白馬沢右俣
今年の冬は暖冬で雪が少ない。例年ならばGW以降で大丈夫なところでも今年は暦が2、3週間ぐらいずれている感じなので、少し早めかもしれないけれどもルンゼ滑降の登竜門とされる白馬沢右俣に行ってきました。本格的なルンゼ滑降などは自分の足前からは範疇ではありませんので、あくまで登竜門なんで行ったのですが、その実態は・・・。 ちなみに白馬沢右俣は、雪解け頃に黒く現れる岩を、田の代掻き馬に見立てて、代馬岳と呼んだことに起因しており(代馬岳→しろうま岳→白馬岳)、代掻き馬の後ろを足下目指して稜線か一気に滑降するかっこいいコースなのです。(代掻き馬の解説は是非こちらのリンクをごらんくださいませ ) |
山域 / 形態 | 北アルプス / 山スキー |
メンバー | よっしーさん、かっきーさん、お気楽さん、大ちゃん、MINMIN |
日程 | 2007年4月7日(土) |
登山情報 | ●栂池のロープウエイが従来はGWからだったが、最近では3月頃より稼動しているので以前よりも容易にアプローチできるようになった。最初のゴンドラは8:00発、ロープウエイが8:30始発。 ●GW前は猿倉までは林道が開通しておらず、二俣まで歩きとなる。除雪の状態により、どこまでスキーで滑り込めるか日々変わってきます。 |
同行者の山レポへ | ●よっしーさんの記録へ ●大ちゃんの記録へ ●お気楽さんの記録へ |
白馬沢右俣は去年の杓子沢を滑った時から、次あたりに是非行ってみたいと思っていた所でした。大阪のよっしーさんからいつものメンバーに行きませんかという提案があり、かっきーさんが「のんびり行くから、皆で行きましょう〜!」と。かっきーさんは投薬治療中で胃が痛い痛いと訴えつつ5キロも痩せてしまったという。「もう、あきまへんわぁ〜」を連発しているけど、まあ例によっての三味線引きなんで、やっぱり快足なんでしょう。お気楽さんは9キロ減量に成功して現在絶好調。よっしーさんはもともと超パワーの持ち主。ちょっと参加を躊躇してしまうメンバーばかりだ。(前回の四ツ岳でも皆さんを相当お待たせしてしまった私なのです。) また栂池ロープウエイの1便目に絶対に乗るとなると、白馬への最短距離は関越から上信越道経由オリンピック道路だ。自分の家を始発電車で出てもかっきー車に合流では大遅刻になってしまう。うちの家経由だと中央高速経由になってしまい、脚も遅い上にこれ以上皆に迷惑かけるのも・・・・。なかなか決断できず。ちょうど、運よく春休みで夜行列車ムーンライト信州が白馬まで運行する週末だった。迷った末に自分は夜行列車で行き、白馬駅で合流ということに決定。大ちゃんも大掛かりな歯のインプラント治療中で参加が危ぶまれたが、ぎりぎり参加。結局5名で白馬沢右俣に行くことになった。 久しぶりのムーンライト信州の夜行はレディース車両で1BOXの4名掛けを一人で使って快適♪ 白馬に近づく頃には後立山連峰が綺麗に見えている。今日はこの上ない晴天だ。5時38分定時に白馬駅到着。6時に駅で集合なのだが、既によっしーさんの車は到着。かっきーさん達は遅くなるそうで、栂池で直接合流となった。 途中の白馬大橋でモルゲンロートに映える白馬連山を眺める。代掻き馬どころか、真っ白なんですけど(苦笑)とっても雪が一杯の白馬連山を見て、今日はあの稜線のあそこを滑るのかと思うと、胸が高鳴る。ゆっくり栂池で準備をしていたらかっきー車も到着。よっしーさんの車を二俣にデポにまわす。8時近くなると続々とバックカントリー系の人達が集合。ほとんどの人がザック背負っている(苦笑) 順調にロープウエイ1便で上がり、8:55出発。左の栂池自然園の方に向かうが少し歩いただけで熱い!最初から上着を脱いでおけばよかったが、少し歩いてから上着を脱ぐ。