【2日目  4月30日】

この日も朝から快晴。同じ部屋の女性3人組は撮影目的で朝3時半頃から出動体制、別山山頂に写真を撮りに行ったようだ。私は、目的を失ってがっ〜くりで、日が昇ってからもふて寝していて、朝食の6時半の少し前に、5分ほど別山側に登った所まで朝の軽い散歩(なんか、お散歩ばっかで気合入っていなくてスミマセン。苦笑 ) 穏やかな剣や立山、北アルプスの山々に囲まれてほのぼの気分。


朝食後に諦めきれない部分がどうしてもあったので、小屋の人に話聞いてたら、富山県警の山岳救助隊が来ているので直接聞いたらと言われ、恐る恐る部屋に話聞き行った。露骨に行くなとは言われなかったけど、隊長さんらしきが「デブリも幾つか出てきてます。雪が一昨日降ったのはご存知でしょう。雪の量も場所によっては随分違うし。まあ、剣沢あたりを滑るのと長次郎では何十倍も危険度が違うことは事実でしょう」 別の人のよさそうな隊員さんが、「迷っている時は、辞めた方がいいということかもしれませんね」と言った。厳密に言うと、剣岳の登山条例での危険地区に長次郎雪渓は含まれているけどアルパイン屋ではないので、そのあたりは黙認のようだ。でも「迷ったら辞める」というのは、ある種とても納得感あるお言葉だった。なんとなく、自分の中にあったもやもやが消えた気がした。


ではさて、今日はどこを滑るか? 去年は真砂沢を滑って、4時間ぐらいかけて剣沢を登ってきたが、滑ったことはなかったので、一度はやはり「剣を正面に見て大滑降〜!」をやってみたかった。それで、昨日話に出ていたデブリが見えるあたりまで滑ることにした。


まだ誰も剣沢を滑っている人はいない。雷鳥沢から登ってくる人達もまだ届いていない。朝一の滑降はいいなあ〜〜。ただし、雪がアイスパーンになっていないかが、ちと心配。日当たりのよい所で板をつけて、斜面の様子を伺う。別山側は日陰であるが、剣に向かって左よりのラインは陽が既に十分当たっている。つぼ足トレースよりも左側は、右に比べるとやや斜度がある。


いざ、朝の光の中を剣を正面に見据えて滑降開始♪♪ 最初は、ちょっとだけ慎重。でも、最初の滑り出しで、完璧な美味しい斜面だって判明〜♪ ほどよくしまって、トレースもあまりなく、雪は真っ白で、面白いぐらいに快適だ。中回りぐらいでどんどんターンして、あっという間に剣御前がずっと上になった。振り返るとシュプールがきれいに残っていた。やや平坦な斜面にきて、それからもう少し進むともう1段下がる感じで、今度は大きなシュプールで思う存分弧を描く。あっという間に剣沢小屋が近づいてきた。テントは3、4張りだった。結構丁寧に味わいながら滑ってもせいぜい5分で剣沢小屋である。


このあたりは幾つか滑る斜面を選べるが、どこを滑っても快適で、あまりシュプールがない。アイスバーンというほどのバーンはなく、ほどほどに締まったいい感じのタッチの雪で、大いに楽しめた。あとは、あまりに快適すぎて、どこで自制するかが贅沢な悩みどころである。斜度はせいぜい20度とか10度とか。急斜面を部分的に選らんでも25度位か。剣を正面に、白い斜面と青い空と・・・麗しき山スキーの旅である。沢が狭くなってくると、ますます斜度は緩くなって、武蔵谷付近のデブリが大分見えてきた。(急斜面滑降を狙っている人にとってはつまらない斜面だと思うけど、山旅的な要素としては素敵なロケーションが楽しめる斜面でした。)


あまりデブリの近くに行くのもどうかと思ったので、武蔵谷出合いよりもやや上のあたりで、本日の剣沢滑降は終了。デブリにやや近寄って見学したりもした。本当にほやほやのデブリで、こんなのにやられたらアウトである。いかにも新雪という感じだった。沢筋なので、一応休んでいる時も左右に目配せして、斜面に異変はないかきょろきょろしていた。よくよく見ると、これから5,6人のパーティーが谷筋を登るところだった。スキーかアルパインかは不明。今日初めての滑走者2名を発見。片方は初心者のようだった。これから、真砂沢出合いまで滑って、真砂沢を登り返すのだそうだ。(あーもったいない。あんなに美味しい所を登るだけなんて。でも滑りを見ると妙に納得。)


