【4月27日】


朝起きて窓を見ても、いまだガスの中。朝食は6時だったか?その頃からやっと少し周りが見えてくるようになる。食事の後で、外に出てみたら、剣は見えないものの、周りのガスは大分減っていて、別山のこれから登る稜線などは大体見えてきている。雷鳥沢の方も大分見えている。


あまり早く滑り出しの稜線に着いても、雪が硬すぎると危ないし、またゆっくり過ぎると、戻ってくるのに時間がかかるのでなかなかそのあたりの按配が難しい。剣沢小屋は残念なことに、雪が多すぎて、掘り出しが間に合わず、5月1日からの営業開始とのこと。本当は、剣沢小屋をベースに、翌日長次郎雪渓を滑りたいと思っていたが、さすがに、2日間ともに登り返しが剣御前小屋までというのも大変なので、あっけなく今年はパス。やっぱり神様が、自分には早すぎるって思われたのかなあと思うと素直に頷けるものだった。(でも、アイゼンとピッケルと多めの食料が重たくなってしまった。)いらない装備を小屋に置いておくことにした。アイゼンは最後まで悩んだが、別山の稜線はたいした斜度もなかったと記憶しているが、万一のため、持っていくことにした。


7時40発。日陰に置いたザックの気温はちょうど0度を指している。けれども、陽射しのところに出ると、まぶしいぐらいだ。やっと念願の剣岳もややペールをかぶりつつも、大体姿を現す。早速、ダブルストックに、スキーを担いで別山の稜線を進む。昨日の最後の登りに比べると大分軽い。朝のすがすがしい景色を堪能しながら歩く。早い人が、あと30分ぐらいで別山乗越まで到着するほどの近くに登ってきていた。他にも、点々と白い斜面をあっちこっち登る人達が箱庭のような立山一帯に見える。


別山の登りは、ほとんど雪が解けて基本は地面の出ている道。ほんの薄っすらと、新雪が積もっていて、1センチぐらいだろうか?これは前日降ったもののようだ。雪道が出てくるが、ひたすら稜線を歩くようにする。巻道が左に出ており、そこにもトレースがあるが、それを歩くと滑落しそうな急なところなので、正解は稜線通しである。踏み跡がないところも多いので、踏み抜かないように丁寧に歩くようにしていると、別山山頂に難なく到着。


いつ来ても素晴らしい剣岳の正面展望台だ。立山三山も、もちろん綺麗に見えるし、これから滑る真砂沢の鞍部も急激な斜度に見えている。別山の祠が出ていて、これから先の山行の安全祈願に手を合わせる。そうこうしていると、同室のご夫妻が上がってきた。交互に写真を撮ったりして寛ぐ。山頂からは、鹿島槍方面の山々が朝陽の中に逆光のように広がっていて、なんだか気分だけでもお腹一杯〜〜。う〜ん、いいなあ〜!


山頂から滑ることも出来るようだが、下が急斜面で見えないので、初めての私は、慎重に山頂よりやや下がって7,8分のところに、いかにもスキーを付けるのに最適な広場があったのでそこから滑ることにした。傾斜も斜面に入りやすい?ような感じがする。(少なくとも鞍部まで行くと、亀裂が入っているのが上からも見えたので、そこまで行かないようにした。)


後で降りてきたご夫妻に、お先にと一声かけてから、いよいよ9時50分滑り出し。思ったより、堅い。滑り出しのところから、斜面はやや覗き込まないと見えない角度だったが、40度ぐらいだろうか。回転するというよりも、まずは様子見で横滑り。急な斜度にて、なんとか反対側に向きを変えたが、左には岩がある。ここで、冷静に?横滑りを停止して、よっこいしょ・・・とバックオーライとやや後ろに2mぐらい?バックしてから、意を決して、ターンをする。(といってもかっこいいもんでなく、ほとんどシュテムっぽいきっかけかな?)そうすると広い斜面の方に体が向いたので、思い切りやや上体を浮かせてターン、決まった〜〜〜☆☆☆!!! って感じ。滑り出しから大体3ターンぐらいはかなり急斜面で横滑りぽかったが、そこから下は、足裏が感じるほど斜面がほどよく柔らかく緩んできて、安定してターンが決まる。斜度も大分落ちた。思わず快感が全身に伝わって、面白いようにターンが決まる。最初のところはやはり私のレベルでは冷や汗風だったが、すぐに調子が出て、10ターンぐらいしたあたりで、ストップ。思わず斜面をデジカメで素早く映す。うまく撮れるといいなあ・・・・。


