【第三関門 長尾平まで】


 第二関門は広い駐車場にブルーシートが広く敷かれていて、寛いでいる人が多い。まずは待ち時間ゼロのトイレ(ペールトイレという簡易なトイレだが、これはイマイチ・・・・)に行ってから、水分の補給に行く。1.5Lをもらえるのだが、まだお茶ペットボトル500ml、氷の野菜ジュース約300ml、ポカリ200mlぐらいの残あり。補給は空いている500mlのペットボトルに水1本、ポカリ1本、ポカリの200mlに追加で300mlを追加してもらった。


 シートに戻ってから腹ごしらえ。あられの小袋を1つ。おせんべい類はしょっぱいので美味しい。栗大福、チョコ少々、アミノバイタル1袋を食する。脚や背中、肩などをほぐすように軽くストレッチ。僅かだが、伸びをして少しリラックス。本当はもっと休憩したいところだが、鞭打って2時半には出発。


 ここからの急斜面は雨のあとならば滑り台だけど、この日は斜面に数人いて、他の人のライトの明るさもあって、快適な下りだった。その後平坦な道になり、早歩き。ちょうど後ろから女性が来たので先に行ってもらおうとするが「いいです」と言われ、その後ずっと後ろにぴったりつかれたので、私も一生懸命早歩き。結構プレッシャーだなあ。小河内峠を通過して、登りが本格的になるあたりで抜いてもらった。このあたりは狭い登山道で、右や左にこけると転落まっしぐら・・・・みたいな箇所がかなりある。2年前に残念ながら死亡事故が発生した箇所(今は道も付け替えているが)もこのもう少し上であるので、ずっと気を引き締めて歩く。


 小河内峠より約370mの標高を登らなくてはならず、
レース後に振り返ってみると最大の辛い登りだった。惣岳山への最後の急登あたりでは、途中で立ち止まっていたり、寝ていたりする人も多く、黙々と下を見ながら進むライトの列ができていた。ここは後半戦のヤマ場みたいでした。ちょうどこの頃、黄色い雨具で熊鈴をつけた男性が前後しているが、道を譲って先に行ってもらうが、すぐに停止、しばらくすると再び抜き返して・・・・の繰り返しを何度かされた。さすがに心理的にかなりうるさい熊鈴(音自体がかなり大きかった)なんで、ちょっと勘弁だなあ・・・・・ 前後にこれだけたくさんの人がいるから、さすがに熊は出ないだろう。自分としては珍しくイラつく。耐える、耐える、耐える・・・・・という感じ。やっとうるさい熊鈴の人が先に行き、ほっとした。かなりヘロヘロで惣岳山に到着!! やったーって感じ。


 ここからはカタクリの花の保護のためのロープなどが出てきて、それが見えると御前山が近い。それでも、地図で見てもそれなりの距離があるので我慢我慢でゆっくり歩く。背中の凝りも感じられるようになってきて、ちょっと胃がむかつく気分。さすがにお疲れです。本当にトボトボ歩いて、御前山山頂に到着する。4時少し過ぎのことでした。


 
これで、本当に最大の大きな山は越したな・・・・・・と思うと、ヤレヤレ気分で感無量。一番夜明け前の冷える時間帯なので、初めて手に軍手をつけた。胃も少し気持ち悪い感じなので水分だけの補給。ブルーシートに寝ている人もいたけど、ここで座り込んだら出発できなくなりそうなので、ベンチで5分休んだだけで下山開始。自分でもびっくりするほど全然眠くない。


 ここからの下りは結構長いが、路面が悪くないので助かる。避難小屋からの道を合わせてしばらく下ったあたりで、何人かとすれ違う。なんと、Sさんが再登場!! てっきり、ずっと前を走っているのかと思っていたら、御前山の避難小屋で1時間位仮眠していたそうだ。しばらく一緒に歩いていたが、途中で私は胃の気持ち悪さが高まって吐き気がして、胃液だけがこみ上げて、おえおえ・・・・状態。先に行ってもらう。後半は鞘口山の上り下りなど、細かいアップダウンがあって、肉低的にも精神的にも辛い。夜が明ければ道も見えてくるので精神的に楽になるだろうと我慢の歩き。腰ライトが固定されていないので、当初はライトとストックの両方を左手で持ちながら歩いていたが、この頃は面倒なので、ストックは手首に紐を絡めるだけで、あとはストックはひきずったままの省エネ歩行? だから、実際は左手ストックは腰ライトをあまり必要としない登りの時だけしか有効に使えなかった。