十分のんびりしてから、登り返しとなる。なかなか近づかない剣沢小屋というのは去年と全く同じ。今年は源治郎尾根の雪稜の部分などに何パーティーか人影が見えたりして、たまに振り返って楽しむ。源治郎も八ツ峰もかっこいいなあ〜〜。剣沢小屋まで登り返すと、雪上訓練している人達もいた。ゆっくりゆっくり登って行きながら、次に滑る所を決めるために左右の山肌を観察。剣御前から剣沢に滑りこむラインがなかなか急斜面で魅力的だが、途中の急斜面で行き詰っている人もいた。剣沢や、両脇の山肌を滑降していく人を見るのが楽しい。途中でボーダー君や、同室の女性3人組とも再会して、おしゃべりしながら登っていたら超ゆっくりモードで、なかなかたどり着かない(^^;) 朝は、とても快適だった剣御前小屋直下の美味しいバーンは、皆こけまくっていた。何人ものテレマーカーが餌食になっていて、どうなっちゃたんだろうか? どうやら、かなりのもなか状態に雪が変身していたようだった。いい時に自分は滑れてラッキ〜♪


やっと剣御前小屋に戻ると、小屋付近はかなり盛況な人で一杯だった。最近は、バックカントリーツアーという名のもので、若い人を中心に妙に団体で滑りに来ている人が目立つ。ガイドさんもいれば安心で、滑りに専念できるという感じなんだろう。賑やかすぎて若いノリにはついていけないなあ〜〜。行動食を食べて、荷物をもっと軽くしてから、軽めのもう1本を滑りに行くことにした。


小屋からそのままシールで剣御前小屋方面に進む。大分前方に10人ぐらいに団体さんがいる。彼らとは別の斜面を滑りたいものだ。きのう散歩に出かけた斜面をもう少し先に行く。このあたりは、どこを滑っても結構な斜度でなかなかいい斜面が一杯だ。そうこうしていると、先行の団体さんが剣御前を占拠してしまい、順番に滑り始めた。剣御前からだと剣沢小屋に滑り込むことになり、1時間は登り返し。さっき登ってきたばかりなので、もう少し短い登り返しで済む剣御前に2つぐらい手前のピークから南東に滑るコースにした。


シールを外して、さてさて、どういうラインで滑ろうかな?真下を見ると一応覗き込めない斜度(^^;)なんで、どうしても楽な方に流れてしまう。自然と楽な斜面を見つけ出すのが自分はうまい?ようで、急斜面を滑ろうかと張り切った割りには、どうも楽なラインが自動的に選択できてしまって、ほとんど快適な斜度だった。スピード出さずに、ショートターンで刻む。しばらく滑って振り返ると結構な斜度なんだけどね。。。昼の雪は重たいが、それでも稜線なんでそこそこに締まっていた。むしろ斜度がなくなった方がブレーキかかって、足がつらい。何度か振り返っていつもの自己満足。シュプールがそこそこの形に残って嬉しい。(うまい人から見たら、笑われてしまうレベルですが、一応自分なりにはネ!)


再び平坦なところでシールを貼って、のんびり登る。今度は20分ほどで登り返しで剣御前着。なかなかお手軽でよろしい斜面だった。デポ品を回収して、下山準備。小屋の前で準備をしていると、小屋の窓が開いて、山岳救助隊の人から声がかかった。「今日はどうされましたか?」「自重しました。武蔵まで滑ってきて戻ってきました。」と答えると、向こうも、にやっと笑いかけてきた。


朝のお散歩で剣沢を俯瞰する。朝一の滑りは左の日当たりのよい斜面 立山の朝の景色
中央平坦部が五色が原方面 朝のお散歩で室堂を俯瞰する。箱庭みたい。
あっという間に剣沢を滑り降りてしまいました。ここから登り返します。 武蔵谷付近のデブリ。出来立てほやほや〜〜。
源治郎尾根、八ツ峰が剣沢の上にそびえる 源治郎尾根(右T峰、左U峰)
雪稜に人が歩いているのがわかった。 源治郎尾根から剣岳へのスカイライン
剣沢を登りながら振り返る。 剣沢は中央左からも右からも降りられる。きれいな新雪で気持ちいい。
剣沢小屋 振り返り仰ぐ剣岳は大きい
剣御前小屋付近。ヤレヤレ〜〜 剣御前へ向かう途中のピーク(中央のライン)から2本目滑走
剣沢2本目の滑り(稜線直下の滑り。) ノートレースの斜面に振り返ると気持ちのよいシュプールが残った。



さて、3年連続3度目の雷鳥沢滑走である。今年は、登っている時からハーフパイプ状の沢の中を滑ろうと思っていた。最初に来た年に滑ったコースである。昨日ならば、本当にノートレースでふかふかしていて綺麗な雪が一杯だったが、今日はどんなものだろうか? まずは、雪のある斜面までスキーを持ってツボ足でガレ場を下る。今日も雷鳥沢登りは行列続いていて、本当にたくさんギャラリーはいるけど、皆最後の急登で下向いているよ(笑)


