9/7) 西穂〜奥穂編



朝3時半起床。空は満点の星空だ。自炊できる食堂に行く。ここには自販機があり、明るいので、その近くのテーブルならばヘッデンも使わないで済む快適な場所だ。最近お気に入りのインスタントのお雑煮を食べる。独標から先はやや岩場なので、できれば明るくなってから歩きたいので、時間調整も考えながらゆっくり出発の支度をする。


4時25分、ヘッデンをつけて歩き始める。すぐ前を御来光狙いの軽荷と空身のご夫妻がいることに気づく。しばらく後ろを歩いていて、適当なところで抜く。この前来たばかりなので、途中までは暗くても安心。稜線に上がると黒いシルエットの山々が正面に見える。ガレている登りになると、本当にガラガラしていて、ストック持ってくればよかったな〜〜とちょっぴり後悔。(ストックはたまに使うが、今回は岩稜帯なのでパスした) ちょっと朝一のやや重い体調で先ほどのご主人の方に再び追い越される。だんだん明るくなってきて、ヘッデンも必要ないぐらいの薄暗い感じになってくる。独標に到着すると、さらに二人の男性がご来光待機であった。あと少しで前穂の方角から日が昇りそう。



独標からの景色 奥穂〜前穂の吊尾根のシルエット
雲海の綺麗な朝だった。富士山と八ヶ岳方面 日の出




こからは、今日は誰も歩いていないようだ。気を引き締めて独標を下る。直下はやや急だが、今日は3年前と違って渋滞待ちがあるはずもないので、快適に降りれるので嬉しい。(個人的には独標〜西穂の間では、ここが一番難しいかな?と思う)次に目指すは前回苦戦?のピラミッドピークまでの道のりだが、朝の気持ちのよい景色の中をどんどん歩き、やっとピラミッドピークに着いたと思ったら、なんと西穂山頂でした!! ガイドブックによると、独標〜西穂山頂までは大小13のピークがあるというので、数えていったつもりだったのですが。。。。(いまでも、ピラミッドピークはどれだったのか謎です。 ^^; )


最近ではコースタイムとそんなに変わらない程度しか歩けない私としては、西穂まで2時間を切ったのは大変珍しいことです。(ガイドブックだと2時間半〜3時間というものが多いようです)大いに気をよくして、これからの縦走路も微笑んで見えてしまいます。今回は軽量化を意識したので水2Lとゼリードリンク2個の水分を含めて8キロと軽いのが最大の要因。(パーティの方ならばもっと軽くできると思う。軽量化したつもりでも、慎重な性格のせいかもう一段の軽量化ができない。 苦笑) 




↓↓写真は画面をクリックすると、大画面になります。
西穂山頂 槍への稜線 西穂山頂からの奥穂 吊尾根シルエット 奥のピークが間の岳




いよいよ、奥穂への縦走の開始〜!! もっと緊張するかと思ったけど、あまりに天気がよく、西穂までのコースタイムに気をよくして、るんるん!  といっても、これからは丁寧な足の運びで慎重を心がける。間の岳までは、ガイドブックによって2時間とか、2時間半とか、かなりばらつきがある。速く歩いている人のHPだと1時間で到達しているものもあるので、本当にどんな感じか一番気になっていた。途中5つの小ピークがあって、2個所ぐらいの場所で事故も起こっているという隠れた難所らしい。すぐにP1という表示のピークには到達。そこから下るあたりからは、白ペンキの丸印を概ね探しながら歩いていく。丁寧に歩いていれば、浮石かそうでないか、大体わかるのでそんなには心配いらない。クサリが幾つか出てくるが、中でも結構長いのもあって、さすが!とか思いながら楽しむ。かなり立派なクサリなので、これから先は、大体右手にクサリ、左手は岩のホールドをつかんで、それで両足スタンスをバッチリ探しながら降りていく。クサリを補助的に使うぐらいの意識の方が動きやすい。1つのクサリはかなり長くて、クサリに頼り切ったら振られるし危ないのがあった。また、クサリに頼らないと言っても、ホールドの方もかなり大きな岩でも、ぽろっとつかんだら動く浮石だったりすることもあるので、なかなか用心が大切である。