それにしても、快感である。全くのノートラックで、誰も滑った跡がない!! 右からが真砂沢の鞍部からのダイレクトのルートだが、そちらも誰もいない。またまた、気分よく、大きなターンで、沢の中央部付近まで降りる。本当に、声も時折サイコ〜とかって、叫んじゃう素敵な斜面☆。柔らか目だけど、完全ザラメでもなく、ほどほどに表面は締まっていて、滑りやすい。自分のシュプールに酔いしれると同時に、降りてしまうのがもったいない気分である。振り返りつつ、滑っているとご夫妻もゆっくりと降りてきた。しばらく彼らの滑りも遠めに眺める。これだけ広い斜面にたった3人・・・・・。贅沢な遊びである。


私の滑ってきた沢の斜面と鞍部からの正面斜面が合流するあたりから下は、斜面は緩斜面と言ってよく、スキーもやや重くなる。ご主人の方がスキーが滑りませんね。。。。と言って会話をする。私の方は、やや重く感じたもののワックスをちっきり塗ってきたせいか、そこそこに滑る。これだけ高温な感じなのでやむないことだ。


その後、少しすると、なんとデブリの山が・・・・・。沢筋を滑る以上は覚悟はしていたが、ここはまだ全然緩い斜面なのに、どこからそんなに大量のデブリが??  最初のあたりはやや左に進路をとって、デブリをクリア。その後もデブリが大量の雪面を切り取ったように、ブルドーザーで斜面を削ったような跡がずっと続く。右に逃げたり、左に逃げたり。様子をみて、デブリの跡の斜面をプルークで恐る恐る横断したり。広い斜面の左右もいろんなところから、雪崩れてきた跡が何箇所もある。また、そこかしこに、山の斜面に亀裂が走り、もっと気温が上がったら今にも落ちそうだ。まだ時間が早いことだけが救いである。もう、滑りの格好なんか構っておれず、暑くてたまらない上の服も脱ぎたいのも我慢して、ひたすらひたすら滑走。デブリの沢を後ろは全く振り返らず逃避行。後半にはかなり沢が狭くなり、デブリから逃れることも出来なくなる。やっと剣沢合流点らしきが見えてきたと思われるあたりだ。


左のデブリの沢の上のあたりを滑走。沢の音が聞こえる。1箇所沢が出ているかもとアドバイスを受けていたので、これかな? 慎重に手前で気がついたので、まだ流れは出ていなかったので、雪を踏み抜かないように丁寧に滑走。そこを過ぎて、一目散に広い剣沢に合流!!!


正直、助かった〜〜〜って気分。
山スキーヤーで百戦錬磨な方なら、当たり前ぐらいなのかも?ひょっとするとそうなのかもしれませんが、山スキー初心者の私から見ると、左右の斜面のあらゆるところが落ちそうで、マジに怖かったです。剣沢に合流して冷静にデブリの山を眺めて、改めて怖わっ〜〜!!!  


着ていたヤッケを脱ぎ捨てて、ゆでだこ状態の私だったので、スキーも脱ぎ捨てて、芯からお疲れ様って気分。しばし、満足感と放心感と。水分補給と、多少の食事をしてひたすら休憩。誰もそれにしてもいない剣沢。1本だけ滑っていったシュプールが見える。青空と雪渓と。春山を絵に描いたようだ。


十分休んで、いざ1000mの登り返し。さっき1000m滑った分だけ、登り返さないといけない。私は過去に1000mのシール登高はしたことない。せいぜい600mぐらい?だから、どんなヨレ具合になるかちょっと心配。がんばって登るぞ〜〜!