 やっと大ダワの階段上に到着。ちょうどSさんが写真を撮っているところだった。「完走を既に確信できているんじゃないですか?」みたいに聞かれたけど、まだ自分は大岳山の登りも残っているし、いつ膝が痛くなるか不安でしようがなかったのでそうは思わない・・・・みたいに答えた記憶がある。お疲れモードで相当に遅い気分だけど、実際はハイキングのコースタイムぐらいで到着。とにかく気分良くするためにトイレに一応入る。まだ残っている野菜ジュースでリフレッシュ。ポカリのペットボトルが飲み終わったが、スポーツ飲料は胃に気持ち悪さを感じさせている感じなので、今度はドリンクホルダーにジャスミンティーをセットする。
(ハイドレーションシステムだと1Lとか2Lごとの容器が多いが、ペットボトルだと500mlごとに飲料が選べるのが嬉しい。)Sさんは大の字になって寝ていたと思ったら、いつの間にか出発されていた。その後、一度もお姿を見かけることはなかったです。


 トイレ休憩込みで10分ほど休んでいると、やっと夜が白んできた。一応ライトをつけて再び歩き出したが、5分とたたずにライトを消した。ここから先の御岳山までの登山道は実に高校生と大学生の時に2度ぐらい歩いた時以来なので、要は大昔ということです。(^^;) 少し登ったら、あとは平坦な道が相当長い距離続いていた。コースタイムでは1時間45分というので、本当は平坦なので走れるとタイムは大分短縮できるが、平坦でも走る元気もないし、胃のむかむか感は時折襲ってくるので、のんびりモードのハイキング。気持ち悪い時はジャスミンティーを飲むとほっとして胃液が収まる気がして、このまま騙し騙し進めば全然大丈夫そうである。
疲れてくると自分に合う食べ物、飲み物が実にはっきりしてきて、びっくりするほどだった。また、気分的には朝になって暗闇の緊張感から解かれて、本当にほっとしてぼーーーーっと歩いている感じだった。道の左右には寝ている人もちらほらいる。なんか気持ちわかるなあ。胃が気持ち悪くなければカロリー補給をしてダッシュしたいが、食べ慣れない濃厚な味のカーボショックとか食べる気がしない。ちょっとシャリばての感じだったと今にして思う。


 大岳山の登り下りは鎖場があることで有名だが、この手の物は慣れているので、随分りっぱな鎖がピカピカに設置されているのを見て安心して登る。3箇所ぐらいか?ほどなく山頂に到着。大岳山は、実は私の心の故郷の山。というのは、実家から一番立派に目立って見える山だから。小さい頃から晴れていれば毎日のように眺めていた山だ。山の頂上が遠くから見るとキューピッドさんみたい独特な形をしている。実にウン十年ぶりに登って感慨深い。いつでも再訪できると思っていたら、こんな機会になろうとは!! 6時50分頃到着。大会役員に写真を撮っていただく。7時まで休憩。元気な人は通過している人も多い。


 再び歩きだすが、下りも鎖場だ。暗いとスタンスが見えないのでやっかいかもしれないが、今の時間ならば全く問題ない程度。下りの途中で抜かした人がいたが、全くその後ついて来なかったので、苦手な人にはそれなりの鎖場なのかなあ? 鎖場が終わると大岳山荘。昔はこんなに立派だったかしら?ここからは緩やかに下りベース。御岳山までの途中に綾広の水場があるが、そこまでなかなか辿りつけず。やっと水場で手と顔を洗う。朝らしい気分になって気持ちがよかった。それにしても御岳山までこんなに遠かったっけ?たまに観光客も歩いている。長尾平がどのあたりにあるか?下見していないし、記憶も覚えていないので、まだか?まだか?と思いながら歩き、やっと8時前に長尾平通過。いよいよ、佳境の最終区間へ。



苦闘の末、ようやく御前山 大岳山は大好きな山♪ 展望がこの時はほとんどなかったのが残念



【ゴールまで】

 長尾平の役員の人にトイレのありかを聞くと、「あと200m先」という。日の出山直下にもトイレはあるが、下りベースになるとトイレがいきたくなる私としては、ここでしておきたかった) ここの関門からは完全な神社の敷地内みたいに整備された道となる。階段を下った左手に綺麗なトイレあり。中に入ると泡水洗だった。御岳神社の下を通過。軽く立ち止まって神社境内方向に向かって手を合わせ一礼した。ここまでの無事走行への感謝とあと僅かな無事な走行を願って。