いよいよ、滑走開始。最初はザラメでまあまあの急斜面。ショートターンで、ぐいぐい降りるが、なんかこんなに滑れていいの?って位にターンが決まる!! いくらなんでも、これは出来すぎと思って、さあ沢の中に突入♪〜〜となったら、急にスキーが走らなくなって、あれあれあれ??? 沢の中は、やっぱり雪がもさもさしていた。白い雪が一杯で、目には眩しい素敵な感じだが、まぶしすぎて雪面が見えにくいほど。ターンは自然とハーフパイプの中を大きくターン。強引にはスキーは回せない。それでも今年はパウダーを一杯滑る練習したから、悪雪も似たようななもんなので?、大きく上下動を使ってロングターン。トラックがない方が滑りやすいので、そういう所を選りすぐっていく。斜度がなくなるほどに滑りにくい感じだ。太腿パンパンって感じで、なかなか後半は耐えるスキーだったが、転倒もなく、あっという間に終了。斜面が終わって、大汗かいて平坦地でスキーをこぐ。ここからみくりが池までの登り返しが゙いつも辛い。


今回は時間も早いので、Tバーを使ってみることにした。ゲレンデは、一人か二人しか滑っていなくて閑古鳥状態。Tバーは、ゲレンデで乗ったことあるが、ここのはもっと原始的で、近くに来てびっくり。200円を払って、乗ろうとするが、乗る瞬間にTバーを係りの人がロープに設置すると同時に乗り込まないと駄目みたいな変な乗り物だった。最初から足にTバーをセッティングしてそれをロープにつければよさそうなのだが、それだと衝撃が大きすぎるというので、係員のロープセットと同時に素早くTバーを股下に入れて滑りだすという。説明聞いただけでもゲンナリ。でも、お金を払ったのでものは試し。 


早くも1度目は全然足にTバーを差し込むこともできずバーだけ行ってしまった。係りの人が「登ると同じぐらい手が疲れますよ」と言う。さあ、2度目のトライ! 「えいやーっ」てな感じで、なんとかまたがったが、な、な、なんと、Tバーが本来足に対してTに入りお尻を支える形になるべきが、Iの字に入ってしまって、必死に股をすぼめて縦に入ってしまったバーを膝頭で開かないようにした。めちゃくちゃキツイ姿勢でロープに引っ張られる形となってしまった。「うーん、うーん、うーん、超きつ〜〜い!!」 膝を絶対に開かないでロープで引っ張られてスキーを滑らせるこの体勢は大変だ。何度もバーをTの形に入れ直そうとしたけど、片手ではバーを持っているし、ザックの荷物はなかなか重いので直せない。そのうち、手で握る部分がゴムとプラスチックがミックスするような形に出来ているけど、そこが段差になっていて、そこに指が挟まるような感じになってきて、指がもげそうに辛い。なんとか踏ん張ってきたけど、指の痛さには我慢できない。このまま挟まった指が切断でもされたら困るので、あと10m位という所でやむなく手を離して、Tバーより脱落。 落ちて、指が無事だとわかって、本当にせいせいした。でも、しばらくはシビレが残るほどの痛みだった。構造上かなり問題がある装置のようなので、空身かごく軽いザックの人でないと辛すぎます。



相当に、Tバーは皮肉なことに体力を浪費した。あと10m位の斜面も息も絶え絶えに登った。やっと雷鳥荘の台地に到着。ふぅっ〜〜。 そこからはスキーを担いで、ゆっくりゆっくりみくりが池温泉に向かった。途中で雷鳥さんに遭ってパチリ。全く人馴れした雷鳥さんだった。やっと宿に到着。まだまだ早い到着だが、温泉が楽しみなんで、早速チェックイン。去年と全く同じ女性部屋で、同じ2段ベットの位置をキープ。早速、温泉に浸かりに行ったのは言うまでもない *(^O^)*


夕食は山小屋というよりも、旅館みたいな料理で美味しいお刺身も付いていて、たまりません♪これを楽しみに来ているのかも知れない*(^O^)* 一眠りした後で、再びお風呂。まったり、のんびり湯治スキーじゃあ〜。


滑り出しの所。左の方に滑って行く感じ。沢筋ルート 滑ってきたのはこんな巨大ハーフパイプのような景色
滑走途中にて 左の写真を上を向くとこんな感じの風景の中を滑走。
中央の凹んだ部分を滑走。登りは左の尾根筋ライン 富山県警のヘリが何度も旋回してパトロール。斜面などの偵察のようだ。
みくりが池温泉に登り返しの途中で雷鳥さんのお出迎え



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