白馬大雪渓


  〜白馬岳の基本の1本〜


 GWの前半は槍ヶ岳を堪能。後半は白馬に行こうと思っていた。当初は1泊2日を計画したが、5日の天気が悪くなるというので単純な日帰りとしました。今まで白馬岳関係は金山沢2回、白馬沢右俣、杓子沢から長走沢というやや応用的?な所へ行ってましたが、肝心の基本の白馬大雪渓を1度も滑ったことがありませんでした。1度は滑らなくては・・・・・と思い出かけたのでした。



 山域 / 形態 北アルプス / 山スキー
 メンバー MINMIN
 日程 2007年5月4日(土)
 登山情報 ●猿倉荘は荷物を300円で預かってもらえるので、車でない自分は助かりました。この時期は外の公衆トイレはまだ使えないので、猿倉荘のトイレを利用いたしました。
●GW期間のみ白馬駅前から猿倉へは早朝バスあり。




新宿発夜行のムーンライト信州に乗って白馬に向かう。レディース車両は今日もガラ空きで、4名1BOXを占拠して悠々と横になって快適。白馬駅から猿倉へのバスに乗る人は5人ぐらいだったか?(いずれ廃止路線になるんじゃないかと思うと心配。)猿倉の駐車場には相当数のマイカーが既に入っているようだった。猿倉荘の前のベンチでゆっくり準備。猿倉荘で荷物を預けようと中に入ると登山学校で一緒のIさんにバッタリ。IさんにはGW前半の上高地でもバッタリだったので奇遇です。猿倉荘に前泊され、今日はツボ足で登るとのこと。登山届けを提出。


7時に小屋の脇からスキー担いで出発。いつも滑り降りる左の斜面は雪が切れているので右から薮のような所を林道に出るように直登しました。先行数人の後を辿ったのでしたが、担いだスキーに樹林がからまってやや登りにくかったですが、ほどなく林道に到着。ここからはシールでスイスイです♪ 林道から仰ぎ見る白馬はいつ見ても素敵です。白馬主稜がスカイラインにすっくと伸びて見えてかっこいいです。朝から相当に暑いのでシャツ1枚で登ります。長走沢は既に水流が出ていて、50センチ位でしたがどうやって渡ろうかと思いました。まずはスキーを1本1本ずつ放り投げて対岸に渡してから自分は飛びました。


ここを過ぎると金山沢の出合があり、まだ繋がっていることを確認しながら大雪渓下部に到着。前回大雪渓を登った時は、大変前日まで風邪引いて体調が悪い時だったので、それに比べると随分とラクに感じました。今日はテントが賑やかです。どこかの大学山岳部だと思うのですが、右岸のちょっと急な斜面で雪訓をしているのですが、ずぅーーと1,2、3と掛け声が流れているので、あまりに長く聞いていると自分が疲れちゃいます(大苦笑)


ようやく掛け声が聞こえなくなったあたりで1本休憩。ここから上あたりからぼちぼちデブリが登場。GW直前にかなり大きな雪崩が起こって巻き込まれて助かった人の話が話題になっていたけど、それと思われるデブリが中央を占拠。それでも登っている時はそれなりに平坦な所を拾ってシール登高が可能。かなり暑いが灼熱地獄までには至っていないのが救いだ。左右からひっきりなしに<さやさやさや・・・・・>という音とともにゆっくりと雪崩れているのがとっても気になる。ブロックほどの大きいのは落ちてきていないが、いつ起こるかもわからないのでなるべく真ん中を進む。雪崩はゆっくりで少量ならばまだ良いが、やや速めのもあり。どかんと横からやられたらどうしよう。


急登が近づいたので、ここからはしばし担ぎにする。雪が柔らかくてステップがある所を発見したので、アイゼンは付けずにこれを利用。シールで登っている人もいるが、かなり時間がかかっているので担ぎの方が効率的だった。去年はここから先は大変なバテバテ状態で同行者を大変お待たせしまくりの状況を引き起こしてしまったが、この日は快調で前後して登っている人達と同じペース位で進めてほっとする。


急登が終ると一旦緩やかな斜面になる。右の方に登るのが白馬岳山頂方向だ。ここで風が一気に吹き抜けるようになり、雨具を着る。前日に鑓ヶ岳の中央ルンゼを滑ったお気楽さんTAKUさんに昨日電話で聞いていたところでは相当な風が吹いていて体浮くぐらいの強風だったという。それに比べると穏やかではあるが、それなりに風は強く火照った体が急冷されます。行動食を食べて再びシールで登る。夏ならばこの界隈はお花畑が素晴らしい景色ですが、雪庇が張り出した景色もアルペンチックな素敵な景色ではあります。が、崩れないでいてくださいね・・・・。この頃から左足の踝付近が靴擦れしていて、これは皮がズル剥けしていそうです。早く処置したい、しトイレも行きたいので皆が寄っていく村営宿舎には寄らずに右側をそのまま進みます。程なく、稜線に到着♪白馬山荘も見えてきました。恐らく杓子尾根を登って来た人達や既に白馬主稜を終えてきた人達などガチャ類装備のアルパイン系の人達がかなり目立つ風景でした。登山道より右の斜面を登ると白馬山荘に到着です。