 役員さん達が「がんばれ、あとどんなにかかっても3時間。普通なら2時間か2時間半だ、頑張れ、頑張れ!!!」って応援していただく。あとどんなにかかっても3時間か・・・・。距離も10キロちょっと、私でもあと2時間台で十分行けそうである。本当に励まされました♪♪ 下りなので、いよいよランニング開始です(苦笑) 脚を温存していたといえばそうなんですが、軽いジョグで日の出山の下の鳥居まで走った。鳥居をくぐると階段状で短い距離だけど登りが辛い辛い・・・・・・。


 ダラダラと登っていると、猛烈な勢いで登っていく女性あり。緑色の帽子が印象的で、大ダワから少し登った場所で眠っていた女性だった。トレラン独特の太ももの前あたりを手で押し込んで進むやたら速い歩き?であっという間に抜かされた。どこにそのパワーが残っていたのか?


 公園のように整備された日の出山の山頂は今までの樹林で日差しが遮られた景色ではなくて、一面太陽がシャンシャン★★★ やっと、朝陽を浴びてという感じの光景になりました。休まずに下山に入るランナーが多いが、私はやっぱりハイキング気分で山頂写真はやっぱり撮ります(笑)。ここで水分補給とウイダーインゼリーを飲む。やっぱり固形物はちょっと怖くて食べられない。ゆるく行動しているので、吐き気も収まりつつある。


 8時50分頃には下山開始。最初は急な階段。まだ11キロぐらい残っているので、ここで膝が痛くなるのは困るので穏やかにくだる。広い尾根状の金比羅尾根は一度も試走したことないが、どれぐらい時間がかかるのか未知数だ。ここはやはり試走しておいたほうがよかったと反省。実際に歩いてみると、長いけど緩やか・・・・という地図の等高線どおりの展開。ごく軽くジョグすることもあったが、概ね早歩き程度。深刻なエネルギー切れでバテバテというレベルではないが、走る気力までは正直なかった。途中で1箇所登る所があったが、勘弁してくれ〜〜〜!!後ろから走ってきている人達にかなり抜かれました。


 やっと、あと5キロの看板が見えて、ほっとするやら、まだあと5キロも・・・・と思う。正直飽きた。高度が全くこれだけ下がらない道も珍しいんじゃないかな?ほとんど平坦な道は、気持ちよく走れるまさにトレイルランニング向きで、良い気分だけど、動きまでまったりしてしまいました。
ぼちぼち私も走ろうかしら?(←今更ですが遅すぎ・・・・苦笑) コンクリートの橋というのが見えるとあと少しらしいので、その頃ちょうどマーシャルを含む3人組の後ろあたりを歩いていたのですが、橋を渡って少ししたあたりでその人達が道をあけてくれたので、ようやく抜いてからは一目散にランニング。


 ほどなく待望のコンクリートの舗装道路が始まり、どんどん標高が下る車道になり・・・・、いよいよフィニッシュが近いみたいです。応援の方にあとどれぐらい?と聞くと、あと2キロぐらいというので時計を見ると、21時間台でゴールしたいとこの頃には思っていたので、確実になるとあまりゆっくり歩いている場合じゃありません。いつも1キロ6分ぐらいが私のジョグのペースですが、ザックを背負っているのでそこまでは走れないけど、たぶんキロ6分30秒位で自分としては最高に頑張ってランニング。


 しばらく前に私を追い抜いて行った人達をたぶん20名位は抜けたのかな?民家の近くの道になると、ストックをがんがん道路につつくと煩いだろうな、音を小さくしなくちゃ・・・・なんて冷静に思う。すっかり晴天の青空のもと、暑いぐらいの日差しだ。暖かく見守ってくれている応援が嬉しい。
よくこんなに自分の中に走れるパワーが残っていたのには驚いたが、逆に今まで緩くやりすぎていたせいもあるのかな?(苦笑)


 最後の角を右に曲がるとゴールが見えてきた。前を歩いていた人が50m位前にいるが、その人も走り出したのでさすがに追いつけない。・・・・・と思っていたら、奥さんらしきが登場してきて、小さな幼児をご主人に抱えさせてあげて、自分はビデオを構えて併走して走っている。幼児を抱えたお父さんの図というのは絵的には美しいものがあるので、観客の一斉の声援がひときわ高い。


