【第2日目  8月10日(金)】

 この日の行程は烏帽子岳まで。本当は絶好調?ならば野口五郎小屋まで行ければ、翌日は水晶岳から赤牛岳を経て、読売新道を降りずに温泉沢の頭まで戻って高天原の温泉に浸かりたいなあ・・・・という野望を少し持っていた。もし本気でそうするならば朝4時頃に出発すればできそうだ。しかしながら、この船窪小屋の快適な小屋ライフを堪能し、朝食も食べたかった。さらに、<危険な水場?>で有名な水場を暗いうちから往復するのは気が乗らなかった。よって、ごく普通に行動することにした。朝食は温泉卵がついていて、やっぱり美味しいご飯だった♪ 七倉に降りる人も多いので、その人達はゆっくりしている。5時半には私も出発。名物の女主人と記念撮影。私が出発するにあたって、鐘を鳴らしてくれた。他にも出発するたびにそれぞれに鐘を鳴らしてくださって、安全祈願のようで嬉しい。なんともいい鐘の音だ。


 鐘の音に見送られて朝日の中を出発。下り基調でテント場に到着。ここから水場へ下る。水場は急斜面でかなり危ないというので、念のために手に持たないで済むために薄い背負い袋を持っていくことにした。どんどん下ること5分ぐらい(道はよく手入れされている)不思議な位の崩壊斜面の一角から水が出ている。樋がちゃんとあって、素晴らしく美味しい水で、きりっと冷たい。水2Lを汲んで(あとで2.5Lにすればよかったと後悔)、うさぎさん手拭にもしっかり水を含ませて水場を後にする。往復でゆっくりで20分ぐらいかかった。結局ここでかなりゆっくりしてしまったので、出発は6:15と大分遅くなってしまい、完全に野口五郎小屋までこの日のうちに行くのは諦めた。


 さて、いよいよここから烏帽子岳までが逃げ道もない、アップダウンのいやらしそうな道。水場も1箇所もないのがプレッシャーだ。このあたりは、ずっと左側が断崖になっており、路肩注意の道だ。あまり覗き込まない方がよい感じで、ずっとこれが延々と続く。前日に烏帽子から来た人が言っていたけど、道自体は樹林帯の中にある所はひんやりと割りと涼しくて、尾根の所は風が抜けるので、道自体は全体に涼しいのが唯一の救いだと熊の糞も見かけたから注意するようにということだった。(私の感想としては、約3分の2は比較的涼しくて、3分の1は普通に暑い)このあたりの樹林帯は南アルプス等とは違って鬱蒼としておらず、風が通る感じだ。船窪乗越付近には草刈の工具が置かれていて、小屋の人やボランティアの方々の尽力に頭が下がる思いだ。


 乗越からは登りになるが、これが船窪岳に行くまで小さな3つのピークを越して行くというが、あたりは日が猛烈に差し込んでいて暑くて大変。先行していた200名山達成まであと1つという富士吉田から来たオレンジの服の男性と前日遅く到着した仙台の男性を追い抜く。彼らとはしばらく追いついたり抜かされたり。丸太の桟橋みたいなのをクリアしたり、なんだか一杯危なそうな所はあるが、今日は風は吹いておらず、穏やかな日なのであまり印象に残らず。いわゆる岩稜帯などを歩き慣れている人なら恐くない程度。ただし、ちょっとした気持ちの緩みだけは厳禁だ。(恐らく私が学生時代に先輩から聞いていた道の状況などからすると、現在は小屋の方のお陰で整備されてきて、かなり難易度が下がっていると思う。道を崖の方から安全な樹林帯の方に付け替えたり・・・・ということを恐らく何箇所かしたのではと推察する) 
注意:初心者の方が歩いたら恐らく相当に恐いと思いますので、充分気をつけてください。