ここからは上は1枚、下はオーバーズボンのサイドファスナー全開。あっという間に皆さんが先に行ってしまったので、一人でえっちらこっちら歩くが、こういう比較的平坦な所はパワーのなさもあるけど、自分以外の身長が全員170から180センチあるので足の長さも全然彼らと違うので超きびしい〜〜〜。ゆるゆると彼らは登っているつもりでも、自分は必死の感じなのでした(苦笑) 特に風が全く吹かないこともあり灼熱地獄でした! はるか彼方先に登って行くのが見えます。天気が良くて景色も素晴らしいですが全く余裕なし。やっと1段高い尾根の一角に登った所で休憩している皆さんに合流した頃にはへとへと状態。今日は少しでも亀さんから脱出しようと、ピンクのうさぎ手拭いをかぶって来たけど全然効果はありません(しょぼ〜ん・・・・) 皆さん待ちくたびれたご様子?で、自分はちょこっとだけ休み、再びシール登高。 再びあっという間に引き離されてしまいました。皆さんのスピードについて登るには心臓がばくばくして、これ以上続くと気持ち悪くなってダウンしそう・・・・・。気遣ってくれたのか大ちゃんが後ろを歩いてくれていたので、荷物を持ってくださるというので、大変ありがたくも幾つかの物(アイゼン、クトー、テルモスなど)を持っていただくことになりました。本当に大ちゃんに感謝です! ペコンペコンペコン!! やっと2、3キロ?軽くなったお陰で、なんとか前を行く人が見える範囲ぐらいで行動ができるようになりました。金山沢の全貌が見えるあたりぐらいまで登ると風がやや吹いてきて、先ほどまでの灼熱地獄に比べると大分マシになりました。 見上げると、かっきーさんがノートレースの所をジグを切ってダントツのスピードで登ってます。自分のことを下の方で猛烈な勢いで抜いていったテレマーカー若手3人組よりも、さらに速いスピードでびっくりです。胃を押さえた自称病人さんはどうなってるんだぁ〜? よっしーさんは実験と称しアイゼンで登っているせいで、彼のいつものスピードからすると少しゆっくりな模様。自分はお気楽さんの背中が遠くならないように努力するものの、かなり離されて登高中。大ちゃんと二人で後続部隊を結成して歩いております。後ろから一定速度で黙々と登ってきている10名もの山岳会パーティーに吸収されそうで、さすがにそれはまずいんで必死^^; (この大部隊も同じロープウエイで登ってきているので、自分的にはこっちの山岳会ペースで充分いいんですけど・・・・苦笑。) やっと、船越の頭の雪庇を越す所に到着。下から見ていると皆さん苦戦模様でかなり時間がかかっていた。どうなっているのかと近づくと、5mぐらいが核心でシールで登れるけどかなりしんどそう。ちょうど先行の単独の男性が方向転換できなくて途中で立ち往生。ゆっくり待ってあげたいけど仲間が長時間上で待っているのが見えているので左から抜くことにした。ここでバランス崩したら金山沢に相当な勢いで滑落確実。シールで止まることを信じてなんとかストックも駆使してクリア。 あ〜〜やっと稜線だぁ!! 爽やかな風と共に向こう側の景色も飛び込んできました。去年行った雪倉岳などの山々が見える。薄っすらとしているのは日本海かなあ?ここから僅か先に登った所に寛いだ先発3名発見!よれよれとへたりこんだMINMINなのでした。ほどなく稜線を小蓮華岳へ向かう。標高差は大したことないけど、見えると結構遠くて高いなあ・・・・・ 最初はシールで進んだけど、多少のアップダウンと岩も出ているので、滑落すると恐いので私と大ちゃんは途中からアイゼンで板を担ぐことにした。準備をしているうちに、再びあっというまに先発隊と距離が離れてしまいました。それでも上着を着て歩いていても暑くないというのは幸せです。よろよろと担ぎ上げで登っていきます。それなりに沈む場所もあるので疲れます。大部分はしまっていてアイゼンが気持ちよくささります。クトーで登るか好みの分かれるところです。小蓮華山でも先頭陣とは40分近く待たせてしまいました。誠に申し訳ございませんでした。 |
