茅ヶ岳



【プロローグ】

恒例の海の日の季節がやってきた。今年は、3連休に一日プラスして4連休にして、以前から行きたかった北アの縦走に行くことになっていた。少し前のオフ会でお会いしたS夫妻が、是非同行したいという申し入れがあった。しかし既に金曜日の夜行列車を手配済みで、一人で行きますと断った。ところが、金曜日に会社から自宅に帰ったら、天気予報が悪化しており、少なくとも金曜日夜行は無謀と思えて中止。日曜日あたりからは天気が良いようなので、一日遅れでコース短縮して行こうかと迷っていた。よっちゃんさん(S夫妻のご主人)と電話連絡すると、車で前泊しないかという。実は、私は車酔いするのが怖くて長距離の車移動は苦手だ。でも、目指す扇沢は高速道路から降りて近いので大丈夫かな? それも、前泊するならば、万一気分悪くなっても、翌日朝までには回復するだろうということで、土曜日の夕方からいざ出発。


車酔いしないようにおしゃべりしていたら、S夫妻も私も海外登山の話題で大いに盛り上がって、ノンストップおしゃべり約3時間半であっという間に信濃大町の市街に到着。さすがにメチャ早くて、列車派の私はすごい驚き!! 現地は小雨が降る天気で、夕食を摂ってから道の駅で仮眠。S夫妻の車は、ほぼフルフラットになる車で、快適な寝室に変身。いつも車中泊している方達はこういう感じなんだと、すごく興味を持った。 私は車中泊に慣れていないのと、昼間のうちに一杯昼寝をしていたのであまり眠れなかった。夜半から相当な雨脚で雷も鳴っていた。寝れなくても、体を思う存分伸ばせるので、超快適快適〜〜♪ 夜行列車で眠れないよりもずっと体はラクだった。


4時半起床の予定だったが、まだ時折雨が強く降る。やっと5時を過ぎ、少し天気が回復傾向で虹も見えてきた。食事していたら、雨が止んで、山の方も少し明るくなってきた。アルペンルートの扇沢の手前の柏原新道入り口の駐車スペースに向けて快調に車は坂を登っていった。


ところが、突然道が渋滞している。変だと思いながら進むとなんと交通止めだった。 係員が車にやって来て、「扇沢ターミナルでの降水量が限界を越したので、雨が止んでから2時間は交通規制がひかれて上がれません。まだ現在のところ扇沢は雨が降り続いてますので、開通時間の目処はたっておりません」ときたもんだ〜! そこで、一旦Uターンして、下り車線の路肩で方針を決めることにした。大体6時過ぎ頃だったと思う。


私の携帯の山岳気象予報を見ると、山によっては部分的には半日程度の晴れはあるが、これから縦走する先の山々は、ほとんど雨マークが連続。昨日の天気予報からさらに悪化していた。確かに途中で見た河川の濁流は凄い様相だった。予定のルートは稜線歩きなので、風雨などが強いと滑落の危険、路肩の緩みなども気になる所だ。なんだか、急にテンションが猛烈に下がってしまった〜〜〜。このまま天気が回復したら登れるようにはなるだろうが、ちょっとの間に100台レベルの車が登り車線に渋滞していた。ただでさえ混む海の日連休なのに、雨だと小屋もメチャ混みしそうだし。。。。。途中で再度係員が回ってきて、8時半ぐらいには道が開通する可能性が高いだろうと言ってきた。


大町温泉郷の脇の鹿島川 橋の上から見て。山の方はどんよりした雲模様


他に行きたい山はありますかとS夫妻が尋ねてきたので、色々と考えるが、天気予報は南アルプスや八ヶ岳も×。高い山に行くほど天気が悪そうだ。そんな中で、たまたま思いついたのが、ずっと前から登りたかったが、電車アプローチの私だと、登山口までの往復タクシー代がかかるのを懸念して登っていなかった茅ヶ岳だった。深田久弥氏終焉の地としても有名で、氏の作品は好きなので、やっぱりいつかは登りたかった。ご夫妻は登ったことがあるという。地図は持っていなかったが、標識がきちんとしているので、まず道を間違う可能性が無いだろう。連休に登るには少しもったいない気もしたが、ひとまず東京方面に中央高速で戻り始めた。


小一時間で近くに来ると、八ヶ岳もやはり標高2000m以上は完全のガスの中、南アも天気悪そう。どの山がどこにあるか? そんな中で、目指す「茅ヶ岳」は「ニセ八ツ」とも言われているが、完全に姿を綺麗に麓から見て取れる。雲の下の山ということだ。選択大正解ということで、とっても嬉しい〜!