 一杯登ったり降りたりしていると、やっと大きなピークらしい船窪岳第二ピーク(通称船窪松澤岳)に到着。(最初のピークに船窪岳の標識があるが、どうみても第二船窪岳の方が標高が高くて立派だ) しばし休憩。ここから先の不動岳までが最大の核心かと思う。前日のように耐える感じの登山で、時折尾根筋(ということは左側が断崖絶壁)に出ると風がさわやかに吹き抜けていくのが助かる。不動岳への最低鞍部まで辿りつくのがまずは樹林帯の下りで忍耐。樹林帯っていうのは細かい微妙なアップダウンとかもあってうんざり。最低鞍部で休憩して、それから標高で約300m位の登り返し。ずっと左側は崩壊地なので、とにかく不用意に足を置かないということだけは気をつける必要がある。また、道は崩壊地と逆の側の灌木帯の中にあることもあるが、ここから尾根筋に飛び出る所などは、よいしょっと出たら、すぐ向こうに転落しそうな場所や路肩もあり。<丁寧に歩く>ということが何よりも大切だ。一歩踏み外したら、ストップできないでゴロゴロゴロ・・・・と転落すること間違いなし。まるで、蟻地獄みたいな地形でした。


 やっと到着した不動岳は最後は気持ちの良い平坦なハイマツの中の山頂で、とりたてて特色のない所だ。だけど、ずっと遠くから見ていたあの山頂にようやく辿り着いたかと思うと感慨深い。ここからは、今まであまり見えていなかった南沢岳から烏帽子岳の稜線が見えてくる。また、うんざりするようなアップダウンが見えているが、今までのに比べるとかわいいようだ?不動岳のあたりはコマクサ畑が一面に咲いていて、ピンクで斜面が埋まるようだ。こういう風景はびっくりで、北アルプスのかつての本来の姿かな?(なんせ、一日ですれ違ったのは5、6名。同じ方向に歩いている人も10名以下)

 いったん、ざくざくと斜面を降りて標高で250m位下る?と再び登り返し。大きく見るとここが最後の頑張りどころ。このあたりはかなり暑かった。一気に行きたいが、トイレも行きたいので一息。北アルプスの最盛期はどこも人がうじゃうじゃでトイレは小屋の所ぐらいしか行けないが、この道は人がいないのでどこも快適♪ 最後に10分ほど頑張ったら、まるで広い運動場みたいな南沢岳に到着♪ これで、ようやく不動沢〜濁沢の崩壊地の際どい道ともおさらば。ここからは待望の快適な道が広がっているはずだ \(^〇^)/

 



船窪小屋の朝  水場 水場は左の下の方
左側はずっとこんな感じの景色 船窪岳へはアップダウンをたどっていく
船窪岳山頂は一番高い所ではない。 ちょっと危ない箇所
船窪岳第二ピーク ここがこのあたりでは一番高い 左奥が不動岳山頂
やっと不動岳山頂  不動岳からは下って登り返して南沢岳(右中央)、さらに烏帽子岳
烏帽子岳遠望  奥が水晶岳  コマクサのアップ写真はいずれも上手く撮れなかった・・・
どこまでも続くコマクサ畑

これだけの規模のコマクサ群生を何度も見れるのがこの縦走路の特権か? 船窪小屋ではコマクサ街道とこの道を呼んでいるそうです。
振り返ってみて。登山道は崩壊の箇所のぎりぎりの尾根についている 南沢岳へのラストの登り





ゆっくりと南沢岳で休憩していると、オレンジのおじさんが到着。オレンジ氏は赤牛岳が最後の200名山なので、なんとしてでもこの日のうちに野口五郎小屋に行きたかったようだが、さすがに諦めの境地。(翌日少しご一緒したら、相当に健脚な方だった) お互いに「この道は本当にシンドイですね」とため息ついてました。私は実は今回の山行で一番楽しみにしていたのがこの南沢岳から烏帽子岳のエリア。大昔の大学の合宿で来た時に、烏帽子岳から見た四十八池が天国みたいに素敵に見えたから。ずっと来てみたいなと思っていた。