朝日の白馬岳と中央が白馬沢右俣 | 白馬沢右俣はピンクのライン |
栂池自然園 (phot by お気楽さん) | ファスナー全開で登る私なので足がふと〜い (phot by 大ちゃん) |
後続迫る10人パーティ (phot by 大ちゃん) | ようやく船越ノ頭で見えた雪倉岳 |
船越ノ頭でへたり込んで休むの図 (phot by 大ちゃん) |
稜線をシール登高 (phot by 大ちゃん) |
稜線をアイゼン登高 (phot by 大ちゃん) |
本日の最高峰の小蓮華山(2769m)に到着したので、やれやれです。全員揃うのを待って集合写真です。どんどんお天気が下り坂なのがわかります。さらにドロップポイントにもう少しだけ先の小さなピークの向こうまで行きます。(まだ登りがあったのよトホホ・・・) よっしーさんは担ぎなのをいいことに本当にアイゼンで駆け下って駆け上って行くのが見えました。私はよろよろと歩いてようやくドロップポイントに到着ヘロヘロ・・・・。 どんどん冷えてきてます。天気も雲が広がってます。板をザックから外してシール外して、アイゼン脱いで、ワックス塗って、行動食ちょっぴり食べて超忙しいです。ここでトイレも行かなくちゃ・・・ってことで、しばし岩陰へ。戻ったらよっしーさんかっきーさんは既にドロップしてました。完全なここでも出遅れ。やっと準備が整って斜面を見ると、とにかくひろーーーい斜面です。斜度もほどよいゆるさで思わず微笑を浮かべてしまう斜面です。でも誰も歓声があがっていないし、変?楽しくないの? アイスバーンなの? 気をつけてゆっくり滑りだしたけど、あれあれ・・・・見事に滑りません。モナカです。おーっととっと・・・って感じです。素晴らしく超快適に見えた白い斜面はものの見事にモナカ畑でした。1ターンするたびに疲れます。低速でゆるゆる滑っているので、えらく疲れます。お気楽さんが左の方の斜面でやや黒っぽくなっている所に途中から行ったとたん、スキーがくるくる回り始めました! あそこはよさそう♪とっさにそれを見て左にそれっ〜!て感じに行きました。黒っぽい雪は水分たっぷりでシャーベットぽくなっているので、やっとスキーらしい回転ができました。くるくるすると、あっという間に広い斜面は終りました。狭くなる手前で皆一旦集合。 ここから先は雪崩やブロックの危険が高いので、各自一人ずつ斜面に入るようにします。お気楽さん先頭に、かっき−さんが続きます。進んだ先から絶望的な感じが伝わってきます。デブリだらけです。雪質はモナカでひっかかるような感じに加えて、その雪質でデブリになっているので、ひっかかること多数。突き刺さったり、バランス崩したり、ほとんど斜滑降とも言えないシロモノで斜面を右に左に逃げますが、進みやすい場所は皆無でした。中央突破もデブリが多く、左にも新しく雪崩れた跡もあり。結局右寄りの斜面をへつるようにして進んだ部分が多かったです。ここも見上げるといつ落ちてきてもよさそうなブロック多数。スキーが突き刺さるよう前転1回転しちゃったでんぐり返しの技なんていうのも2度もやっちゃいました。極めて低速で動いていたので怪我しなくてよかった。 過去にもデブリの中を滑ったことはありますが、40度前後の斜度でここまで延々と長い距離は初めてだと思います。これでもか、これでもか・・・・。まさにデブリランドでした。登りで疲れている足が登り以上に疲れました。やっとの思いでひと段落という所まできたら、ふぅ〜〜って感じでした。