 山域 / 形態  中央線沿線  / ハイキング
メンバー  S夫妻(よっちゃん&ひーちゃん)、MINMIN
コースタイム
 2004年7月18(日)
  深田記念公園入り口駐車場 10:20発
  深田記念公園出発 10:30
  休憩 11:10〜20
  女岩水場 11:38〜55
  休憩 12:30〜40
  深田久弥氏終焉の地 12:48からしばらく
  茅ヶ岳山頂(1704m) 13:8〜45
  休憩 14:30〜40
  千本桜展望台 15:20
  前山大明神林道経由 駐車場戻り 17:00

 
登山情報
●駐車場は舗装されていないが、かなりの台数が駐車可能。簡易トイレ2個有りだが、水道はなし。
●駐車中の車に大量に「車上荒らし注意」のビラが挟まれていた。かなり危ない場所なのかもしれない。




深田記念公園入り口の駐車場に到着すると、夏の光がふりそそぐ眩しいまでの陽射しだ。こんな暑い時期に低山ハイクもないだろうから、空いているかと思いきや、ざっと20台位は車が駐車していた。ダッシュボードに「車上荒らし注意」のビラがたくさん貼られているので、なんか物騒な感じだ。


ちょっと思いやられる暑そうな天気なので、私は団扇を片手に登ることにした。最初に記念撮影をしてから出発。少し歩くと、深田記念公園が左手の少し小高い所にあって、早速私はそこに行ってみる。公園には「百の頂に、百の喜びあり」の深田久弥氏自筆の石碑が鎮座してあった。解説の看板もあって読む。それが終わってから、いざ出発。



登山道は大変ありがたいことに、のんびりとおしゃべりしながら登るにはうってつけの緩やかな斜面で、かつ木陰の樹林帯の登りだ。団扇を時折ぱたぱたすれば、暑いというほどでなくて、快適な感じだ。3人で色んなことをおしゃべったり、奥様のひーちゃんさんとよっちゃんさんの夫婦のやり取りを聞くのが面白かったりで、楽しい。全然歩くのが進んでないが、ちょっと休憩。さすがにのどは渇く。少しゆっくり歩き過ぎたかなと思い、休憩後はちょっと気合で歩き始めたら、「ちょっと速すぎる」と言われたので、再びまったりペースにしていると、程なく女岩の水場広場に到着。


ここの水場は、とても冷たい岩清水みたいな感じで、火照った体にぱしゃぱしゃと水をかけたり、ごくごく飲んだりして楽しんだ。崩壊が進んでいるようで、落石がちょっと怖いかな・・・ ここで思う存分ゆったりしてから、再び歩きを開始。右手のちょっと岩っぽい所をトラバースしてから、少し急登で尾根に登る感じだ。またゆっくりおしゃべりしながら歩いていたら、気持ちのよい爽やかなか風が吹き抜けていて、なんだか5月の爽やかな新緑の中を歩いているような気分だった。おしゃべりも佳境に入って、山スキー論とか、バックカントリー論とかそんな話をしていたら、またまた休憩モード。(← おいおい、いつまでしゃべっているんだ!) あまりにも緑の中を風が気分よく吹いていて、それが体にとてもここちよくて、いつまでも居たいような気分だった。


再びもう少し歩いたところで、右手のやや細い尾根みたいな所を歩いていると、道の右手に「深田久弥先生終焉の地」があった。まずは、腰を下ろして手を合わせる。その後、一部樹林が切り開らかれているので、景色を見ると富士山や金峰山が見えている。この地で亡くなられたんだなあと感慨深いものを感じる。お酒?水?を入れるであろう竹をモチーフした水筒のようなものと、お皿が置いてあった。記念写真を撮ってから、山頂を目指す。


山頂からもう少しの所で深田先生は亡くなられたというが、もう少しと思って歩いていたら、ちょうどこの頃から上から何パーティーも降りてくるようになった。割と最後までは思ったよりは時間がかかって、山頂到着。


山頂は、まぶしいまでの太陽で、木陰もない。風が吹いているのが幸いで、思ったよりも暑くない。金峰山や小川山、瑞ガキ山も綺麗に晴れて見えている。南アルプスも大分雲が上がってきて、鳳凰のオベリスクもみえてきた。八ヶ岳も、朝よりも雲が上がってきていて、裾野のラインがとても綺麗だった。昼食を摂っていたら、金ヶ岳からパーティーが現れた。先陣隊が、わざわざ「16名パーティが間もなく到着しますのでご承知おきください」みたいな事を言う。この時は山頂には我々ともう1夫妻だけしか居なかったようだが、別に「どけ」と言われた訳でもないし、いきなり取り囲まれるよりはこうやって先に言ってくれた方がいいかなあ、なるほど大所帯だとこういう心配りをするのか・・・・と妙に感心した。(でも、やっぱり、あまり大人数は個人的には好きでないけど。)