 
 さて、お楽しみの道にGO♪ まずは、南沢岳のコマクサ畑がこれまた凄い!!! 一面のコマクサでうっとり♪♪このあたりは右には立山や五色が原から薬師に続く山々が広がっていて、山深い感じがする。段々と道を降りて行くとざくざくした道から、やがて四十八池というような湿地帯な高原チックな所を歩く。いい気になっていたら、ここで熊の糞らしきを発見!熊さんも水を飲みに来ているのかなあ? ひっそりとした小さな水溜りのような池が幾つも点在している。ちょっとムードがあって良い。思っていたよりも綺麗な水で飲むのはマズイだろうけど、手拭に浸すにはいいだろうと思い、池の水で手拭の洗濯をいたしました・・・・。これで暑くヒートアップしていた首筋を再び冷やすことでできてひんやり気持ちよい。(手拭は2、3時間位で乾いてしまう)草原のような景色の中を緩やかに登って行く。どんどん烏帽子岳が近づいてくるが、ガスが出てきてしまった。


 烏帽子岳へのピストンのための分岐点に到着すると、そこはいままでの縦走路とはうってかわって人がそぞろ歩いている場所だった。急に裏銀座という都会?に到着したみたいだ。ここで時計を見ると1時40分過ぎだった。


  ここで、私の日本海から上高地のルートは1本の線でようやく繋がったことになる。なんと、山を始めて20数年
(恥ずかしくて正確には言えません・・・ )自分のなかではちょとした1つの区切りの記念です。
      
      \(^〇^)/ \(^〇^)/ \(^〇^)/ 


 ちなみに今までの軌跡は以下の通り

1 穂高岳山荘 ― 奥穂高岳 81年 テント
2 烏帽子岳 ― 三俣山荘 82年 テント
3 白馬岳 ― 親不知海岸 84年 テント
4 白馬岳 ― 唐松岳 85年 テント
5 三俣山荘 ― 双六小屋 90年 テント
6 唐松岳 ― 種池小屋 91年 小屋・単独
7 槍ヶ岳 ― 北穂高岳 93年 小屋
8 槍ヶ岳 ― 双六小屋 00年 小屋・単独
9 西穂山荘 ― 焼岳 ―上高地 03年 小屋・単独
10 西穂山荘 ― 北穂高岳 03年 小屋・単独
11 針ノ木峠 ― 針ノ木岳 05年 日帰り・単独
12 種池山荘 ― 蓮華岳 06年 テント・単独
13 蓮華岳 ― 烏帽子岳 07年 小屋・単独

 さて、烏帽子岳へのピストンは水分と乾杯用?のフルーツ缶を布袋に背負っていく。空身に近いので、急にふわふわ浮いているような気分。このあたりは、烏帽子岳からピストンしてきた人達があちこちに寛いでいる。だらだらと登っていくと、思いのほか結構登りがあった。ちょうど山頂からグループが降りてきたので、今行くと私ひとりらしい。きちんと整備された鎖などを登って行き、少しトラバースするようになると、ひょっこり岩が堆積している山頂に到着♪


 見覚えがある山頂で、当時は大学の山のサークルでたぶん8名位で登ったのかなあ?一番高そうな所に登ってみようとしたが、さすがに一番高い所まではヤバイので、窓みたいな場所で満足。もう一つの岩にも登ってみて、ヤレヤレ。日本海から上高地の貫通記念に、めったに持っていかない缶詰でささやかなお祝いをしようとした。缶を開けて、1口食べてたところ、


 
しまったあぁ・・・・・ 、まず〜い!!! 賞味期限がやや過ぎているけど大丈夫だろうと思って持ってきてしまいましたが、フルーツは缶の錆の味がしているようで、おえおえ・・・・  それでも、ここで食べないとゴミになってしまうので、無理してフルーツ食べちゃった。さすがに、汁だけは捨てましたが。。。。