そうは言っても、概ね手がかりとなるところは多いので、やっぱり一般縦走路である。むしろ、私的にはクサリのない、ほんのちょっとしたガレ場の下りとかで不安定なスタンスでトラバースするとかの、そういう場面の方で幾つかやや怖いところがあったった。たぶん登りにとると全くなんでもないところだろうが・・・。それと、
常にザックの大きさを意識して歩くように心がけた幸い今回ザックは小さ目だったのでよかったが、下りの途中で斜面にザックの底の部分がぶつかったり(かなりの急斜面なので)狭いスタンスで方向転換といったときに、ザックが邪魔になったり、ぶつかったりすると危険である。ぶつかった反動でバランスを崩すと危ないので、相当な自信がある人でなければ、大きなザックは避けた方がよいルートだと思った。


なんだか、一応4,5回ピークを上下したような気分の時に、意外に早くなんと1時間弱であっけなく、「間の岳」のペイントが書いてあるピークに到達! 本当に今日はどうしちゃったんだろう?!?!

ここまで来ると、もう天狗岳のピークに逆縦走の人が複数いるのがはっきり見えている。あの下が、逆層スラブ、その先を行くとジャンダルム・・・・ なんだか、とっても楽しい! 陽射しが既にかなりあるが、爽やかな風が吹くお陰で汗が少ない。



↓↓ 写真は画面をクリックすると大画面になります。
    
@P1から見た西穂山頂 A中央が間の岳
これから向かう山々が一直線
BP2かP3あたりから振り返って。さり気なく危ないところを歩いてます C間ノ岳のアップ
D間の岳の登り
ペイント多数有り
E間の岳山頂
ガスの時は降りる方向に要注意
F間ノ岳から天狗の頭の登山者を発見 G遠目からみた逆層スラブ



間の岳の下りも慎重に下る。間天のコルに降りるところにクサリがある。向こうからの縦走の人達がやってくるのが見える。彼らが待つ前にクサリをクリア。すれ違って、お早いですね〜と声をかける。彼らは陽気な30代半ばの男性3人組。相当朝早く出てきたと言っていた。しばらくすると、女性の単独行の人ともすれ違う。いよいよお楽しみの天狗の逆層スラブ状岩壁に到着。岩壁というと垂直に近いイメージを持つが、穏やかな寝ている角度と言っていいぐらいの穏やかな感じ。今まで岩トレをしたことのあるどのゲレンデの斜度と比べても楽なぐらいの斜度である。そこにがっちりとしたクサリがちゃんとついているのだから、登る分には安心である。フリーで登ってしまいたい気分でもあるが、まあ荷物も持っているのできちんと今までしてきたように、右手クサリ、左手は岩のホールドで確実に登っていく。スタンス、ホールドともにクサリのやや左側に縦に利用できる凹凸があるので、それを使うと楽である。爽快な岩の感触を楽しみながらあっという間に上まで登った。どうやら、ここのクサリのありがたみは下りの人や雨の時の為にという感じだ。


あまりにすぐに天狗の頭に到着したので、天狗のコルまで休まずに行くことにする。コルへの最後の下りは下部が崩壊していてクサリを使っても要注意とのことなので、慎重に下るが、確かに最後の1歩はスタンスが遠くてMINMINの背丈一杯ぐらいなので、ゆっくりと足が届くことを確認してスローな動作で無事にコルに降り立つ。


日陰にいると寒いぐらいなので、日当たりのよい壊れた避難小屋のある方の信州側の斜面で、しばし日向ぽっこ。ここからは標高差300mの登りになるので英気を養う。まばゆいほどの穂高の岩々が迫ってくる。早くジャンダルムを見たいなあ。。。って思いながら。


ここから先は、しばらく登りだけど、比較的単にガレ場を登るだけなのである意味あまり神経を使わない。今までのようなトラバース的な要素やアップダウンがない分、やや体力勝負的である。逆縦走の人達が上から、ご夫妻のパーティー、男性3人ぐらいのパーティー(半ズボンで歩いていて、膝から血が結構生々しく噴出している1名あり。大した怪我ではないようだけど、
岩ばかりのコースなので露出度が高い服はやめた方がよさそうです。 )、 さらに、恐らく60台位の女性とそれをタイトロープしているガイド及びその他のお客さんたち達のご一行(6、7人ぐらい?) (注:タイトロープとは、1m以内でザイルを極めて短くガイドと結んで歩くやり方。瞬時にして止めることを目的としている。今回は下り局面なので、お客さんが先に下って、ガイドが後ろで止める。登りだとガイドが先に登ってお客さんが後。) もう少し後に、もう1パーティーぐらいとすれ違う。大きな斜面だったので、すれ違いも楽でよいところで交差したと内心ほくそ笑む。小屋発の人達の平均的な歩行速度だとこういう感じになのかあ〜と思う。