すぐに山小屋のトイレに直行(笑) ありがたくも使わせていただきました。戻ってバンドエイドを踝につけて、スキーはデポしてアイゼン装着して空身で山頂へ。シールでも問題なく登れるほど雪がついておりました。ちょっともったいなかったかなあ・・・・。13時42分白馬岳山頂に到着。今日は一人でマイペースで登ってきたので、もう少し頑張れば時間短縮はできそうかな? 風は強いものの温度は高目であまり寒くない。山頂で写真を撮ってもらい、ぶらぶらしているとボードの人が昨日から旭岳東面の山頂からの細い所を4回も滑ったとか言ってたっけ。元気だなあ・・・。そう言えば山頂までスキーで来ていた二人連れはやっぱり、2号雪渓みたいでした。


4月に滑った白馬沢右俣や去年の雪倉岳方面、今回本当は1泊で行きたかった清水谷や鑓ヶ岳方面などを望む。剣岳などはぼーっとしていて、あまり見えず。明日の天気は下り坂というので今日はやむなく日帰りになったのが残念。(実際は翌日5日もほとんどお天気が崩れず、天気予報は大外れ! くやじぃ〜!曇りから雨(雪)のような予報だったのでガスの中を鑓沢や大雪渓を降りるのは勘弁願いたいので日帰りにしたのですが・・・・・)ちょっと白馬大雪渓だけでテンション下がり気味の自分でした。ついでに自分じゃ滑れないエキストリーム系スキーヤー憧れの白馬2号雪渓の入口がどこか観察? よくわかんない狭い所に入口らしきがあったけど、とてもこんな所入れないよ〜と思いつつ白馬山荘に帰着。




林道から眺める白馬岳  今日はあの山の頂上へ♪ テントは雪渓上と左側の台地上のあたりにバラバラと点在
早くもデブリが登場 アップで撮るとこんな感じ
デブリが中央を占拠。帰りは写真の上あたりをトラバースした そろそろ急登。去年のバテバテの想い出が走馬灯のように・・・・
帰りに苦戦したデブリ群  急斜面の下に鎮座していた ようやく葱平付近。杓子方面は中央のツボトレースを登る
やれやれ・・・・ 中央奥の岩の右横に村営宿舎あり。 杓子尾根登攀中と思われる大パーティー発見。
白馬岳山頂。今日はうさぎさんの手ぬぐい巻いて、のんびりうさぎでした♪
でも亀さんほどじゃなかったので少し嬉しかったです。
(左の二人はその後恐らく2号雪渓滑走した模様)
山頂の白馬主稜の出口。
この日は雪庇下は4時間待ちだったそうだが、このときは渋滞解消後らしい
去年のGWに行った雪倉岳方面  旭岳東面 綺麗なシュプールが何本かあった。
杓子岳、鑓ヶ岳方面 白馬2号雪渓  エクストリーム志願のスキーヤーの垂涎の的
ここから見ると垂直にしか見えないんだけど・・・・




小屋の前で滑走準備をしていると、大雪渓を前後して登って来ていた男性が滑走開始。この方は1泊のつもりで登ってきたが、明日の天気悪化を懸念して降りることにしたという。その人になんとなく続くようなタイミングで滑走開始。まずは村営宿舎までの緩やかな斜面。今日はロシニョールのB1の板で来ているのでザラメで安定感ある滑りがしたいと思っていた。最初のひと滑りは快適♪ 村営宿舎から下は既に高温なザラメでかなり重いが、まだ斜面の荒れが少ないのでほどほどに滑れた。登りで物色していたように杓子寄りの斜面の方がツボ足のトレースが少ないのでそちらに向かおうとする。途中で登山学校のIさんが2500m付近に見えたので大声で呼んだけど気づかれなかった。杓子寄りの斜面はあまり荒れてはいなかったものの、高度も下がったのでスキーを取られる重い雪。悪雪には細いTRABの板よりも多少太めのB1の方が良いと思うものの、雪が重くて板も重くて転倒。自分レベルの足前ではスキーコントロールが難しい。