ほどなく、大量のおばちゃま達が登場したので、山頂も手狭になって、下山することにした。下山は同じ道を降りてもいいかと思っていたが、よっちゃんさんが、以前来たときに「周回ルートで降りた」というので、千本桜コースに行くことにした。でも、登山口で見た地図によると、尾根が1本違うので、大分方向が西の方に降りるので、戻ってくる林道歩きが長そうなんだけど。。。。 地図には道は載っていたものの、時間表示はされていなかった。(登山道入り口のマップをデジカメで撮影して、その後も確認用に地図代わりに活用。)


早速、千本桜コースの尾根を降り始めると、明らかに踏み跡の様子が違う。あまり人が多く歩いていないようで、道に多くの石が堆積していた。歩くと落石させてしまうような道だった。すぐにほどなく左の方に降りていく道があったような感じがしたが、あまり大きな分岐でもないので、構わずにどんどん降りていった。一旦高度が下がった後は、何故かあまり下がらずに微妙に上り下りがあったりして、ええ??って感じだった。 なかなか高度が下がらないし、どんどん駐車場方面からは距離が外れるし・・・。とにかく早く千本桜に降りないかと思いながら歩く。よっちゃんさんも、前に来たことがあるというのに、全然記憶にない道のようで、不思議。それでも、なんとか千本桜らしき公園のような所に出てきた。一番眺めのよい東屋の所には、オフロードバイクのごっついおにいちゃんやおっちゃん達が5、6人も居て、なんかちょっと居心地悪い。せっかく富士山が綺麗に見えるのに、なんだかゆっくりする気分もなくなって、写真だけ撮って、そそくさと退散。


千本桜は、恐らく春の季節にはとても素敵な所みたいだった。今も緑に囲まれていい感じだが、バイクの轍の跡があって、ハイカーよりもオフロードライダーのメッカなのかもしれない。さて、駐車場の道へは、林道を探すがすぐに左の方向にあって、方向的にも合致しているので一安心。あとはまたまた単調な林道歩きを紛らわすわために大おしゃべり大会。(← よく話すことあるなあと、我ながら感心。よっちゃんさんも絶好調!) でも、なんだか歩いていて、林道はくねくねしているけど、どんどん駐車場と逆の西に進んでいるときも多くて、なんだかとっても変!! でも、道的にはコレしかないはずだし。。。道が平坦で爽やかな風が吹き抜けているのでいいけど、いささか、懸念の感じが・・・・・。 かなり歩いてから、ようやく道がコンスタントに駐車場方向の東の方に行くようになるとほっとしたが、今度は結構緩やかな登り坂が続きアレアレアレ。最後になって登りが出てくるとは参ったなあ〜〜(^^;)。 ひーちゃんさんがよっちゃんさんに抗議しているやりとりは、とても仲の良いご夫婦の味わいで、いいなあと思える会話だった(笑)


気が付かないうちに、相当な時間が経っていて、やっともとの駐車場に戻る道に出てきて、一同ふぅっ〜〜。そこからは、るんるん気分で歩いていくと、日が大分傾いた夕景の駐車場に到着でした。(皆さんここに車を置いた人は、同じ道をピストンする訳だわ・・・・納得。)


さて、翌日はどうしようかと思い悩むところだった。S夫妻は翌日近くの山を日帰り登山するという。私は、本当はこのエリアだと東沢釜の沢に行きたいし、よっちゃんさんも行ったことあるので案内しましょうかというが、ちょっとこの靴だとなあ。。。。また、暑い山も勘弁なので、そうなるとここぞという山が思い浮かばずに一人列車で帰ることにした。甲府方面の道は大混雑にて、小淵沢の道の駅「信州蔦木宿」まで車を走らせて、温泉でゆっくりして、ほうとうを食べて、最終あずさでの帰宅となりました。最後の難関?は、連休中のため満席で席に座れなくて、八王子までちょっとしんどかったです。


今回は、本当は北アの気合の縦走のはずでしたが、お天気に振り回されて、親睦ハイキング山行に大変身! 色んな有益な山の情報交換会となって、別の意味でとても有意義でした。それと、やはり車の機動力には感激しました。よっちゃんさん&ひーちゃんさん、とても楽しかったです。本当にありがとうございました。




登山口駐車場にあった地図。役立ちました。 ひーちゃんさんと私。うちわを持って、変な格好のが私です。
「百の頂きに、百の喜びあり」の深田久弥自筆の石碑 深田記念公園
女岩の水場。岩が落ちそうで落石注意の看板有。美味しいお水! 深田久弥先生終焉の地。 笹の水筒を型どった入れ物有。
古い方の墨で字が書かれた碑と、こちらの新しい石碑と2つあり。
茅ヶ岳山頂 右からよっちゃんさん、私、ひーちゃんさん 茅ヶ岳山頂からは、金峰山の五丈岩が綺麗に見えた。
八ヶ岳も裾野は綺麗に見えているが、上の方は雲の中 緑のトンネルに、ここちよい爽やかな風が吹き渡る♪
千本桜公園の見晴らし台から見た富士山 千本桜公園は気持ちよい所だが、バイクの走行跡が目立つ。









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