そうこうしていると、畳岩の頭に到着。両脇がすぱっと切れていて、事前に写真とか見てもちょっと嫌かなと思っていたが、実際に行ってみると足がすくむというほどではない。しかし、強風時には飛ばされそうな感じがする。この日はコンスタントに左の飛騨側からここちよい風が吹いていた。風の息を聞くようにしてから、一気に通過。


↓↓写真は画面をクリックすると大画面になります。
@間の岳からの下り。
この日最初の逆縦走者とのすれ違い
A天狗の逆層スラブ岩壁 B天狗のコルへの下り。
やや下部が足場悪い
この方達は登っているところ
C天狗のコルの避難小屋跡
D天狗のコルにて
E畳岩の頭
バックが西穂
Fルンゼ上の登り
こういうの割と一杯あり。
Gもう少しでコブ尾根の頭



まだジャンダルムまでは着かないので途中少し一息。ふっ〜〜。再び歩きだすと、コブ尾根の頭付近を通過して、ようやくジャンダルムらしき岩峰を発見。本当に奥穂側と全く違った格好をしている。そこまで一旦少し下って、根元のところに登る。信州側の巻き道と頂上への道が分かれるあたりでザックをデポ。・・・・と言っても、傾いているような狭い場所なのでザックを置く場所も悩んでしまう。ゴロンと行っちゃいそうな感じだ。(きちんと休むならば、手前のコブ尾根の頭の方が広場でよい。)


ここから、ジャンダルムの頂上を目指すが、さっそくペイント印通りに行ったところ、黄色い印がきちんと巻き道に矢印でもついているんだけど、急に足場が悪くなって???って感じになった。道もやや下り加減。飛騨側に行き過ぎているようだ。印はあるものの疑問なので、そうこうしていると、逆縦走の男性がもっと信州側のルートで山頂方面に進んでいる。それを見て、すぐに一旦道が明瞭なところまで登り返して、その男性の歩いている方にガレを登っていくと、あっけなくジャンダルムの山頂に到着!! 小広い細長い広場だ。思っていたよりもずっと広い。写真を撮ってもらえてラッキーだった。奥穂は目と鼻の先だ。山頂で寛いでいる人達の声も聞こえる。ジャンダルムまで奥穂からピストンする人もいるようで、さっきまで、私の前を奥穂方面に歩く人は誰も居なかったはずなのに、いつの間にかこれから先の稜線に1名いるのを発見。


ジャンダルムでゆっくりしてもいいが、どうやらこのペースだとこの日のうちに北穂まで行けるかもしれないので、5分程度眺望を楽しんですぐ降り始める。男性の方が先に下るが、今度は彼の方が右に降りすぎてしまったようだ。私の方は、今度は上
から自分のザックをデポしている場所が見えているので、右に行かないように簡単におりることができた。ジャンダルムへの往復はどこでも一見して歩けそうなガレ場なので、ルートをほんのちょっと間違うと、とたんに浮石一杯の歩きにくい危ないところに出てしまうので、要注意だ。ペイントの印もたくさんありすぎてややわかりにくい。


ザックのところに戻って、一息入れる。いよいよ、自分としては一番懸案の信州側の巻き道である。ややスタンス等が悪いという情報があったのでちょっと心配だ。横に広いバンドが走っていて、5歩ぐらい歩くとあれ?ちょっと高度感ありすぎ、行き詰まりそうと思い、よく見るともう1段下のルートが正解だった。(^^;) ゆっくり回れ右をして戻り、もう一回仕切り直しで下のルートに行く。ちゃんとスタンスもホールドもあって、なかなかすごいところを通ってはいるものの、乾燥した岩なので割りと安心。後半の部分ではスタンスをどこを選ぶか幾つか選択できそうなので一瞬考えたが、「へつりはなるべくスタンスを下の位置に取る方が楽」という沢登りでの教訓を生かしてなるべく下の方のスタンスを選択しながら歩いたら、本当に安定して歩くことができた。(スタンスはもう少し上の方にも取れると思うがやや高度感が出そう。)




↓↓写真は画面をクリックすると大画面になります。
@コブ尾根の頭からのジャンダルム A奥穂をバックにジャンダルム頂上 Bジャンダルムはケルンがあるだけ。
Cロバの耳と馬の背が見えている。 Dジャンダルム信州側巻き道(西穂方面から撮影)
Eジャンダルム奥穂側の様子。こちらからの直登ルートだとザイル使用が望ましい。×マークがついている。 Fジャンダルム巻き道のアップ(奥穂側から撮影) Gこんな感じでロバの耳方面から見えました Hロバの耳は右のピークの凹みの部分をを乗越してきて、この大きな斜面をトラバース Iロバの耳の下の斜面。大迫力で下に切れ落ちている。