気を取り直して大雪渓で一番の急斜面に入るが、デブリやら踏み跡やらで荒れ放題、右岸に寄り過ぎるとサイドからのブロックが恐いし、雪崩跡も登りのときよりも明らかに多い。ほとんどターンにならずにシュテムと横滑りの世界。そしたら内足が雪にひっかかってまた転倒。これが、止まらない!! 自分が雪崩れとなってどんどん下に滑落していく。無理にスキーを動かすと足を捻るので、なんとか上半身で止めなくては!!本格的な雪崩を誘発させてはまずい!と必死の思いでストックの柄をピッケルみたいに力こめて停止をかけると、ようやく止まった ふぅ〜〜〜。30m位は流されたかなあ?とにかく雪がぐさぐさ、どろどろ、シャーベットというよりもジェラートって感じの緩さ加減。参りました(大汗)


主稜あたりを登攀したクライマーが何人もツボ足で降りているが、ほとんど同じ速度。やんなちゃうよトホホ〜〜〜。登りの時にサイドからはひっきりなしにチリ雪崩が落ちていたのでなかなか脇に行くのは恐いです。中央突破となると、デブリとツボ足のトレース&尻セード跡のトレースが複雑に絡み合って、これまた超難易度です。そうこうしていると、再び足が雪に取られて転倒。すっかり意気消沈です。怪我のないように降りるのが第一です。先行した男性は比較的無難に転倒せずに降りているので見習うべきものです。一旦は左岸よりにも行ってみましたが、左岸は特に登っている時にゆるゆると雪崩が落ちているのが特に酷かったので、やはり右岸に戻ります。右岸でやや大雪渓の脇の高い位置をトラバースするような斜滑降で進むと、明らかに朝よりサイドからのデブリの分量が多くなってますがやむなしです。特に1箇所は土砂も一緒に剥がれてしまっていて、恐いものです。


なんとかトラバースでクリアして、ようやくテント村が近づく頃あたりで一息です。先行の単独男性ともなんとなくお互い近い場所を滑っていたので、見守りつつ?みたいな感じになってきました。聞くと白馬雪渓は10回近くは来ている長野の方でした。GW頃にはよく来るそうですが、ここまで酷いデブリのことはなかったということです。やっとデブリが無くなったあたりからは、よれよれとしたシュプールでやっと回転弧を雪面に描くことができるようになりました・・・・・と思ったら、あっという間に林道です。(苦笑)


林道は快適でゆるゆる滑っていきます。ガイドツアーらしき大集団など他のルートからも徐々に人が集結。懸案だった長走沢は朝よりもさらに流れが広く出ていて、2箇所水流を跨ぐようです。男性が先に行ったので、私のスキーを向こう岸に渡してもらって、自分はなんとか濡れずに渡りました。下のコンクリートの堤防の水が流れている所をジャブジャブ渡っている人達もおりました。再びスキーをつけて最後の滑走です。しばらくしたら、救急車の人(水色の医療関係者の人が着る服を着ていました)が雪道をてくてく一人歩いて登って来たのでびっくり!何か事故があったようです。しばらく林道を下ると猿倉の大駐車場に到着。すごい車の台数でした。救急車がお迎えに鎮座していたには予想していたとはいえ再びびっくり。自分が怪我なく降りられてことにほっと安堵致しました。


帰りは長野の男性に白馬駅まで送っていただくことになり、猿倉荘で帰りの支度をしておりました。するとヘリが2度ほどやってきました。(後日報道をみると標高1400m付近で14:30頃に3m下の沢に山スキーヤーが滑落したとのこと。通過したはずなのに遭難者は見当たらず。1400m付近というと長走沢付近の普通の林道ですが、やはり最後まで気を抜いてはいけないということの教訓も得た次第です。)


今回は山スキーというよりも白馬岳登頂にスキーを使ったという感じでした。腐ったグサグサ雪はスキーの方がもぐらない分登りは楽かな? 下りもかなりへぼなスキーでも歩くよりは少し早かったけど、スキーの滑走の爽快感はごく上の一部と大雪渓のかなり下の緩斜面の一部という情けなさ。これも登りの修行と考えると標高差1700mは良い訓練となりました。


猿倉バス停着  6:20 猿倉出発 7:00 1595m付近 8:20〜30頃
2130m付近 10:05〜10 2450m付近 11:32〜50 白馬山荘13:10〜25
白馬岳山頂 13:42〜50 白馬山荘から滑り出し 14:20頃 白馬雪渓下部15:20頃
猿倉駐車場 15:45




白馬山荘で滑走準備 この日のわずかに快適だった山荘直下の緩斜面
小雪渓を振り返って。ツボ足トレースが結構スキーに引っかかる もうこんなに降りてしまった・・・・・・・このあたり位までは順調だった。
右の杓子寄りの広い斜面にこの後で移動 左の写真からすごく長い時間が経過した気分
試練のデブリを終えて、やっと少し滑れる状態に・・・・・
戦い済んで日が傾いて・・・・・ 大雪渓下部





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