剣沢も、実は大分前に剣沢に夏山でテント張ったぐらいで、下の方は土地勘がない。でも、地図で見たとおりに、比較的なだらかな登りで、だらだらと登る感じである。これが実に私には助かる。ジグザグで登らないといけない急斜面はなかなか自分ではうまくすんなりと効率よくシールの弧を描けない。剣沢は斜度がきつくないので、まっすぐほぼ登っていけるところばかりで助かる。時折、クライマーのコールが静かな空間に響く。時折、ヘリの往来しているのも聞こえる。


長次郎雪渓の出合で、初めて2名の人を発見。(剣沢でテントを張っていて、夜雪が降っていたので、行動開始を遅くして、今日は出合までの下見だそうだ)長次郎には、その先に何人かが登っているが、こんな遅い時間に大分下のほうに人がいるのには驚く。来年か、近いうちに是非再訪を祈願して名残惜しくも通過。デブリの様子もそんなに大きくないので、ちょっと残念。さらに次の沢の出合いの平蔵谷もすぐだった。この沢は残雪の時期の一般ルートの下山にのよく使うらしいが、とってもデブリだらけで、スキーでは著しく困難。ツボ足でも相当大変なほど斜面が真っ黒に荒れている。


ここらで少し休憩してから、再びのんびりと登る。それにしても、灼熱地獄のように、太陽光線が上からも下からもでたまらない。(^^;) 剣沢のテント場らしきが見えたが、なかなかそこに上がれず。たぶん今になって思うと、左の方の斜面を行ったほうが小屋に近く、斜面も緩やかだったかもしれない? やっと剣沢小屋の高さぐらいまで登ってきた。うーん、まだまだあと標高差200mぐらいある。それに、斜面になんと亀裂というのかクレバスが走っていることに気づく。うーん、何人もその斜面は滑って降りているが、登りでじっくりみると、30センチぐらい穴が開いていて、怖わ〜〜!! よっこらしょっと! っと一気にスキー板をクレバスに落ちないように渡して横断する。やれやれ。


あとちょっとと思うけど、これがなかなか。このあたりまでくると、明らかにボーダーやら、スキーヤーでちょっと室堂から滑りにという人が多い。大パーティーも先にはいるようだ。今までの静かな空間から、急にゲレンデに近い感じになってきた 若者のボーダーが何回も上り下りをしながら滑っているようだ。そうかと思うと、年配のボーダーもいて、膝を付いて休んで息も絶え絶えという人もいた。ボードの場合、ストック持っていない人もいるが、山では必携でしょうね。。。。


剣御前小屋に無事ほぼ予定通りの2時少し過ぎに到着。かなりトイレに行きたかったので、ほっとした。ここでデポ品を回収して、小屋のご主人にも挨拶もした。山岳警備隊の人とも少し話をする。昨日一緒に泊まったカメラ少年に、ご無事で戻られてお帰りなさいなんて言われた。(^^;)小屋の前は、ツボ足の団体さんが大挙していた関係もあり、相当な混雑。今日は小屋もかなり混んでいそうだ。


携帯で、第一希望のみくりが池温泉の宿を予約すると2段ベットの部屋ですけどいいですか?って聞くのでもちろんと返事して、5時には到着するとして予約完了。 立山の温泉はそれぞれ微妙に源泉とか違うようだが、沸かし湯であったり、 ぬるいところもあるので、暖かい温泉らしいのはやはりダントツで、みくりが池温泉である。1度立ち寄り湯したけど、そのときの濁った感じの素敵なお湯が印象的だったので、とても予約がとれて嬉しい。登り返しは、一番遠くて大変だが。



さて、雷鳥沢の滑りは去年は真ん中の沢沿いでなかなか快適だった。登りに使う尾根筋は結構ツボ足とかシュプールも多く、斜面が荒れていそうなので、今年は下に向かって、1本左手の尾根筋のあたりにしようかと思う。スキーを肩に担いで少し下がる。雪が出てきたので、そこにちょうどカップルと先ほどの剣沢のボードのおじさんがいた。カップルはビデオ撮影をしながら降りるようで、邪魔にならないようにするが。。。 さすがに滑り出しは急だが、さっきの真砂沢のことを思うと、ここはもやはゲレンデ感覚か?