ジャンダルムの奥穂側に無事到着。あと課題はロバの耳と馬の背だけだ。ロバの耳は、割と高度感ある岩場を登っていき、耳の位置に登るところまではよかったが、そこで急にルートが分からなくなった。なんとなく上の方に踏み跡があるので急登のガレ斜面を登ったら、なんだかピークみたいなところに着いちゃった! 三角点マークみたいなのに奥穂は向こうという標識がある。どうやらミスルートしたようだ。ゆっくりと明瞭なところまで戻ったら、そうか耳のところで、上に登らず、すぐに向こう側に下るのだった。そこからは長い高度感のあるトラバースが続いた。でも道幅は結構広いし、ちゃんと怖いところにはクサリもあった。もう一個のロバの耳も通過して、最後の難所の馬の背の手前に到着。


ちょうど単独の男性が馬の背をほぼ登り終わる頃に到着。写真など撮って最後のフィニッシュに向けて気を引き締める。いよいよ馬の背の下部を登り始めるが最初は全くホールド、スタンスともに豊富で問題なし。半分ほど登ったところからが核心で、本当にナイフエッジ状になって、細い!!  左の方に周りこむようなラインをとって登っていく。恐らく下りならば今日のような好条件でもやっぱりかなり怖いんではないだろうかと思う。が、なんせ登りなんで、問題なく高度感を楽しみながら一歩一歩確実にホールドとスタンスを決めて行く。見えていたところまで登って行き着くと、遂に奥穂高の山頂は目と鼻の先のエリアに到着!! 最後は畳岩の頭のあたりのような大きな岩が敷き詰められたようなルートになっていて、ゴールへの王道のような感じだった。



↓↓写真は画面をクリックすると大画面になります。
@馬の背 Aウマノセの文字が書いてある。
B馬の背から上は大きな岩の堆積の道 C奥穂の新しい祠の上で記念撮影
D奥穂から来た道を振り返って(人影が健脚の男性) E前穂からの吊尾根 F私の大好きな双六、薬師方面の山々 G穂高岳山荘にて




奥穂の山頂へは、新しくなった祠の所に上がって無事奥穂岳登頂!! なかなか感無量である。思わず胸中じ〜〜んと来たが、さすがに奥穂山頂の夏山風景のあっけらかんとした風景の中にあっては涙するほどではない。(笑) しばらく回りの山々を見ていたが、所要時間が小屋から約7時間20分と最近の自分にあっては前代未聞?(苦笑)の上出来だし、体力的にも随分余裕を持って到着できたのが何よりも嬉しい〜〜★★!! 今日の西穂〜奥穂の縦走者の中では一番ゴールって感じで到着できたのも気分爽快である!! (順番というよりは、人為的落石を避ける意味もあって、先行者を気にせずに歩けるという意味の方が大きい。) 


奥穂から来た道を振り返っていると、自分よりも20分ほど遅れで50代の単独男性が2番目に到着。この方は小屋泊まりで6時半に出発して5時間半で到着。(翌日涸沢で再会したが、北穂東稜に行くと言っていた。)その方曰く、3番目にゴールしようとしていた人を「あのお兄ちゃんは、メチャクチャ速いんだよ!」と言っていたが、あとで分かったが、私と同室だった女性の連れの男性で、テント装備にも関わらず7時にテン場を出て5時間で到着!! う〜ん、みなさん恐ろしくお足が速いようで、唖然とする。


お天気もよいので、この日のうちに懸案の奥穂〜北穂も行ってしまおうと思い、下山にかかる。少しほっとしたせいか、のんびりモードだ。北穂へのルートは、実はかつて98年に前穂〜奥穂〜北穂を計画して、なんと上高地大地震が発生してしまい、前穂直下で激震に遭って、その激震で北穂のクサリや階段等が相当破壊、通行不可になった曰くのコースだ。その時はあまりの地震のすごさに奥穂から逃げ帰ったものだった。今日は運がついているようなので、この勢いで前進決定。コースタイム的にはあと2時間45分ほどは頑張らなくてはならないが、疲れもあるから3時間は覚悟した。腹ごしらえをして、少し寛ぐ











SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送