 
かなり気持ち悪い気分で、ぎょえぇ〜〜〜って気分。私は生まれてからこれまでに1回だけひどい蕁麻疹が出たことがあるが、それが錆びが出ていると知らずにフライパンに残った料理を食べて発症。これから山の中で蕁麻疹がでたらどうしよう?(心配しない前に、食べなきゃいいけど。だけどゴミにするべきビニール袋も持ってきていなかったのだ・・・・) 


 
大変とほほな気分で下山です。しょぼ〜〜〜ん。達成感で爽やかな気分というよりも吐き気の少し手前で気持ち悪いです (涙・・・)なんとか分岐点まで戻り、今まで節制していた水分をなるべく飲んで錆くさい胃液を薄める?作戦です。烏帽子の山頂もガスが出て、涙景色?本日のフィニッシュに向けて前烏帽子まで再び登りでうんざりですが、この小さなピークに到着すると、ようやくあとは全て下り坂のようです。ガスの中を歩いていると、ひょっこり烏帽子小屋が見えてきて本当に嬉しかったです。


 ようやく山小屋に到着。昔はテント泊だったので泊まったことはないですが、見た覚えのある古びた建物は健在?でした。宿帳に翌日の行程を書かなければならないのですが、気持ち悪さで頭が回っていなかったので、ついつい面倒なので、翌日下山って書いちゃいました。(笑)


 小屋では近くに僅かに残った残雪を使って冷たいジュースが売られてました。冷たいオレンジジュースを買って、指定された女性部屋で一気飲みです♪ <野口五郎岳>と書かれた屋根裏部屋みたいな場所で、はしごの上り下りが大変ですが、こじんまりとして落ち着ける所でした。(なんと、その日はその場所は私一人で独占! ) しばらく落ち着いてくると、先ほどの錆サビフルーツ缶のダメージも減ってきて、気分も回復してきました。ヤレヤレふぅ・・・・


 小屋の前でぼーっとしていたら、オレンジ氏が到着。船窪から来るもう一人の仙台の人が遅くなっているので心配です。さらにもう一人撮影目的の方もまだ小屋から遠い場所にいるようです。そうこうしていると5時から夕食です。これが、なんと再び<天ぷら>です。昨日ほどのボリュームはないけど、2日続けてはちと辛いです。それでも、先ほどの錆ダメージからは回復していたので、しっかり食べました。夕暮れにはヘリポートに行き、携帯が繋がるのが嬉しいです。ぼーっと裏銀の山並を見ていたら、やっぱり赤牛岳は断念だけど、久しぶりに裏銀縦走をして新穂高に出ることにしました。明日は、山スキーでいつか滑りたい斜面探しや2005年の双六小屋ベースの山スキーで滑った想い出を辿るコースにとしようっと♪ 夏山登りながら、バーチャル山スキーです。(←山スキーオタクな自分ですね・・・)


  
船窪小屋発 5:30 水場へ 5:45〜6:05 水場発 6:15
船窪岳第二ピーク 7:55〜8:05 鞍部 9:16〜25 不動岳 10:25〜10:35
南沢岳手前 11:55〜12:10 南沢岳 12:21〜40 烏帽子岳分岐 13:41〜14:45
 (頂上ピストンへ)
烏帽子小屋 15:20





南沢岳山頂は広ーい広場で、赤ペンキで石に南沢と書かれているだけ 南沢岳山頂にて
五色が原方面 立山方面
烏帽子岳へは一旦下って、四十八池をたどっていく。バックは三ツ岳 ここもまた、すごいコマクサ畑♪
ひっそりとした池が点在 山のなかの小路
お花畑が点在する  お洗濯をした?一番広いと思われる池
烏帽子岳分岐(日本海から上高地貫通達成地点 \(^〇^)/  一番高いところは左上ですが、さすがにそこはパスして中央の窓みたいな所まで
左上の部分を窓の部分から撮る  手前側にも山頂みたいなのがあって、ここは避雷針かな?


烏帽子小屋 今日も天ぷらだ・・・・ 10人位は寝れるスペースを独占


                                    
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