 でも、実はこれって、今回の大会では禁止されていた事項じゃないかしら? 前回第16回の大会報告書を持っているのだが、結構読み込んでいるので、<手を取り合って同時にゴールすること、競技者以外の人とゴールすることなどは禁止する・・・・・>と審判部が第16回の講評には書いてある。一般のランニング大会などではよく見らるような感激のシーンみたいなことまで禁止されているので、個人的な感覚からするとそんなのまで禁止しなくてもいいじゃない?って思っていたのだが、書いてあるのを覚えていたから、「え?・・・・あの奥さんの行為やゴールシーンはまずいんじゃない? ここまで頑張ってきて失格にでもなったらどうするんだろう?!」と
他人の事を心配して考えていたら、あっという間に自分がゴールしてしまった・・・という、なんとも感激に浸れないゴールシーンであった。(誠に残念でした・・・・・・)  

 
※自宅に帰ってから、今回のレポを作るにあたって再度、今回の参加要綱を細かく読んでみたら、競技者以外の人と一緒にゴール禁止するとまでは書いていなかった。じゃあ、去年の大会報告書に書いてあった大会審判部のコメントでの<禁止します>の文言は何だったんでしょう? 少なくとも、そんな文章を私が思い出したのがいけないのか? ハセツネは運営方針が最近になって色々と変わっているような感じがするけど、一本筋が通らない気がするのはまじめすぎる私だけでしょうか?


 ゴールすると、一息つく間も全くなく(苦笑)、完走証があっという間に印刷されて手渡された。そこには自分なりには頑張った甲斐あって、21時間台のタイムが記載されていた。さらに、完走Tシャツを選ぶように言われるが、「Sサイズはグレーしか残ってません。」「赤がいいんですけど・・・」「赤はSSしかないです・・・・・・」 紺、グレー、赤のうち、やっぱり赤が好きなのでMサイズだけどそれをチョイス。
完走Tシャツをもらって、やっと完走を実感♪♪♪ さっきのなんとなくゴールしてしまったゴールシーンよりも本当の完走を実感したかも(大苦笑)


 ゴールすると現金なことにお腹が相当空いていると実感。無料豚汁が振舞われているので、それを食べることにする。暖かい豚汁は体に染み込むようで美味しかったです。胃のむかつきもお腹空きすぎで胃酸が出ていたせいもあったので、これでほっと一息つけました。これにて無事ハセツネ終了。


 


最後の山頂の日の出山で記念撮影。思わず山頂に寄りかかる私 とうとう、あと5キロまでやってきました! でも、まだあと5キロも・・・


ゴールシーン
  photo by (C)allsports.jp

完走証と完走Tシャツ
完走Tシャツ

【レースを終えて】

 今度こそ完走して、自分の中で一つの区切りをつけたいとずっと思っていた。実際には、71.5キロを踏破するにはフルマラソンぐらいは走れないとまずいだろうと去年から少しランニング始めた。去年の秋にはフルマラソンは完走できて、今はとりあえず10キロぐらいならば負担感なく走れるようにはなった。だけどスピードを上げて走るのが苦手なので、いつも楽々ランニングでゆるい練習だけだったので、この程度では山を走るレベルには全然達していないということはよーーーく理解できた。


 また、直前にはジョグでも山でも膝が痛くなっていたので、本番では完走を意識しすぎてかなり守りの(守りすぎ?)のレース運びだった。ハセツネの面白いところは、ランナーがすごいスピードで山を駆け一方、私みたいに早歩きハイキングの延長でも取り組めることだ。タイムが速かろうが遅かろうが、何よりも完走することがまずは第一だと思う。なによりもセルフレスキューが原則の山を舞台にするものだから。
確実に完歩目的というのはそれなりの意義はあると思う。


 さて、ハセツネにもう一回出たいか?というと、予選に出たり、ポイントを稼いだり、ランネットでエントリー日に受付時間と同時にPCに何時間も張り付いてエントリー競争をする・・・・・ということは面白い行為ではない。参加料も従来の1万円から1万5000円と随分値上がりした。今の実力ではタイム的なものがほとんど望めないので当面はたぶん出ないと思う。ただ、もっとランニングで速く走れるようになったら、もう一回ぐらいは出てもいいかな?という気持ちはある。


 奥多摩の山は自分にとっては故郷の山という親しみがある。今回久しぶりに歩いた大岳山から大ダワの尾根はとっても気持ちがよい所だったし、金比羅尾根も気に入ったポイントとなった。ハセツネはランナーが強いのは、山らしいテクニカルな箇所がほとんどないので、だから夜道も走れるのだと実感した。長い距離を踏破することと、夜間歩行は体力勝負ではあるけど、実は途切れない精神力が根底にあるので、実はとてもメンタルな部分が強いと感じた。そういう意味ではとても勉強になった部分が多い。本当にとっても楽しい体験でした!!



         
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