やっとデブリはあるものの斜度も緩くなって、左から小蓮華山の直登ルンゼをあわせるあたりから快適な斜面が現れました。右からは白馬沢左俣もあわせる。やっと開放感のある広い斜面に出てきてほっと一息。思わずノドが乾いたのでお茶飲みました。沢の中央部にはデブリ大河が形成されているけど左側には綺麗な斜面が残っており、短い距離ながらもやっと快適な緩斜面シャーベットスノーを満喫。自在にシュプールが描けるのが嬉しい♪皆楽しそうに進みます。ほどなく白馬雪渓からのルートが合わさるのが見えます。ちょうと雨も1粒2粒落ちてきたような? 白馬雪渓と合流すると、何パーティーも会います。白馬雪渓は既にガスで覆われてきていました。白馬尻を通過し、左から金山沢も合流。林道滑走でどんどん進みます。1箇所だけ段差でスキーを自分は脱ぎましたが、結構あっけなく猿倉を通過。緩いけど一応斜面は滑って降りれるので大変助かる。全部板を担いだら大変だろうと思っていたので嬉しいです。たぶん1キロか1.5キロぐらいは林道をスキーで滑走。除雪が終った地点から板を担ぎます。最後は大ちゃんとおしゃべりしながら歩いてました。金山沢、小日向山、大雪渓などから三々五々パーティーが集結。長くてうんざりした頃やっと二俣ゲートに到着。車は20台位はあったかな? ちょうど生暖かい雨が降ってきました。5人全員でかっきー車に乗って、日帰りで帰る私とお気楽さんはバスターミナル近くの第一の湯で降ろしてもらって温泉へ。お気楽さんは長野新幹線経由、自分は信濃大町から各停を乗り継いで松本から最終特急あずさで帰宅となりました。(他の三人は翌日ガラガラ沢で素敵なザラメ雪と出会えたそうです) 自分の亀足のおかげで滑り出しの時間が遅くなってしまい、もしかしたらあと1、2時間位早かったら上部滑走はモナカ畑ではなくて、もう少し快適だったのではないかと思うと申し訳なかったです。無事に帰還できてよかったです。パーティーの皆さんのお陰で山スキーらしい色んな経験を積むことができて本当に感謝しております。本当にありがとうございました \(^〇^)/\(^〇^)/\(^〇^)/
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小蓮華山山頂 バックは白馬岳 | 戸隠、妙高、黒姫、火打あたりが見えているのかな?) |
小蓮華山 (かっきさん、自分、お気楽さん、よっしーさん、大ちゃん ) (phot by かっきーさん) |
最初の大斜面 モナカ畑 | 下から見るとモナカ畑はこんな感じだった (phot by かっきーさん) |
これから核心部へ 余裕のかっきーさん | いざ核心へ デブリランドの入り口 (phot by 大ちゃん) |
白馬主稜 左下の第?峰には黄緑色のテントあり | デブリランドの真っ最中。 |
右に回り込んで逃げようとするものの・・・・ | 左にも行ってみたものの、やっぱり滑りにくい (phot by 大ちゃん) |
一番の核心は終ったかな? 引き続きデブリ続行中 | いまにも落ちそうな雪が一杯 恐いよ〜 (phot by お気楽さん) |
デブリ山を乗り越えるかっきーさん (phot by お気楽さん) | 既に足はへろへろだあぁぁぁ・・・・ 点に見えるけど4人わかるかな? |
小蓮華山方面からの合流 | デブリの大河 白馬沢左俣を合わせる (phot by 大ちゃん) |
やっと谷が開けてきた | 白馬沢左俣 |
やっとシュプールが描けた! 僅かな快適斜面 | デブリランドの終焉 |
白馬尻にもう少しで合流 右からが大雪渓 |
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