25度強ぐらいの斜面だが、ザクザクのザラメでどこでも止まりそう。左の岩の間の3mぐらいのところを通って左の斜面に出たい。滑りだすと、雪がどんどん下に落ちていく。すぐに左に回りこんで、左の斜面に移動。さて、そこからが大斜面である。どこを滑ろうかなあ〜〜。どこもかなり滑られているので、斜面のダイレクトに下に下るラインが面白そう。陽にあたって斜面が私を呼んでいる〜〜。シュプールがほとんどない。滑りだすと、これがなかなか急斜面なこともあって、1ターンごろに、雪がざーっと落ちていく・・・・・。シュプール的にはトレースないところで面白いのだが、あまり斜面を雪崩させるのもちょっと・・・・・と思い、しばらく滑った後は左の沢筋に逃げることにした。


この辺りでは、さっきのカップルが、この大きな斜面にも関わらず、ちまちまとしたジャンプターンのビデオ撮影をしていて、ちょうど邪魔するようになってしまうので、ちょっと。。。。早く降りてくれるか、もっと端でやって欲しいものである。こんな大きなところは、大きなシュプールで綺麗にスピードに乗って斜面を切る方が安全だし、楽しいのになあ。。。。 なんとか、その人達をクリアしたら、今度はボードおじさんが近くを滑走。自分のラインを引きたいので、なるべく離れてようやく自分の世界に入る。沢筋はやはりトレースがやや少なく、夕方で少し表面が膜をはってきているようなところを、上からさあっと剥がしていくような感じでパリパリって感じで気分よし。ほとんど傾斜もなくなりそうなころ、足を取られて、恥ずかしいことに、こんなところで今日初めての転倒。ナサケナイ・・・  テント村が近いのにマジ恥ずかったです。


雷鳥沢のテント村に出てしまったので、登りは右手の方に滑っていかないといけない。なんとか、雷鳥ヒュッテの方に滑りこんだが、ここからは、担いで登ることにする。あ〜、ここからが長いんだ。ちょうどその頃、上の小屋のところにいたガイド登山のツボ足集団が下山してきていた。スキーは下りは早いが、登りは、うーん重たい・・・・。1段高くなった雷鳥ヒュッテのところまで上がるのに一苦労。その近くの展望台ではついつい大休止。あとちょっと、と思うと気も楽だ。夕方の大日岳はなかなか素敵である。


ここから、雷鳥荘の前を通って、しばし、正面の雷鳥平の今日の滑走ラインを何度も目で追ってしまう。ちょっと、斜面を動きすぎたかなあ?とか。。。。。 ここからは、夕陽の中を、お散歩気分で重い足取りだけど、気分は晴れ晴れして、みどりが池温泉に到着〜☆


ここの宿は街と同じ感覚の宿なので、何回温泉に入ろうかなあ?
部屋は女性だけの8人部屋で本日は7名。2段ベットの上だけど、清潔なお布団で気分がよい。とっても暖かくて嬉しい。
早速、夕食前に温泉に浸かりに行く。前に来た時よりも、綺麗になった?ような感じで、どーんと夕暮れの雲海が正面に見える!! それを見ながらの温泉は幸せ〜〜。濁り系の温泉は私の好みでとっても嬉しい。白濁というよりも、やや緑がかった濁り加減だ。


夕食は、第2陣で、6:40から。かつおのお刺身、ホタルイカの酢味噌和え、鶏肉の煮込みもの、あなごの煮付け、それとカセットコンロで一人鍋で鶏肉のお野菜との炊き合わせ。オレンジのデザート。たぶんそんな感じの料理で、やっぱここは観光客相手の旅館って感じ。山スキーヤーの常連さんが向かいに座っていて、小屋のご主人が時折会話を楽しんでいるのがちょっと山小屋的かな? 


夜にはもう1回、温泉に浸かり、全身の筋肉をもみほぐした。




                 



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